Windows 11とAIの“融合”から新しい「Surface」まで、マイクロソフトが発表した新製品すべて

毎年恒例となったマイクロソフトの新製品発表会。今年は「Surface」シリーズの新しいノートPCのほか、Windows 11とAIアシスタント「Copilot」の融合や新しいAI機能の数々が発表された。
Microsoft Surface Laptops posed on podiums
Photograph: Microsoft

マイクロソフトが9月21日(米国時間)にニューヨークでメディア向けイベントを開催し、「Surface」シリーズの新しいノートPCを2機種のほか、「Windows 11」に今月末に搭載される人工知能(AI)を活用した機能強化の数々を披露した。1時間に及ぶプレゼンテーションはライブ配信されなかったが、実際に会場で発表やデモを観て、新しいデバイスを触ってみた。その概要を紹介しよう。

なお、新しいSurfaceの2機種は公式サイトでの予約が始まっており、10月3日に発売される。

あらゆる場面に「Copilot」を

今年初めに発表されたマイクロソフトの新しいAIアシスタント「Copilot」がWindowsに完全に組み込まれる。ウェブブラウザー「Microsoft Edge」でさえも、Windows 11のほとんどすべての部分で表示できるサイドパネルだと考えてほしい。

その目的とは、日常のありふれた作業を支援することだ。例えば、長いメールにテキストをコピー&ペーストすると、Copilotがすべての情報を理解しやすいようにきちんと整理してくれる。画像に手を入れるとCopilotは自動的にその操作を認識し、写真を分析するかどうか尋ねてくる。分析が終わると、次にその画像で何ができるのか選択肢が表示される仕組みだ。

Copilotを使えば、今度の旅行のためにスマートフォンでフライト情報を検索したり、文脈に基づいてテキストを作成したり、そのほかの多くの検索や生産性関連のタスクをこなせるようになる。しかも、Windows PCから単体のアプリとして利用できるだけでなく、「Microsoft 365」のアプリやMicrosoft Edgeからもアクセスできる。この新機能は9月26日にリリースされるWindows 11の次期アップデートの一部として展開される予定だ。

Courtesy of Microsoft

検索エンジン「Bing」を使って買い物をしたいなら、そこでもCopilotが役に立つ。マイクロソフトによると、「ショッピング」のタブもCopilotに対応し、アシスタントに話しかけて買いたいものを探す手助けをしてもらえるようになる。

Copilotは探している商品をよりよく理解し、商品のレビューや長所・短所を含む適切な買い物の推奨事項を示せるように、さまざまな質問によってあなたを導いてくれるのだ。これらの機能は今秋から利用可能になる。

Copilotにはビジネスで使える機能もある。このAIアシスタントは直近のメールやチャット、ファイル、過去のミーティングを調べ、それらに含まれる重要な情報を照合できる。また、未読メッセージを要約したり、チャットやメールへの返信を下書きしたり、設定に基づいてイベントを作成したりすることも可能だ。こうしたビジネス向けの機能は、11月1日から法人顧客向けにのみ提供される。

「Surface Laptop Studio 2」

初代「Surface Laptop Studio」の発売から2年が経過し、最も高性能なSurfaceノートPCの第2世代モデル「Surface Laptop Studio 2」が登場した。旧モデルと同様に最大120Hzのリフレッシュレートを実現した14.4インチのタッチ式ディスプレイを搭載し、デュアルヒンジのマウントシステム(ディスプレイとベースの背面中央に埋め込まれている)によって画面をさまざまな角度に調整できる。

キーボードとタッチパッドにフルアクセスできる「Laptop モード」のほか、ゲームや映画鑑賞のためにディスプレイを手前に出してキーボードを優先させない「ステージ モード」、タブレット端末のように絵を描いたり文章を書いたりできる「スタジオ モード」が用意されている。

Photograph: Microsoft

新モデルでは、クリック感度を調整できる新しい触覚タッチパッドと右クリックエリアも追加された。また、手が不自由なユーザーがトラックパッドを使いやすくする「アダプティブ・タッチモード」も用意されている。アダプティブモードに切り替えると、スクロール、ピンチ、ズームなどの複数の指を用いたジェスチャーが無効になる。代わりにカスタマイズされたアルゴリズムによってトラックパッド上の動きを登録し、指の動きが制限されているユーザーが効果的に入力できるようにする仕組みだ。

ディスプレイ部分はデュアルヒンジになっている。

Photograph: Julian Chokkattu

心臓部には第13世代のインテル「Core i7」プロセッサーを採用したことで、処理能力は旧モデルの2倍になったという。GPUは「NVIDIA RTX 4050」か「4060」、もしくは「NVIDIA RTX 2000」(より負荷の大きい作業向け)から選択できる。Surface Laptop Studio 2の価格は2,000ドルから(日本では33万6,380円から)で、10月3日に出荷される。

「Surface Laptop Go 3」

「Surface Laptop Go 3」のデザインは従来のモデルと変わらない。このミッドレンジのノートPCは、12.4インチのタッチ式ディスプレイ(アスペクト比は3:2)や720pのウェブカメラ、USB-Cポート、USB-Aポート、3.5mmのヘッドフォンジャック、「Surface Connect」ポートを搭載している。電源ボタンには指紋センサーが内蔵されている。

第12世代のインテル「Core i5」プロセッサーを搭載しているが、基本モデルのRAMが増量(8GBか16GBから選択可能)されたほか、最大256GBのストレージを搭載できるようになった。マイクロソフトによると、初代「Surface Laptop Go」より88%ほど高速で、バッテリー駆動時間は最大15時間だという。Surface Laptop Go 3は799ドルから(日本では14万2,780円から)で、10月3日に発売される。

Surface Laptop Go 3は799ドルから(日本では14万2,780円から)で、10月3日に発売される。

Photograph: Microsoft

今回の基調講演では披露されなかったが、終了後にひっそりと発表されたのが「Surface Go 4」だった。このマイクロソフトの軽量なSurfaceの新モデルは、厳密には法人顧客向けとなる。

10.5インチのディスプレイと1,080pのウェブカメラ、800万画素の背面カメラ、そして背面にキックスタンドを搭載しており、脱着できるキーボードを購入すれば完全な2-in-1のノートPCとして利用可能だ。CPUは旧モデルのインテル「Core i3」プロセッサーからインテル「N200」に変更され、パフォーマンスは80%向上したという。こちらも今秋発売予定だ。

「Bing」は画像生成AIで進化

ユーザーの指示に基づいて画像を生成する「Bing」の画像生成ツールが進化した。OpenAIが発表したばかりの新しい画像生成AI「DALL·E 3」を採用しており、生成した画像を即座に修正できる。マイクロソフトによると、新しいエンジンはプロンプトをよりよく理解し、結果としてより高品質の画像を生成できるという。なお、すべての画像には「Generated With AI(AIで生成)」との電子透かしが入り、コンピューターが生成したことが明示されるようになった。

Windows 11で「DALL·E 3」を使った画像の生成。

Courtesy of Microsoft

Bingでの検索は「Personalized Answers(パーソナライズされた回答)」と名付けられた機能によって、さらにパーソナライズされている。これはBingチャットの履歴を利用して過去の会話を“記憶”し、表示される検索結果を改善していく仕組みだ。

例えば、Bingチャットでスポーツやペットについて頻繁に話していた場合に、やることを検索するとスポーツやペットと関連するアクティビティが含まれる検索結果が表示されるかもしれない。この機能はオフにすることもできる。

WIRED US/Translation by Daisuke Takimoto)

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