《笑い祭り》1月20日は「鼻かけえびす初笑い神事」!

日本には、笑うことを神事や祭りの主に据えた「笑い祭り」が数多くあります。 そんな「笑い祭り」を一つ一つ掘り下げて紹介するシリーズ《笑い祭り》。第六回目は三重県の鼻掛けえびす初笑い神事です。えびすさんと一緒にみんなで初笑いをするおめでたい行事です。

鼻かけえびす初笑い神事(三重県、1月20日)

神事・祭りデータ

場  所:三重県志摩市浜島町浜島 恵比寿神社
アクセス:近鉄志摩線鵜方駅から三重交通宿浦行きバスで20分、浜島下車、徒歩10分
問合せ先:志摩市観光戦略室(TEL:0599-44-0005)
開催時期:毎年1月20日 午後1時~
地  図:下記参照

「鼻かけえびす初笑い神事」はこんな祭り

「鼻かけえびす初笑い神事」は毎年1月20日に三重県志摩市浜島町恵比寿神社にて行われる神事です。神事の開催場所である恵比寿神社は宇気比神社の末社です。 13時ごろに恵比寿像の前に地元の人々や観光客が集まり、神事は始まります。まず、海の幸や榊が供えられ、宮司が祝詞を奏上します。その後榊を手に社に参拝してから、初笑い神事が行われます。神事では恵比寿像を取り囲み、全員で両手を挙げて「ウワーッハッハッハ」と3回南の海に向かって笑い声をあげます。練習の為に1セット、本番で1セット、合計6回笑う神事です。


鼻かけえびす像

三重県観光連盟公式サイト観光三重 

なぜ笑うの?

2008年の札埜和男氏の恵比寿神社宮司に対する聞き取り調査によると、なぜ神事で笑うようになったかは定かではないそうです。また、神事は少なくとも60年くらいは続いているといいます。

「鼻かけえびす」という名称については、恵比寿神社境内の案内版に答えがあります。

この地は『惠比壽が丘』と呼ばれ、享保年間に造られた恵比寿尊の木像(高さ3尺)が祭られ、漁業や商業の神として崇敬されていた。その像が古くなったので、浜島の畳職人であった辻村定吉氏が半年間家業を休んで恵比寿尊像の製作にとりかかり、昭和7(1932)年11月に大成したという。いつ頃からか、誰彼となく夜密かに参っては恵比寿さんの鼻を折ってお守りするようになった。『端をとる』ことが『誰よりも先に大漁できる』意味から素朴な漁師の願いにより生まれた行為のようだ。そこから『鼻かけえびす』と呼ばれるようになった。鼻を折られてもにこやかに南の海を見ておられる恵比寿さま。
(札埜和男, 2008, 「『鼻かけ恵比壽の初笑い神事』報告」, 「笑い学研究」, 日本笑い学会, 15: 186-189.)

恵比寿像の鼻は縁起物として漁師のお守りとなるので、鼻が欠けた恵比寿像が誕生したのです。漁業関係者が中心となってみなでイナサ(東南)の方角の海を向いて笑う、豊漁を祈願した神事となってます。

まとめ

いかがだったでしょうか。この鼻かけえびす初笑い神事は、比較的新しい神事であるということもあり、以上がほぼすべての神事の情報です。笑い祭りを調べていくとかつて行われていた祭りが多くある一方で、最近できた祭りも数多くあることに気づかされます。古来からある祭りを大事にする一方で新しい祭りも大きく盛り上げて次世代へつなげていくことができればいいですね。みなさんもお近くの笑い祭りに参加してみてください。

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