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【堀江貴文】「ムショ帰りの僕が保証する」人の心を強くする“ゼロに1を足し続ける”愚直な生き方

働き方

ロケットエンジンの開発やスマホアプリのプロデュースのほか、予防医療を啓蒙するなど幅広い分野で活動する実業家の堀江貴文さんと、サイバーエージェント創業者で同社代表執行役員社長を務める藤田晋さん。

日本のIT業界の成長を黎明期より牽引してきた盟友二人が、初の共著『心を鍛える』(KADOKAWA)を2022年2月に上梓した。

この記事では、堀江さんがこれまでの人生経験の中で学んだ「自分のハートを強くする最高の手段」について、本書から一部抜粋して紹介しよう。

※下記、『心を鍛える』258~263頁を転載して掲載しています

ゼロに1を足し続ける

心を鍛える 堀江貴文

藤田さんの40代は、おそらくネットテレビ「ABEMA」(設立当時はAbemaTV)関連の逸話が軸になるだろう。

一方、僕は逮捕後に「社長」を退任。以降は、さまざまな投資先を抱える「実業家」にシフトした。

そのため、話の舞台が多岐にわたるのだが、ご容赦願いたい(笑)。

念のため、振り返っておこう。2011年6月20日、38歳のとき。モヒカン頭で東京高等検察庁に出頭し、東京拘置所に収監された僕は、約1週間で収監先が長野刑務所に決まり移送された。

そして、2013年3月27日に仮釈放された。つまり「刑期2年6ヶ月」だったところ「1年9ヶ月」で出てこられたのだ。

長野刑務所では、障がいを持つ方や認知症の方がいる養護工場で「衛生係」という職についた。いわゆる下の世話など介護に近い仕事。これがめっぽう忙しく、文字通り汗水垂らして働かなければいけないほどだった。

周りの受刑者の話によると、「そこに配属されれば、仮釈放の日数がたくさんもらえる」というくらい過酷な現場だったらしい。

僕の“同僚”は、なんと「4ピン」(刑務所用語で「刑期の4分の1を残して釈放されること」)されたくらいだ。

僕は生来、真面目な性格。そんな環境に置かれると真面目にしっかり働いてしまう。そんなところが評価され、仮釈放の期間を長くしてもらえたのだろう。

本書のテーマに沿って言うと……獄中だろうと、どんな境遇だろうと、腐らず、あきらめず、「できること」を地道に積み重ねるのが一番いい。

たとえわずかでも「ゼロ」に「1」を足し続けていくことで、不安や迷いを遠ざけることができる。心を強く保てるのだ。

わかりやすい例が、僕の獄中での読書ライフだろう。「自由に時間を自己管理できない中で読書する」というのは、かなりの無理ゲーである(笑)。

心を鍛える 堀江貴文

義務づけられた作業をこなし、運動をし、消灯時間を守り、決められた時間に眠る。その中で、メールマガジンの原稿を執筆し(もちろん手書きだ)、新聞や雑誌を読み、送られてくるさまざまな仕事も処理する。そこから読書時間を捻出するのだ……!

僕は、ライブドア社長時代の「秒刻みのスケジュール」のマインドを思い出し、予定を必死にこなして読書に没頭した。決め手は「高効率な選書」だった。

なにしろ、面白くない本や興味のない本にあたってしまったら、時間と手間の膨大なロスになってしまう。

なにせ、書籍は「差し入れ」からしか調達できない。そのうえ、全書籍は官(刑務官)の検閲にかけられ、面倒な手続きがいる。また自分が所有できる冊数は、「部屋の本棚と私物バッグに入る分だけ」だからだ。

そんな制約を乗り越えて書いた書評の結晶が『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた』(KADOKAWA)だ。これは僕が「“情報脱獄”に成功した」という証拠にほかならない。

さて、納得できない理由で、刑務所に突然入れられたとき。「自分はいつ外に出られるのか」と悲観して、無気力になったり、周囲を恨んだり、反抗したりしても、何にもならない。

不確定な未来のことは考えすぎず、「今」を全力で生きることが、心を強くしてくれる。良い結果も招くだろう。

「いつ出所できるのかなあ」と自分の力が及ばない領域について思いを巡らせても、どうしようもない。実際、「出所」については、突然告げられて面食らったくらいだ。

2013年3月21日に知らされ、翌週27日に出所。「衛生係」は引き継ぎが必要なので、先輩たちは僕より2週間ほど前から、「出所」について知っていたらしい(笑)。顔見知りの人たちに満足に挨拶する間もなく、急に出してもらったという感じだ。

出所から3日後、東京・千代田区の「ドワンゴコンテンツ」で会見を行った。会見の模様は、動画サービス「ニコニコ生放送」で生中継された。

心を鍛える 堀江貴文

ニコニコ生放送の総視聴者数は約12万人、投稿コメント数は9万件以上。150人超の報道陣が集まってくれた。僕は、服役期間で約30㎏痩せた体で出席した。

言いたいことも言わせてもらった。たとえば、刑務所にいる人たちのことだ。

意外に思われるかもしれないが、刑務所にいる人たちは、別に「極悪非道な人たち」ではない。凶悪犯というよりは、家庭環境が悪かったり過去のトラウマに悩まされていたりする人が多い。要は「どこにでもいる普通の人たち」なのだ。

逆に言うと、今社会にいる普通の人たちが、何かのきっかけで犯罪者になってしまうことだってあり得る。きっと、そういう事件も多いと思う。

せっかくの機会だから、出所者について、次のようなことも述べさせてもらった。

「懲役が終わって出てきた後に『再犯をしないこと』が大事。社会が彼らを受け入れるために、なんらかの形でお手伝いできればと思う。認知症や障がい者の方はより難しいし、そういう人たちがいるということを発信していきたい」

このときの言葉に偽りはない。実は今でも「更生保護施設」に寄付をし続けている。

「更生保護施設」とは、出所者が職探しを行いながら一時的に生活できる、自立に向けてのシェルターだ。だが全国に100ヶ所ぐらいしかなく、足りていない。

だから「刑務所は出たものの、仕事や住むところが見つからず、再び犯罪に走ってしまうケース」が後を絶たないのだ。そういった状況をなんとかしたい。

それからの僕は、周りが止めるほど精力的に動き始めた。

刑務所から出てくると「懲役ボケ」に陥る人も多いようだが、僕自身そんな傾向は皆無。積極的に取材に応えたり、仕事に向かったりする僕を、むしろ周りが止めようとする状況だった。

また、YouTubeでは「ホリエモンチャンネル」を開設した。社長という立場も、社会的な信用も失い(つながり続けてくれる人たちはもちろんいたが)、「ゼロ」から何かを積み上げたかったのだ。

準備を始め、スタッフを集め、動画を配信し続けた。始めたばかりの頃の再生回数は、たかが知れていた。でも今ではチャンネル登録者数125万人の大メディアに育った(2021年11月現在)。

ユーチューバーのパイオニアであるHIKAKIN さんから「2年くらい頑張って登録者数が5万人を超えてくると、そこから一気に増える」と助言をもらい、素直に毎日、動画を配信し続けたおかげだ。

そうやって楽しみながら地道に続けていくことで、自分の価値をゼロから積み上げられたのだと思う。「足し算の力」だ。

失ったものにこだわり、過去を悔んだり、未来を憂えたりしていても、何にもならない。負の感情に巻き込まれないためには、とにかく手を動かす、体を動かす、行動する。

それが「ハートを強くする最高の手段」だ。ムショ帰りの僕が保証する。

堀江 貴文
1972年、福岡県生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダー。ライブドア元代表取締役CEO。ロケットエンジンの開発やスマホアプリのプロデュースのほか、予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど幅広い分野で活動中。会員制サロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、約1000名の会員とともに多彩なプロジェクトを展開。『ゼロ』(ダイヤモンド社)『本音で生きる』(‎SBクリエイティブ)『多動力』(幻冬舎)など著書多数

書籍情報

心を鍛える

『心を鍛える』(共著 藤田 晋、堀江貴文/KADOKAWA)

大事なのは「頭の良さ」より「ハートの強さ」ーー。IT業界を牽引してきた“盟友”が初めて語り合う「生い立ち」「起業」「キャリア」「未来のこと」。藤田晋、堀江貴文が大事にする「メンタルの流儀」とは。
>>書籍情報を詳しく見る

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