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[MOM4494]桐蔭学園GK神保颯汰(3年)_前半に右目下カットも勇気ある守備。PK戦で「チームを勝たせる」ビッグセーブ!

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PK戦4人目、桐蔭学園高GK神保颯汰主将(3年=湘南ベルマーレU-15WEST出身)が相手のシュートをストップ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.4 選手権神奈川県予選準決勝 桐光学園高 1-1(PK3-4)桐蔭学園高 等々力]

 試合後、負傷した右目付近は赤く腫れ上がっていた。桐蔭学園高GK神保颯汰主将(3年=湘南ベルマーレU-15WEST出身)は前半24分、相手スルーパスに対して身体を投げ出して阻止。だが、最後まで諦めずに足を伸ばした桐光学園高FWのスパイクが顔に当たり、右目下側をカットしてしまう。

 試合は神保の治療のため、10分間近くストップした。神保は「意識があるから出れる」とチームスタッフ、主審にアピール。プレー続行を不安視されたが、視界が狭まることも、気持ちが高ぶりすぎることもなかったという。この日は相手のサイド攻撃を警戒。立ち上がりから、クロスに対して鋭い飛び出しを見せていたGKは受傷後も変わらず、アグレッシブなプレーを続けていた。

「クロスに全然出れましたし、フロントダイビングも突っ込めたのでプレーに支障はなかったです」。クロスに対して果敢に飛び出し、DFの背後のスペースも広範囲にカバー。神保の勇気あるプレーによってチームは1点リードで前半を折り返した。

 後半立ち上がりに一瞬の隙を突かれる形で失点。だが、ここから桐蔭学園は再び集中した守りを見せる。相手にシュートを打たれていたものの、決定的な一撃が枠を襲うことはなかった。神保は「僕だけじゃなくて、CBも、両SBも今日は本当に良く頑張ってくれて、実際シュートもそんなに多いわけではないのでDF陣に感謝したい」と感謝。その守護神はPK戦でチームを勝たせた。

 1-1で突入したPK戦は2-2で3人目を終了。迎えた4人目、神保がインターハイ得点王の桐光学園FW宮下拓弥(3年)のシュートをストップする。「大体試合中の癖だったりを見て止めている。それがたまたま当たった。両手を残しながら反応するというのが基本なので、基本の部分を徹底してできたので良かったと思います」。右上に飛んできた一撃に反応。そして、両拳を突き上げて喜んだ。

 夏の敗戦を乗り越えた。桐蔭学園はインターハイ予選準決勝で日大藤沢に1-1からのPK戦の末、4-3で敗戦。勝てば全国大会出場だったが、無念の涙を流している。そこから5か月弱、今度は4-3で勝利した。

 神保は「インターハイは同じ会場、同じシュチュエーションで悔しい思いをしたので、その無念を晴らすじゃないですけれども、乗り越えないと僕自身も、チームとしても強くならないと思っていたので、乗り越えられて良かったです」と微笑んだ。

 勝利が決めると、ピッチに倒れ込んだ。「ここ2年間、僕自身もベンチで見ていましたし、ベスト8で敗れ続けて全国から遠のいていたので、やっぱり自分たちの代で、自分がキャプテンとしてチームを引っ張っている立場でチームを決勝に導けたことが嬉しくて、全身の力が抜けたというか、ホッとした部分がありましたね」。敗者の無念を知る主将はその後、ピッチ上で泣き崩れていた相手10番MF松田悠世(3年)の下へ駆け寄り、言葉を掛けていた。

 八城修監督は、難しい状況で責任を果たした主将を「本当に神保様々じゃないですけれども、良く戦ってくれた」と賞賛。だが、戦いはこれで終わりではない。神保は腫れた右目付近を冷やしながら、「次勝たないと何も意味がないので、次は何て言われようと試合に出るつもりなので、頑張りたいと思います」。神保のテーマは「勝たせるGK」。この日、魂のプレーでチームを勝たせた神保が、夏のリベンジマッチとなる決勝(対日大藤沢高)戦も桐蔭学園を勝利へ導く。

(取材・文 吉田太郎)
●第102回全国高校サッカー選手権特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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