フルタイムとは?何時間働く?パートや正社員との違いとは
各国の研究者が実施した「世界価値観調査」によると、1980年代前半の日本の成人女性のフルタイム就業率は28.2%、2020年で19.4%という結果でした。世界的に女性の社会進出が進んでいるように思われますが、日本では女性のフルタイム就業率が減少していることが分かります。
正社員やパート、フルタイムといった雇用形態によって勤務時間や給与形態、福利厚生の有無などが変わってきます。それぞれの特徴について知ったうえで、どの働き方を選ぶか決める必要があります。
この記事では、フルタイムとは何か、パートや正社員との違いについて詳しく解説します。
出典:「世界価値観調査」
【目次】
フルタイムとは始業から終業までフルで働くこと
勤めている企業で定められている、正社員の労働時間と同じ勤務時間で働くことをフルタイムといいます。
パートのように数時間の労働ではなく、正社員と同じ全時間帯勤務となります。始業時間や終業時間は企業によって異なるため、その企業の正社員と同じ労働時間であればフルタイムとみなされます。
たとえば、勤務先の正社員の勤務時間が「9時~18時」であれば、フルタイム勤務は同様に「9時~18時」まで働きます。
また、パートやバイトのように週に3日などの労働日数とは異なり、基本的には週5日の勤務という形になります。
パートや正社員との違い
パートとフルタイムの違いは、労働時間や雇用条件などにあります。ここでは、具体的にどのような違いがあるのかについて、それぞれの働き方による特徴を見ていきましょう。
フルタイムとパートの違い
パートとはパートタイムを指す言葉で、短時間の労働を意味しています。フルタイムよりも短い時間で働くもので、バイトと同様に1日に数時間程度の労働時間となります。
バイトは「学業の合間などに行う短時間労働」を指すのに対し、パートは「短時間労働」というニュアンスで使用されます。
バイトとパートに特別な違いはなく、基本的に雇用形態としては同じものです。働いている人が学生か否かで名称が変わる程度で、労働環境などに特別な扱いの違いはありません。
パートは就業に際し、拘束時間に融通がきくメリットがあるため、子育て中の主婦の方や定年退職後の再雇用などで働く方が多いのも特徴です。
フルタイムと正社員の違い
フルタイムは、正社員という意味ではありません。これは、雇用形態によって異なる部分があるためで、パートのように時給制で働きながらフルタイム勤務を行う場合もあります。
パートとして雇用されながらフルタイム勤務を行うことを「フルタイムパート」と呼びます。
また、業務委託や派遣なども同様で、正社員ではなくともフルタイムとして勤務している人は多くいるため、ニュアンスの違いに注意が必要です。
フルタイムと正社員では雇用形態以外にも違いがある
フルタイムは正社員と同じような勤務時間で働くことから、正社員と非常に近いように思う方も多いでしょう。しかし、以下の表のように雇用形態以外にもさまざまな違いがあります。
フルタイムのパート | 正社員 | |
---|---|---|
雇用形態 | 非正規雇用 | 正規雇用 |
雇用期間 | 有期雇用契約 | 無期雇用契約 |
給与形態 | 時給・日給制が多い | 月給制が多い |
福利厚生 | 会社規定の福利厚生が受けられる(一部条件あり) | 会社規定の福利厚生が受けられる |
待遇 | 昇給・賞与の機会が少ない(正社員に比べると劣る傾向) | 昇給・賞与の機会が多い(職場の規定による) |
異動 | 基本的には地域限定雇用が多い。転居をともなう異動は少ない。 | 転居をともなう異動の可能性がある。(雇用契約書に転勤の記載がある場合) |
上記の表のように、正社員のほうがフルタイムよりも安定して働けて給与や待遇も手厚いことが分かります。とはいえ、正社員になると転勤の可能性がある点には注意が必要です。
パートからフルタイムに切り替える際の注意点
パートからフルタイムに切り替えると、これまでとは働き方が変わります。ここで紹介する3つの注意点を押さえ、検討してみてください。
場合によっては収入が減るおそれがある
パートからフルタイムへ切り替える際には、働く時間に注意が必要です。とくに扶養内で働いている場合は、収入が増えることによって扶養から外れる可能性があるためです。
フルタイムとして働く場合でも、雇用形態がパートのままだと基本的に給与は時給換算で支払われます。
扶養から外れると国民年金や健康保険料などを自分で納める必要がでてきます。
年間130万円を超える収入があると、扶養から完全に出てしまうため注意しましょう。
年間140万円程度の収入では、国民年金や健康保険料で引かれる金額によって、130万円以内に抑える方が、手取り額が高くなる逆転現象が起こります。
扶養から外れてでも、フルタイムとして稼ぎたいと考えるのであれば、手取りがプラスとなる目安の「年間150万円以上」に収入を調整できると安心です。
体力面の負担が増える
パートからフルタイムになると働く時間が長くなるため、体力面での負担が増えます。1日4時間で週3回の勤務形態の人が1日8時間勤務で週5回になれば、以前よりも働く時間は倍以上です。
長時間勤務に慣れていない場合、初めのうちはワークライフバランスを整えるのに苦労するでしょう。家事をしている主婦の場合は、仕事から帰ってきてから料理や掃除となると、予想以上に疲れてしまうはずです。
フルタイム勤務で家事をする場合、家族とも相談して家事の分担をお願いするとよいでしょう。
社会保険への加入がおすすめ
パートは社会保険の加入が必須ではありません。しかしフルタイム勤務の場合は、社会保険の加入対象となる場合があります。社会保険の加入条件は以下のとおりです。
・週の所定労働時間が20時間以上
・賃金月額が月8.8万円以上で、年収106万円以上
・1年以上の使用が見込まれている
・従業員501名以上の勤務先
・学生でない
上記のほかにも、勤務時間や日数が正社員の4分の3以上の場合は、社会保険の加入義務が発生します。パートであっても疾病や介護、失業や労働災害などのリスクに備えたい場合は、社会保険の加入がおすすめです。
フルタイムからパートに切り替える際の注意点
家庭の事情によってフルタイムからパートに切り替えたい方もいるでしょう。ここでは、フルタイムからパートに切り替える際の注意点を紹介します。
社会保険に加入できなくなるおそれがある
フルタイムからパートへ働き方を切り替えるメリットは、時間に余裕ができる点にあります。一方で、社会保険に加入できなくなるケースが多いため、切り替える際には注意が必要です。
上述のように、扶養内で働くのであれば所得金額のコントロールが必要になってきます。
正社員からパートへの切り替えは慎重に
正社員からパートへ切り替える場合には、賞与がなくなる、キャリアの維持ができなくなるなどのリスクについても考えておく必要があります。
しかし、正社員からなんらかの理由で離職した人が、仕事復帰にむけてパートから少しずつ慣れていく、という働き方もあります。
パートとしての職場復帰は、復職したい場合に検討しやすいのも特徴です。キャリアの維持・形成や、社会保険などを引き続き受けておきたい場合には、正社員の時短勤務という働き方もあります。
給与はやや減少する可能性はありますが、時短勤務中も正社員としての保証が受けられるほか、フルタイム勤務に切り替える際にもスムーズです。
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まとめ
2017年4月1日より「短時間労働者及び有期契約労働者の雇用管理の改善等に関する法律」が改正され、条件を満たすパート従業員も社会保険への加入が可能となりました。
そのため、フルタイムなどの働き方で、扶養から外れても社会保険に加入できる仕事は今後も増加していくと予測されます。
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