1月9日朝、富山県東部で「不思議な形の雲が見えた」という投稿がSNS上で相次いだ。地震の前兆となる〝地震雲〟ではないかと不安視する声もあったが、気象の専門家は「地震の前兆となる雲はない」と指摘。災害時はデマが広がりやすくなるため、安易に情報を拡散しないように呼びかけている。

9日朝に県東部の上空で見られた変わった形の雲。北日本新聞社にも写真とともに目撃情報があった(読者提供)

 話題になった雲は、楕円形で滑らかな形状で、輪郭が輝き、「UFOのよう」「めっちゃ不思議」などと関心を集めた。一方で大きな地震の後は、見慣れない気象現象を地震と結び付けて「地震に関係あるのでは」などと不安を抱くケースがあり、今回も「何も起こらなければいいけど」と心配する人もいた。

 ただ科学的な根拠はなく、気象庁気象研究所主任研究官の雲研究者で、映画『天気の子』の気象監修を務めた荒木健太郎さんは「大きな地震があると必ずといっていいほど事後に『地震雲』を不安に思う方の声を聞くが、雲は天気の変化の目安になることはあるものの、地震の前兆にはなりえない」と指摘する。

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