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2021年2月の特集「40代からの人生を変えた挑戦」に登場した元NHKアナウンサーの島津有理子さん。44歳のときにかねて興味のあった医師を目指そうと一念発起、NHKを辞めて大学の医学部に編入するまでの経緯と、挑戦そのものを気負いなく楽しむ様子を語ってくれました(「NHKアナ→医学生 失敗しても既に1つキャリアがある」)。それから3年、島津さんは24年3月に医師国家試験に合格し、大学を卒業。この4月に50歳で医師としての一歩を踏み出しました。
「終わってみれば意外とあっという間の5年半だった」という島津さんですが、その間には原因不明の体調不良に苦しんだ時期も。ミドル世代特有の事情とも付き合いながら難関資格を目指して学び続けた日々を振り返ってもらいました。
「知識を器に入れても入れても底から抜けていく!」と焦り
編集部(以下、略) 医師国家試験合格、本当におめでとうございます! 島津さんなら合格間違いなしと思っていましたが、発表の日はSNSでの報告を今か今かと待っていました。
島津有理子さん(以下、島津) ありがとうございます。皆さんにいいご報告ができて、ほっとしています。医師の場合、国家試験を受けるところまでたどりつくのが大変で、試験自体は9割以上の人が合格します。本当ならもう少し安心して結果を待てたと思うのですが、実は試験の最後のほうで体調を崩してしまい、頭痛を抱えながら問題を解いていたんです。マークミスなど思いも寄らない間違いをしていないかと結構心配しました。
―― 島津さんは18年の秋に医学部の1年生に編入し、順調に進級してストレートで卒業しました。それがまずすごいことだと思います。
島津 確かに、大学での勉強量は想像以上で、「こんなに勉強が大変だとは思わなかったよね」と同級生とも話していました。
毎年、わずかですが留年する人はいたので、もし進級できなかったらというプレッシャーは常にありましたし、卒業できなくて国家試験を受けられない人もいました。40代だから記憶力が落ちているとか勉強についていけないとか思うことはあまりなかったですが、国家試験は覚えなければいけない範囲と量が膨大で、さすがに若い子たちに負けるかもと思いました。
例えると、みんなが大きな器に勉強した知識を少しずつためていくときに、私だけ底がメッシュ状になっていて、入れても入れてもざーっと抜けていく感じがするんです。対策を考える時間もないし、とにかく空っぽになる前にひたすら入れ直す、を繰り返していました(笑)。
―― 改めて、この5年半の学生生活を振り返って、今どんな心境でしょうか。