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川崎F内定。進化続ける静岡学園FW神田奏真は日本を代表するストライカーへ

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U-18世代を代表するストライカー、静岡学園高FW神田奏真川崎フロンターレ

 フロンターレから日本を代表するストライカーになる――。川崎フロンターレは18日、24年シーズンからの新加入選手として静岡学園高(静岡)FW神田奏真(3年)が内定したことを発表した。

 JリーグでFWは、特に外国籍選手との競争を求められるポジションだ。だが、神田は「まずはフロンターレで結果を残して、代表でも結果を残せるようになりたいと思っている。そういうところは常々意識しています」と語る。

 FWのポジション争いを勝ち抜き、川崎F、日本代表で活躍することが目標。「自信はあります」という一方、それが簡単ではないということは理解している。「プロの環境は厳しいと思う。小林悠さんとか先輩たちのプレーを見て、もっと成長できるようになりたいと思っています」。まずやるべきことは成長し、先輩たちを超えることだ。

 川崎Fには8月に練習参加。「一番印象に残ったのは(元フランス代表FWのバフェティンビ・)ゴミスさんです。背負っているところとか見ると、日本の選手が全然動けない。あと、ああいう大きな選手でも技術もしっかりとあって、ビックリしました」と振り返る。

 そして、「ポジショニングだったり、ボク、(登録179cmと)そんなに身体が大きな方はないので、相手が外国人選手とかになったら負けちゃうので、もっとやっていかないといけない。足が速い選手とかが今、A代表で呼ばれていると思うんですけれども、そこでも違いを見せていかないと。(自分は特別な速さがないが、日本代表の)古橋選手とか動き出しの部分が日本人の中でもずば抜けているのかなと思うので、そういうところを目指してやっていきたい」と続けた。

 神田は周囲が驚くほどの進化を見せてきた。1年時にU-16日本代表候補へ初招集され、静岡学園では2年時からレギュラー。昨年は“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグWESTで10得点をマークした。だが、ホームの東福岡高戦で1試合5ゴールを挙げたことを除くと、期待に応えられた訳では無い。決定力を欠いたことでチームを勝たせることができず、当時はむしろ守備面での評価の方が高かった。

 だが、向上心が強く、地道に自分を磨くことのできる神田は今年、ゴールを量産。プレミアリーグWESTでは出場11試合で12ゴールをマークしている。また、6月のインターハイ予選決勝では、後半アディショナルタイムに跳躍しながらDFの頭上ほどの位置で胸トラップし、右足で劇的な同点ゴール。川口修監督が「あの高いボールをトラップしてシュートまで仕留める、(昨年の高校ナンバー1FWで、現ボルシアMGの)“福田師王2世”くらいの身体能力を発揮してきた。チームを勝たせる力がついてきた」と絶賛したスーパーゴールだった。

 さらに、延長前半に決勝点となる鮮やかなドリブルシュート。インターハイ予選からプレミアリーグWEST、インターハイ全国大会まで公式戦で8試合連続ゴールを記録している。また、U-18日本代表として出場したSBSカップ(8月)では、年上のU-20関東大学選抜相手にヘディングで競り勝ち続け、早くから神田を高評価していた川崎F・向島建スカウトをさらに驚かせていた。

 神田は当初、川崎Fからのオファーについて、「自分でとても嬉しいというのがあって、最初お話を頂いた時は、川崎からオファーが来るなんて思っていなかったので、めちゃくちゃ驚きました」と振り返る。そして、「ワールドカップで活躍した選手がいっぱいいるというイメージで、Jリーグの中でも僕的に抜けているチームだと思っています。代表選手とか色々な選手がいて、やってみたいと思ったので、お話を頂いた時はもう他に目が行かなくなった」。川崎Fのことしか考えられなくなった。

 練習参加した際は、雰囲気の良さと厳しさを体感。DF登里享平らが優しく接してくれ、静岡学園の先輩MF大島僚太やDF田邉秀斗からは「(8月当時)『今、プレミアで1位凄いな』とか言ってくれて」後輩たちのことを気にしてくれていることを実感した。その先輩たちとともに戦い、川崎Fにゴールと白星をもたらす。

 体幹トレーニングやシュートトレーニングを重ねてこの1年間で大きく成長したFWは、J1強豪でも成長を続けてポジションを奪い、ピッチでの活躍を目指す。「自分はFWなので、得点を取るというのが仕事なので、点を取るのと、空中戦とか、クロスからのシュートとかを見て欲しいです。1年目からフロンターレの役に立つと言うか、フロンターレで活躍できるようにしたいと思っています。少しでも早くフロンターレの力になれるようにやっていきたいと思っています」と力を込めた。

 来年以降へ向けて両足甲を手術したため、現在はリハビリの最中。肉体強化に時間を割いている。回復が早く、シーズン終盤戦での復帰が有力で、選手権も全国大会は本調子でピッチに立つことができそうだ。「(インターハイ初戦で敗れ、)僕ら目標としていた3冠がもう無理なんですけれども、残る2つを取れるチャンスがまだ残っているので、そこを取っていきたいなと思っています」。選手権で大暴れし、日本を代表するFWへの階段を上っていく。

(取材・文 吉田太郎)
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Text by 吉田太郎

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