リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔(ポルトガル)

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Monastery of the Hieronymites and Tower of Belém in Lisbon (Portugal)  OUV (iii)(vi)

1983年世界遺産登録 2008年軽微な変更

■ポルトガルのベツヘレム?

リスボンのジェロニモス修道院ベレンの塔は地図上では離れていますが、いずれも15~16世紀の大航海時代を象徴する建築です。

ジェロニモス修道院には「サンタマリア教会」が含まれますが、もとは「ベツレヘムの聖母マリア教会」として建設されました。ベツヘレムはパレスチナの都市を指し、新約聖書ではイエス生誕の地とされる聖地です。ベツヘレムをポルトガル語でベレンと書き、いずれの資産も「ベレン地区」に位置します。

14世紀、「ベツヘレムの聖母マリア教会」の建築を命じたのは”エンリケ航海王子”と呼ばれる、探検家であり、また実業家でもあり、大航海時代に旅立つ船乗りのためのパトロンとしても活躍した人です。

提供写真 サンタマリア教会

港にほど近いこの教会で、旅立つ船乗りたちは祈りを捧げたといいます。その中には歴史の教科書にも登場する”ヴァスコ・ダ・ガマ”もいたそうです。

そんなエンリケやガマをたたえて、「ベツヘレムの聖母マリア教会」に1502年、本格的な修道院建築を始めたのが、”国王マヌエル1世”でした。彼は修道院を加える際、聖ヒエロニムス修道士を責任者として置きました。ヒエロニムスをポルトガル語ではジェロニモスと言います。

なお”聖ヒエロニムス”とはキリスト教の聖職者であり、生涯にわたって神学を学んだとされる聖人です。なお彼が生前様々な聖地を旅して最後に亡くなったのはパレスチナのベツヘレムのようですが、4世紀の話なのでどこまで事実なのかはわかりません。

■大航海時代の象徴となる建築

さて、こうして現在の「ジェロニモス修道院」の建築が始まりましたが、完成するまでには長い年月がかかりました。大半は50年後の1551年にはできたそうですが、増改築を含めると完成は19世紀に入ってからのようです。

提供写真 ジェロニモス修道院

特記すべき点としては、石灰岩で造られた修道院の入口上部(タンパン)には聖ヒエロニムスの生涯が描かれています。また、内部にはヴァスコ・ダ・ガマの棺が残されています。

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一方の「ベレンの塔」ですが、こちらも1515年頃にヴァスコ・ダ・ガマがインド航路開拓を記念して造られた5層の塔で、航海士が最後に望む塔ともされてきました。

いずれも大航海時代を印象付ける、ロープや天球儀・船・サンゴ・海藻などをモチーフにした彫刻が各所に見られ、これらはマヌエル1世の名をとって「マヌエル様式」と呼ばれます。また、監視塔の屋根としては当時としては斬新なムデハル建築の様子も見られるそうです。

提供写真 ベレンの塔

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