「ハコヅメ」戸田恵梨香が最強の存在感を放つ理由 時代の要請としての「プロ性」と「普通性」

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戸田恵梨香の魅力を分析します(写真:Motoo Naka/アフロ)

2021年の上半期は、テレビドラマの豊作期として記憶されるだろう。特に4月から6月の3カ月間は、さしずめ「ドラマ神クール」とでも言うべき、劇的な3カ月だった。

NHK『半径5メートル』『今ここにある危機とぼくの好感度について』、日本テレビ『コントが始まる』、フジテレビ『大豆田とわ子と三人の元夫』、テレビ東京『生きるとか死ぬとか父親とか』。加えて(この連載でも推した)NHK朝ドラ『おかえりモネ』も堅調で、ハードディスクレコーダーが大忙しで稼働した。

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7月以降、やや落ち着いた感があるものの、「ドラマ神クール」の熱気を受け継いだのが、NHK『ライオンのおやつ』と日本テレビ『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』である。特に『ハコヅメ』は、8月18日のオンエアでも世帯視聴率が12.5%(ビデオリサーチ、関東)と健闘していて、しっかりと世評も得ている。

このドラマ、一見、コメディータッチのありがちな「職業モノ」なのだが、「交番女子」を演じる戸田恵梨香、永野芽郁のはつらつとした演技がすばらしく、ついつい最後まで見てしまうという、(警察が舞台にもかかわらず)麻薬のような「中毒性」を持っているのだ。

特に、戸田恵梨香の存在感が最強である。感覚的な言い方になるが、TBS『俺の家の話』に続いて、戸田の周りだけが、特別なオーラで包まれている気さえする。さらにはこのドラマ全体が、戸田という座長の下に集った「戸田恵梨香一座」の公演のようにも見えてしまう。

というわけで今回は、コロナ禍が続く2021年夏に最強な存在感を見せつける戸田恵梨香の魅力を分析してみたいと思う。そのキーワードは――「プロフェッショナリズム」と「普通イズム」である。

等身大の「人間・戸田恵梨香」像

戸田恵梨香のインタビューは抜群に読ませる。俳優のインタビューは、職業柄、ある程度の自己演出が入っているものだと思うが、戸田の場合は、等身大の「人間・戸田恵梨香」がしっかりと反映されている印象があるのだ。

まず感じるのは、強烈な「プロフェッショナリズム」である。例えば、NHK朝ドラ『スカーレット』の主役を張るに当たって、肉体改造までする姿勢だ(TBS『僕の家の話』に向けて、半年で13kgも体重を増やした長瀬智也に通じる)

15歳からのスタートだったので、体に丸みをつけるため、病院で体質や自分に合う体重の増やし方を調べてもらい、食生活を一気に変え、おなかがムカムカするぐらい食べました。お米は1食で1合半ぐらい食べることもありました。今後は陶芸家らしい筋肉質な体にしていこうと考えています(「エンタメOVO」2019年9月30日)
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