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日本株の上昇持続には賃上げと値上げの好循環が必要 渡辺浩志

 海外投資家の日本株の売買額は、米株価と連動している。米株価が上昇すれば、分散投資の資金配分を保つ目的で日本株が買われるためだ。結果として、日米株価の連動性は強まる半面、利益に見合わない日本株高を招く。

 日経平均株価のPER(株価収益率)は急騰し、いまや米S&P500指数のそれを上回った。また、株式益利回りは4%台へ低下し、元本が保証される米国債の利回りと大差がなくなった。これを見て海外勢が日本株を割高と判断すれば、資金配分が減らされ、日本株への買いは細ってしまう。

 日本株の持続的上昇のため、企業が取り組むべきは次の2点だ。

 第一は、資本効率の改善である。昨年来、企業は自社株買いや増配でROE(株主資本利益率)を向上させてきた。株主還元の強化は海外勢に高く評価されたが、こうした分配政策は無限には続けられない。今後は経営者が成長戦略を立て、情報化投資や人的投資を積極化し、企業の生産性や利益成長力を高めることが重要になる。

 第二は、個人マネーの獲得だ。長らく日本株の低迷を見てきた個人投資家は、少しでも株価が上がるとすぐに利益確定の売りを出す。この逆張り姿勢の転換を促すことが必要だ。

「横ばい経済」が長すぎた

 日本株の低迷が長引いた原因はデフレだろう。図1の通り、日本株は国内の数量景気を表す「実質GDP(国内総生産)」と企業が海外で稼いだ所得を含む金額ベースの景気である「名目GNI…

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週刊エコノミスト

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