日本に誕生した新しい皇后陛下、雅子さまにフォーカス。小誌ロイヤル特集でおなじみの中野香織さんに、雅子さまの魅力やファッション、欧州の同世代王妃たちとの関係性、そして期待までを伺います。

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Q.天皇陛下の即位の儀式や初の一般参賀をご覧になっての感想は?
雅子さまが曇りなき快い笑顔を見せられました。国民皆がご病気のことを共有しているので喜びもひとしお、あの笑顔はひときわ深い感慨をおぼえました。
Q.即位関連の装いはいかがでしたか?
印象的なのは一般参賀のドレスです。一般的にはっきりしたイエローは日本人には似合いにくい色。雅子さまはそれを着こなせる珍しい方です。西洋でイエローはゴールドの代わりに使われ、英国でも原色のイエローはエリザベス女王ぐらいしか着こなせないロイヤルな色。憶測にすぎませんが、日出づる国の皇后として、太陽につながるイメージ、でも赤ほど目立ちすぎない色として選ばれたのかもしれません。また今までも勝負色的に選ばれていたので、“雅子カラー”としてもいいのでは、と思うほどお似合いです。
Q.今までの雅子さまで印象的なのは?
やはり婚約時代のお姿です。あの頃の、意志をはっきりとおもちの、有能なキャリア女性の雰囲気をもう一度見たいです。
Q.どんな皇后になってほしいですか?
もっと語っていただきたいですね。日本ではご本人の言葉がなかなか報道されないのですが…。今、欧州の王室はSNSを活用して発信したり、例えばウィリアム王子は突然マイクを向けられてもすぐジョークで返したりして支持を集めています。あらかじめ決められた言葉ではなく、即興的に語るのはお人柄を知ってもらうよい機会。特に雅子さまは語るべき言葉をおもちの方だと思います。

Q.雅子さまと同世代のヨーロッパの王妃についてはいかがですか?
スペインのレティシア王妃、オランダのマキシマ王妃、ベルギーのマチルド王妃、ヨルダンのラーニア王妃、皆さま美しくてファッションセンスもよく、キャリアも個性もある、非常にハイスペックということで似ていますね。しかもスキャンダルさえチャームポイントにされている。彼女たちの存在が国の格を上げているという印象です。雅子さまは、彼女たちとまったく互角に語り合える知性がおありです。王妃ネットワークを培って、国際平和などによい貢献ができると思います。
Q.王妃ネットワークとは?
いわゆる記録される歴史、正史は国王が担うものですが、正史には記録されない、でも実は重要な部分をつないできたのが歴代の王妃たちです。雅子さまなら、報道されていない場などでも各国の王妃たちと語られ、絆を深められるでしょう。
Q.今後期待されることは?
雅子さまと同じ不調で悩んでいる人は大勢います。お辛い時期をどう過ごされ、どのように乗り越えられたのか、いつか国民とシェアしていただけたら嬉しいですね。励みになると思います。英国ではウィリアム王子とヘンリー王子が、自ら心の苦しみをカミングアウトすることで、メンタルヘルスの活動の大きな力になっています。多くの人が経験していることをシェアする皇室であることが非常に21世紀的。両陛下には、ぜひ突破口となっていただけたらと思います。

Text:KAORI NAKANO Photo:Aflo 25ans(ヴァンサンカン) 8月号掲載(2019/6/28発売)


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PROFILE●なかの・かおり●株式会社Kaori Nakano代表。エッセイスト、服飾史家として執筆・講演・顧問教授などで活躍中。東京大学非常勤講師、英国ケンブリッジ大学客員研究員、明治大学特任教授を歴任。著書多数。6月、ファッションを通し英国王室の人々の生き方を考える『ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史』(吉川弘文館)を上梓。www.kaori‑nakano.com/