浅田真央さんが語る、アイスショー裏話からQ&Aまで。こぼれ話・第2弾!
現在発売中の25ans 12月号掲載の浅田真央さんのインタビューから、本誌に載せきれなかったこぼれ話、第2弾をお届け!
現在発売中の25ans 12月号にご登場いただいた浅田真央さんのページは、もうご覧いただけましたか? 貴重なお話をたくさん伺うことができましたので、本誌に載せきれなかったトピックをまとめて特集! 第1弾に引き続き濃い内容で、真央さんに直接お聞きした内容をお届けします。
真央さんが「私のBEYONDポイント」と呼ぶ挑戦とは
アイスショー「BEYOND」は、真央さんの現役時代のプログラム使用曲をもとに展開していきます。
これに関して真央さんに伺うと 「前回の『サンクスツアー』もそうでしたが、ジャズがあってクラシックがあってバレエがあって、と、いろいろなジャンルの曲を組み合わせてショーを構成しています。今回のショーでは、小学校6年生で滑っていた『SAY HEY KID』も入れていて、前回と合わせると選手時代に滑っていた曲はほぼ使い切っていると思います。いろいろな曲で滑ってきたおかげでこうして2つのショーができているので、当時は滑りこなせていなかったかもしれませんが、挑戦してきてよかったなと思いますね」とのこと。
そんな真央さんのプログラムを、パートナーを組む柴田嶺さんとのペア演目に作りかえたアレンジが大きな話題になっています。真央さんはペア特有の、パートナーに投げられて跳ぶスロージャンプ や、華麗なポーズで抱えられたり持ち上げられたりして移動するリフト各種にも挑戦中です。
「レベルアップするには新しいチャレンジが必要と思ったので、ペア経験者の嶺くんと本気で取り組むことにしました。ふたりのいろいろなアイデアと練習の結晶といえるのが『シェヘラザード』です。リフトは嶺くんがいろいろ提案してくれて、そのなかから、自分たちにいちばん合うもの、見え方がきれいなものを何度も何度もトライしました。「これがいいね」「あれもいいね」と試しながら、振り付けも一緒に作りました。
他の演目に入れているスロージャンプについては、なかなか難しくて…。投げられる前に自分で跳んでしまったり、投げられる恐怖心もあって、このジャンプが今回最大の、私のBEYOND(乗り越えるポイント)になっています」(真央さん)
そうしたチャレンジを含め、今回真央さんが見せる演技は現役のときよりキレがあり、体力も以前にも増してついているように感じられますが…。
「演技については私もそう感じていますし、公演を見た姉にも言われました。ほかのメンバーについても、引退してからのほうが魅せることを意識して表現力が上がっていて、みなさんにプレゼンテーションする力はみんな進化していると思います。私の体力に関しては、そうですね。以前のサンクスツアー以上に、曲数も滑る量が多くプログラムの中身も濃くてハードなので、自分のいつもの練習だけでは体力作りができないなと思って、バレエやジャズダンス、タップダンスのほかにキックボクシングを始めたりなど、ショーが始まるまでにみっちり体力作りをしてきました。その成果で、今の体力は史上最高です(笑)!」と真央さん。
〈写真〉アイスショー『BEYOND』より、躍動感あふれるペア演目『シェヘラザード』。
選手時代とは違う衣装へのこだわり
12月号のドレスアップ特集で登場いただいた真央さんは、映画のシーンのような雰囲気あるドレス姿を披露しています。スケーターとして、氷上で演技するときの衣装についてはどのように考えているのでしょうか?
「アイスショーをするようになってからのほうが、衣装にこだわるようになりました。選手時代は、スカートが短くて動きやすくて、軽くてのびがよくて…と、演技のしやすさの面から判断していました。演技してみてうまく動けない衣装は、すぐ作り直したこともありました」と真央さん。でもアイスショーでは視点を変えて、衣装も大事な表現のひとつと捉えているそうです。
「アイスショーの場合は、滑っている姿がきれい映える衣装を作りたいと思っているので、だいぶ視点が違いますね。今回のショーでは、私は10着くらいは着替えているのですけれど、選手時代の衣装とは違って、スカートが長めだったり裾にフリンジがついていたり、腕の部分の袖が長かったりしています。衣装も曲や演目のイメージに繋がる演出のひとつですから、こだわって作っているんです。スケーターからすると、スカートが長いと裾の布にスケート靴のエッジがからんだり、回るときに振られやすくなって、負担が大きくなるので大変なのですけれど。それでも最近は、以前より体幹が強くなったと思いますし、長さのある衣装のさばきかたも身に付いたかなと思っています」(真央さん)
〈写真〉ペア演目に生まれ変わった思い出の『シェヘラザード』は、真央さん現役時代の2011-12年シーズンのSP。(2011年グランプリシリーズ ロシア大会より)
スケーターの個性に合わせた衣装に注目
ショーの衣装はデザインだけでなく、生地や仕立てにも凝っているそうです。
「近い距離からの撮影も考えて、細かいところも手を抜いていません。白のロングドレスで滑るプログラムでは、遠くから見ると真っ白一色のドレスに見えると思いますが、実は、スカートがいろいろな生地でできていて、その仕上がりがきれいなんです。氷の近くでご覧になれる場合には、ギャザーの入り具合やストーンの数、生地の煌めきなどまで見ていただけるかなと思います。"わぁ、フィギュアスケートの衣装はこういうふうになっているんだ"と気づいていただけると嬉しいですし、群舞で、スケーターの個性に合わせて選んだ、それぞれ違うカラーなどもチェックしていただけたら」と真央さん。
本当に細部までプロデューサーとして関わっていることが伝わります。
〈写真〉アイスショー『BEYOND』より、真央さんこだわりの白いロングドレスが美しい群舞プログラム。
「真央リンク」へと繋がる夢
華やかな衣装をさらに"映え"させるポージングの美しさは、真央さんならではだと思いますが、氷上・地上にかかわらずどのようなことに気をつけているのでしょうか?
「ドレスや衣装を身につけたら、まずはよい姿勢を保つことが大切だと思っています。指先からつま先、足の伸ばし方まで、全てに気を使って動かします。今回のショーの群舞の練習では、腕の上げ方や上げる角度が最初は各自バラバラで、そこを合わせるところから始めました。私が伝えることは、「首から肩、手先につながるラインを意識して」「手を上げるときには自分の鼻の延長の高さにもっていくときれいに見える」などということでしょうか。母が私をバレリーナにしたいと思っていたので、私はスケートより先に、3歳からバレエのレッスンに通い始めました。5歳でスケートを始めた後も10歳ごろまでバレエを続けていましたから、その基礎があることで立ち姿やポージングがきれいと言っていただけるのかなと思います」(真央さん)
真央さんは「真央リンク」の構想について発表しましたが、その後の進展についても伺ってみました。
「はい。話が進んでいる段階です。今、ショーで全国を巡っているのは、子どもたちにもショーを見て夢をもってほしいなという願いがあるからです。ちょうど私が小さいときに伊藤みどりさんのアイスショーを見て、自分もこういうショーで滑りたいと思ったり、浜崎あゆみさんのステージを見て、こういう舞台を作りたいと思ったのと同じように…。スケートリンクに関しても同じ気持ちです。子どもたちに、「真央リンク」で頑張って練習してもらって、自分の夢をかなえてもらいたいのです。私が習ってきたこと、経験してきたことが、少しでも子どもたちの力になれればいいなと思っています」と言います。
スケートの練習は本当に大変なこともたくさんありますけれど、子どもたちがリンクに来るのが楽しくなるような、リンクに来たいと思ってもらえるような場所にしたいと思って構想を練っているところです。皆さんにスケートを身近に感じてもらって、スケート界を応援してもらいたいなと思っています」(真央さん)
〈写真〉優雅に腕や手を動かす身のこなしの美しさが話題となったプログラム『愛の夢』 (2011年グランプリシリーズ NHK杯より)
25ans恒例のQ&A!
最後に、25ans恒例のQ&Aにもお付き合いいただきました!
Q モットーは?
A
今は「BEYOND 全力120%」が合言葉です。全力100%は普通であたりまえなので、120%で。ショーに向けても「120%やるときがきたよ」、「今日も120%BEYONDしていきましょう」って声をかけています。
Q 好きなことは?
A
食べること! 仕事でなくても常に食レポしながら食べるんですよ。食べている人と美味しさを共有しながら食べるので、それは得意です。いちばん好きな食べ物はお寿司ですが、本当に何でも好きなんですよ。
Q 苦手なことはありますか?
A
苦手ってあまり思ったことがないかもしれません…。でも、そうですね、あるとしたらナレーション、読むお仕事は苦手かもしれません。
真央さん自選の思い出の現役演技BEST3などについては、ぜひ本誌連載「氷上のスターたちにフォーカス!」でどうぞ。
※「BEYOND」ツアーは2023年3月の東京アリーナ立川立飛での最終公演まで続いていきます。各地でのショーチケットは順次申し込み抽選が行われていますので、詳細は公式サイトでお確かめください。
公式サイト beyond-maotour.jp