イトヨ

トゲウオ目　トゲウオ科　イトヨ（gasterosteus aculeatus）

背中に科名の通り鰭が変形した3本の棘があるのが特徴。実は尾鰭のそばにも1本棘がある。
遡河回遊型のため、川で繁殖するが、育つのは海。
卵から生まれた稚魚は海へ下り、繁殖の時期になると川へ帰ってくる。
その時期にはオスが巣作りをし、子育てをする。
巣の形状は、川底に穴を掘って水草を絡めたトンネル状のもの。
それと知らなければ巣には見えないかもしれない…

オスでは繁殖期に体の下半分が赤くなり、なわばりをもつようになる。
この時、ほかのオスだけでなく、腹側が赤い配色のものであれば形状に関わらず攻撃することで有名。
彼らにとって重要なのは腹が赤いか否かなので、背側が赤いものや形だけそっくりな白い模型には攻撃しない。

この行動およびそれを観察する実験は、生物の授業で本能行動（かぎ刺激）の例として用いられる。
ちなみに攻撃の際背中や腹の棘を生かして戦うのかと思いきやそうでもないようで、記録を見る限り頭突きばかりしていた。
また、鏡像認知（鏡に映った自分の像を自分だと認識すること）はできないので、繁殖期のオスがいる水中に鏡を設置すると、映った自分（腹の赤いイトヨ）を敵だと思ってひたすら頭突きしまくる。