生い立ち
ゲヘナ研究者の父親、氷室硫太郎(ひむろ りゅうたろう)と天津重工研究者の母親、氷室綾瀬(ひむろ あやせ)の間に生まれた。出身は横浜市。
父親、氷室博士はゲヘナ横浜研究所の「人間感覚拡張研究室」の主任を担当し、霊感実験を行っていた(これらの実験で苦しめられていたリリィのうち、後にLGニヴルヘイムの仲間となる 平坂鎖影?と 雪代陽華瑠?がいた)。ところが、研究室に所属していた分課「裏山グループ」のリーダー、裏山智博(うらやま ともひろ)博士が主任の座を奪おうと氷室一家を狙い、暗殺計画を企んでいた。当計画は特型ヒュージを利用した襲撃であり、決行された際に氷室博士夫妻の殺害に成功し、その娘二人の幽処と深幽(当時8歳)にも重傷を負わせ、視力を奪った。
ゲヘナに囚われた3年間
当時十分理解されていなかったリリィ波形感応現象を氷室家の双子娘が起こし、ヒュージを呼び寄せたと見なされたこの襲撃の後、主任代替により裏山博士は人間感覚拡張研究室を指導することになった。その際、全盲となった幽処と深幽を研究室に引き受け、自分の研究の第一実験体とした。その研究内容は「人工的に強化されたレアスキル・サブスキルによる周囲環境の感知」であり、視力を補う他の感覚を調べるために数多くの人体改造と臓器移植手術を伴った。実験に姉妹は激しく反抗し、その中に幾度も脱走を試みた。しかし、これは博士の怒りを買うばかりで、脱出が失敗する度に閉じ込められ、長らく拷問を施された。火刑、性的暴行、水責め、爪の引き抜きをはじめとした幅広い拷問を体験し、施術されたブーステッドスキル「リジェネレーター」により死の安らぎを阻まれた。
最後の脱出と百合ヶ丘女学院中等部編入
最初の脱出の際に氷室姉妹は縮地のレアスキルに覚醒し、後の失敗で次第にそのスキルの熟練度が上昇した。ようやく、11歳の頃に5回目の脱走がなされ、その際にレアスキルはS級に到達し、「異界の門」の特異的能力で成功した。自由への道を切り開いた二人はCHARMを2本盗み、裏山博士をも連れ出した。積年の恨みを返し、博士を人間だったとも分からないような肉片の塊にした後二人は逃げ去った。反ゲヘナの代表ガーデンがこの地方にいくつかあると分かった姉妹はそのいずれかに身を寄せようと思い(正式的に編入するわけではなく、ただ敷地内に隠れてゲヘナを避けるつもりであった)、そんな安息の地を求め旅立った。しかし、位置もわからず方向を探知する術がなかったため、当てもなく三浦半島の森林と山を彷徨っていた。
縮地S級とWhole Orderを頼りに野生動物を狩りながら、ゲヘナからの追撃団を抹殺したり、その他の人間を回避したりしていたという野生生活を送りながら氷室姉妹は大自然の中を彷徨っていた。イノシシやたぬき、リス、犬、猫などわずかに残っていた野生動物を獲物に、二人は狩りの技術と生肉食を覚え、いかにも人間を離れ肉食獣の姿に近づいていった。脱走してからおおよそ1年後、ある朝に外征から帰還中の百合ヶ丘女学院のレギオンを発見し、二人は一定の距離を維持しながら密かに追跡し、学院まで辿り着いた。敷地内にある茂みに潜り込むところを教職員に発見され、リリィであると判断され次第出てくるように促されたが、すぐには応じなかった。3週間ほど茂みの中で暮らし遠くからの声かけで説得を受け、ようやく姿を表し学院に身を預けることに同意した。その時、幽処と深幽は12歳だった。
百合ヶ丘女学院での検査において、姉妹のS級縮地と人工的に強化されたWhole Orderが確認された。12歳という若き年でレアスキルS級に到達したという前代未聞な能力を学院は認め、中等部入学を承認した。その時から年月は流れ、3年後に高等部一年生として自分たちのレギオン、「LGニヴルヘイム」の結成に至った。
|