わが子のためと思うほど、「こうあるべき」という「子育ての正しさ」に縛られ、窮屈な思いをしている人も多いのではないでしょうか。仕事と家事、さらには「親の育て方が子どもの将来を決める」とばかりに肩ひじ張って育児に奮闘し続ける――。気づけば、親の思い描くビジョン通りに子どもを歩ませようとしてしまっているかもしれません。そこで今回は、日本の常識に縛られることなく、グローバルに活躍してきた経験を生かして子育てをしてきた6人の女性をクローズアップ。海外で子育てする人、自身の海外経験を日本での子育てに生かす人、グローバル企業に勤めて多様性を身に付けた人の「レールを敷かない子育て」に迫ります!

パリで結婚・出産 華やかさの影にあった苦労とは

 日本でキャスターとしてキャリアを積み、28歳でパリに留学。31歳で結婚、32歳で長女、34歳で長男を出産した雨宮塔子さん。それから23年の歳月が経ち、現在、雨宮さんの長女は大学2年生、長男は高校3年生。長女はフランス国外の大学へ留学中で、長男は6月のバカロレア(大学入学資格試験)に向けて勉強中です。

 他人から見れば華やかに思えるパリ生活ですが、「子育ては大変だった」と雨宮さんは振り返ります。

 「長年パリで生活していても教育事情に詳しい訳ではありませんし、日本とフランスの価値観の板挟みになって、子どもの自己肯定感を下げてしまい、子どもを苦しめてしまったこともあります。今でこそ日本の良さ、フランスの良さが分かりますが、当時は何が正解か分からずに悩んだこともありました」

 子どもの学校に関しても、想定外のことがいろいろ起きました。ある大きな出来事が、雨宮さんが帰国してキャスターに復帰するタイミングと重なり、雨宮さんを自責の念に駆らしめたことも。ただ、そうした異国の地での子育ての紆余曲折を経る中で、雨宮さんが達観し、今、子育てに奮闘中のママやパパに伝えたいことがあるそうです。

詳しくチェック!
・日本式の子育てにこだわったことがあだとなり、子どもの自己肯定感が低下したことも。それでも日本の美意識や道徳の良さは伝え続けた
・長男は私立→公立へと転校を経験し、「たくましく、動じない」性格に
・「フランス式子育て」が精神的な成熟を促し、親離れも早い理由は
・日本も今後、多様性のある社会になっていく中で、「レールを敷くことに意味はあるのか」
フリーアナウンサー・雨宮塔子さん
フリーアナウンサー・雨宮塔子さん