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静岡学園から今年は3選手がプロ入り!FW神田奏真が川崎F、GK中村圭佑が東京V、MF高田優が徳島へ!

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静岡学園高の3選手がプロ入りへ。左から東京ヴェルディ内定のGK中村圭佑主将、川崎フロンターレ内定のFW神田奏真徳島ヴォルティス内定のMF高田優

 名門から新たに3選手がJリーグに挑戦する――。18日、静岡学園高(静岡)のU-18日本代表FW神田奏真(3年)が川崎フロンターレ、U-18日本代表GK中村圭佑主将(3年)が東京ヴェルディ、10番MF高田優(3年)が徳島ヴォルティスへ24年シーズン新加入内定したことがそれぞれ発表された。

 静岡学園は全国高校サッカー選手権優勝2回、今年はプレミアリーグWESTで暫定3位につけている強豪校だ。1970年代からテクニックとインテリジェンスを重視してきた元祖・技巧派軍団。当時から育成に力を入れ、2010年以降もMF大島僚太(川崎F)やMF旗手怜央(セルティック)、MF渡井理己(ボアビスタ)ら毎年のようにプロサッカー選手を輩出している。今回3選手の新加入内定によって、高卒Jリーガーが5年連続で誕生することになった。

 3人はJクラブユースへの昇格を逃したり、セレクションでの落選を経験したり、悔しい敗戦を経験したりしながらも、静岡学園で成長を遂げてきた。神田は23年の高体連を代表するストライカー。得意とするクロスからのヘッドをはじめ、鋭い抜け出しや個で局面を打開してからのシュートなど、多彩なパターンからゴールを量産する。空中戦で抜群の強さを発揮するほか、前線からの献身的な守備でもチームに貢献。今年のプレミアリーグWESTでは11試合に出場して12ゴール、またインターハイ後に離脱するまで公式戦8戦連発を記録している。

 また、静岡学園の主将を務める中村は、世代別日本代表の常連でU-18世代を代表する守護神だ。中学生からGKを始め、静岡学園で成長を加速。187cm、80kgの恵まれた身体から鋭いシュートセーブを繰り出し、ハイボールの強さ、安定感で相手を上回る。静岡学園で足元も強化。今年に入ってからは勝負強さが明らかに向上しており、チームを救うようなビッグセーブを幾度も見せている。

 そして、高田は大島や旗手、渡井らに続く静岡学園の10番。180cm近いサイズと抜群のテクニック、アイディア、決定力を併せ持つレフティーだ。ドリブル、コンビネーションでの打開を得意とし、中でも得点力の高さを大きな武器としている。主にシャドーや右サイドでプレーしながら、プレミアリーグWESTで5ゴール。年代別日本代表歴こそないものの、今夏のSBSカップでは静岡ユースの一員として出場し、U-18韓国代表から先制ゴールを決めている。

 18日、神田は「少しでも早く川崎フロンターレの勝利に貢献し、サポーターの皆さんと喜びを分かち合えるよう日々努力していきたいと思います」、中村は「東京ヴェルディのために全てを懸けて戦いたいと思います」、そして高田は「1日でも早くピッチに立てるように成長していくので、応援よろしくお願いします」とそれぞれクラブを通して意気込みを発表している。

 中村は同じタイミングでプロ入りする神田について、「苦しい時に点を取ってくれたりとか、後ろが苦しい時に前で身体を張ってくれたりとか、凄いチームが苦しい時に頼りになる存在だと思います」と語り、神田は中村について、「一番チームの中でも意識が高いし、チームがブレていることもはっきり言う人間なので、そういう発言力とかあるかなと思っています。頼れるというのが一番ですね。今年のチームとかも結構救っている試合とかも多いと思うので、僕たちも信頼している」と語る。

 また、高田は2人について、「奏真はいっぱい点を取ってくれているし、圭佑で勝点取った試合もめちゃくちゃ多いし、この2人がいなかったらこの順位には絶対にいないです。奏真はピッチ外ではおもろいですけれども、穏やかに話すみたいな感じ。でも、プレーとかなったら声デカくなったりするし、熱いところがあるんだなと思ったりしている。あと(相談する際に)話しやすいです。圭佑はピッチ内では“お父さん”って言ったらあれですけれども、厳しく、甘かったら誰にでも構わず言えるし、声デカいし、つらい時とかチームが苦しい時に一番声を出しているんで、正直助けられているというか、その声を聞いて、ハッと思うことが結構あります。ピッチ外ではおちゃらけキャラみたいな感じで、ノリが良い。ピッチ内とピッチ外とのギャップが良いですね」と説明した。

 そして、神田と中村は高田について、「優に関しては不思議ですね(微笑)。何が不思議か分からないですけれども何か不思議ですね。プレーはずっと一緒にやってきて思うのが、上手い。人とは違うなという、独特なドリブルがある」(神田)、「ボール預けたら何かやってくれるし、大事なところで決めてくれたり、チームのみんなに優は声を掛けてくれたりとかもある。凄くフレンドリーだし、ユーモアもあって、背中で見せるタイプではないけれど、自分が声を掛けたりするとそれに乗って付いて来てくれたり、凄く協力してくれる部分がある」(中村)と語った。

 高体連から大学への進路を選択する選手も多い中、3選手の高卒プロ入りはやはり快挙だ。チームメートからライバルへ。神田は「3年間一緒にやってきた仲なので、一緒にプロの舞台に立てることは嬉しいですし、これからプロの中でも競争があると思うので、2人に負けないようにやっていきたい」と意気込み、中村は「やっぱり一緒にやってきた仲間と一緒にまたプロでできるのは嬉しいし、2年前も(同時プロ入りが)4人で、(磐田の古川)陽介君とかヒョン君(玄理吾、徳島)は今年も直接やったりしているけれど、そういうのを見ると良いなと思ったりもするので、この3年間で高校は終わりですけれども、また一緒にやれる可能性があるというところは凄く嬉しいなと思います」と将来の対戦、また同じチームでプレーすることを期待した。
 
 チームは現在、プレミアリーグと全国高校選手権の2冠を目指して活動中。両足を手術をした神田が長期離脱しており、簡単なことではないが、高田は「インハイ負けた後、もう一回チームでミーティングとかして、目指すところの確認とかしたので、あとは2冠を全力で取りに行こうということで、それに向けて一戦一戦やっていきたい」。現状、今年の高体連で最も多い3人のJ内定を擁する静岡学園。個人としての目標を達成した3選手が、プロ入りの前に力を合わせて日本一、2冠という結果を残す。

(取材・文 吉田太郎)
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吉田太郎
Text by 吉田太郎

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