経営破綻とは?破綻の要因・その後の手続きから予防策まで詳しく解説
会社の経営が悪化したとき、経営破綻するのではないかと不安に感じる経営者が多いのではないでしょうか。経営者は、会社の代表として、どのような状態を経営破綻と呼ぶのか、なぜ破綻するのかなどを確認しておくことが大切です。ここでは、経営破綻の定義、要因、その後の手続きから予防策まで詳しくご紹介します。
経営破綻とは
経営破綻とは、債務の弁済が滞り、会社の経営ができなくなる状態のことです。例えば、買掛金の支払い遅延、借入金の返済不能などの状態が挙げられます。手形の不渡りの状態が6ヵ月以内に2回発生すると、金融機関との取引停止によって経営破綻します。
それでは、経営破綻と混同されやすい倒産、破産、廃業との違いを詳しくみていきましょう。
倒産との違い
倒産と経営破綻は同じ意味とされていますが、破綻は「財政破綻」という言葉のように、倒産よりも広い意味で使われます。
破産との違い
破産とは、債務の弁済ができなくなったり、従業員に給与を支払えなくなったりした状態です。また、自己破産のように手続きの名称としても使用されます。
廃業との違い
廃業とは、端的に言えば会社をたたむことです。法務局の法人登記を抹消すれば、「廃業した」とみなされます。経営破綻と廃業は同じ意味の言葉ではありません。
経営破綻の要因
どれだけ順調に収益を挙げている企業でも、外的要因によって経営破綻に追い込まれるケースがあります。例えば、新型コロナウイルスのまん延は、経営破綻の外的要因の1つです。また、単純に経営の手腕や従業員のスキルに問題があり、経営破綻するケースもあります。それでは、経営破綻の要因について詳しくみていきましょう。
不況
何らかの原因で消費が減ったり関連企業が経営破綻したりして、自社に影響が及ぶケースがあります。例えば、2008年のリーマンショックは、主に金融機関がダメージを受けましたが、連鎖的に多くの企業が不況の煽りを受けました。
そのほか、新型コロナウイルスのまん延は、すべての業界に影響を及ぼし、経営破綻の大きな要因になっています。
技術革新
技術は日々進歩するため、常に時代の流れに乗らなければ生き残れません。現在は順調に収益を伸ばしていても、新技術への対応が遅れると世間からのニーズが低下して、収益が著しく落ち込みます。
経営戦略の問題
商品やサービスの質、マーケティングなどに問題があり、収益を伸ばせない企業は少なくありません。商品やサービスの質がよくてもマーケティングに問題があって、存在を知ってもらえないパターンや、マーケティングは問題ないのに商品やサービスの質が低くて顧客がつかないパターンなどがあります。
リスク管理不足
経営には、従業員の一斉退職や新商品の不発など、さまざまなリスクがあります。リスク管理ができていないと、思わぬタイミングで多大な損失を受けて経営破綻します。例えば、1人の従業員に重要な業務を任せている場合、その従業員が退職すると内部統制が取れなくなったり管理業務に支障をきたしたりするでしょう。
複数の従業員がカバーできるように割り振っておけば、急に退職されても大きな問題は起こりません。このようなリスク管理不足が常態化している場合、複数の問題が重なって企業が大きなダメージを受けます。
利益を追い求めすぎている
経営者が利益を追い求めてハイリスクな挑戦をしたり、過剰に節税したりした結果、トラブルに対応できなくなり経営破綻するケースがあります。会社を大きくすることに集中しすぎると、利益とリスクのバランスをとれなくなります。
経営破綻によって必要になる手続きの種類
経営破綻すると、法的整理と私的整理のいずれかの方法で資産や債務の整理が必要になります。それでは、経営破綻後に必要になる手続きの種類をご紹介します。
民事再生
民事再生は、経営再建を目的とした手続きです。借金の減額などを含めた再生計画案を立案し、債権者の多数決による決議を行います。再生計画案が採択されたら、業務を続けながら債務を弁済します。
民事再生では、裁判所に納める予納金や弁護士報酬、事業を続けるための運転資金などが必要なため、資金不足による経営破綻のときは適用できない可能性があります。
会社更生
会社更生とは、裁判所が選任する更生管財人が債権者などの同意を得て更生計画を策定し、遂行する手続きです。債権者や株主の権利を成約できますが、株式の価値が失われるうえに、基本的に代表取締役が退任することになります。
破産
破産手続きは、会社の清算を目的として行う手続きです。債権者の財産を適切に配当し、債務者の経済的な更生を目指します。裁判所が選任する破産管財人が破産者の財産を調査・管理し、可能な限り換価処分して債権者への弁済に充てます。
特別清算
特別清算とは、会社の清算を目的とした手続きです。債権者の3分の2以上の同意があれば、会社の債務の消滅、会社の清算ができます。ただし、従業員の給与や税金、社会保険料などが支払い済みでなければ行えません。また、特別清算を選べるのは株式会社のみです。
任意整理
任意整理とは、債務の減額や支払期限の延長などを目的に、会社が債権者と直接交渉する方法です。債権者としては、少しでも多くのお金を返済してもらいたいため、任意整理が成功する可能性は十分にあります。
経営破綻の予防策
経営破綻すると、取引先や従業員など多方面に迷惑がかかるため、予防策を講じることが大切です。経営破綻の予防策について詳しくみていきましょう。
内部留保を増やす
節税対策に力を入れすぎて、会社の内部留保が少なくなるケースがあります。経費の過剰な計上や私的経費などで内部留保が少なくなれば、トラブルが起きたときに対応できず、経営破綻するリスクが高まります。内部留保が厚ければ、多額の資金投入が必要になったときに問題なく対応できて、経営破綻を防げるでしょう。
過剰な経費計上、私的経費の使いすぎなどを避け、内部留保を厚くすることを心がけてください。
取引先の状況を常に把握する
重要な取引先が倒産すると、自社まで連鎖倒産する恐れがあります。例えば、商品やサービスを1~2社が大量に購入して成り立っている場合、その取引先が倒産すれば収益が大きく減少します。取引先の状況を常に把握して、リスクに対処しましょう。
取引先の状況は、帝国データバンクなどから入手できる決算書で判断してください。
借り入れに慎重になる
収益を大きく伸ばすために、新事業を立ち上げる企業は少なくありません。新事業の立ち上げに必要な初期費用を借り入れる場合は、経営計画に問題がないか十分に確認しましょう。新事業で得られる利益を借入金の返済に充てると、何年で完済できるのか確認が必要です。
また、利益の予測に誤りがあれば、結果的に借入金を返済できなくなります。新事業の立ち上げに伴う借り入れには、慎重な姿勢を持つことが大切です。
まとめ
経営破綻後は、迅速な手続きが必要です。どの手続きが自社に適しているか、慎重に見極めましょう。梅田パートナーズ法律事務所では、貴社の状況を踏まえ、最適な手続きをご提案いたします。経営再建を目指す場合、手続きに時間がかかると経営状況が悪化して、再建が困難になる恐れがあります。当事務所は迅速かつ的確な手続きの代行、サポートを行いますので、まずはお気軽にご相談ください。
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