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第10回 ─ アース・ウィンド&ファイアのリミックス集でレッツ・グルーブ・アゲイン!!

連載
360°
公開
2002/08/22   16:00
更新
2002/11/14   12:57
テキスト
文/JAM

ドゥ・ユー・リメンバー!? もちろん!! てなわけで、凄腕リミキサーたちの手によってアース・ウィンド&ファイアが2000年代に再臨!!


 リミックス先進国である日本がジャクソン5に続いてもてなすことになったのは、 泣く子も黙るアース・ウインド&ファイア(以下EW&F)である。そうなんです。日本という国はこういう信じられないことが本当に起こってしまう世界一の音楽楽園なんです。日米英の名だたるリミキサー陣が、すでに〈世界のメロディー〉と化しているEW&Fの名曲の数々を、深い愛情を注ぎながら今の時代に蘇らせる営為の数々。我々はこの恩恵に改めて感謝を寄せなければいけません。そこで、このリミックス・プロジェクト『Soul Source EARTH, WIND & FIRE REMIXES』に参加し、“Shining Star”に原曲とは異なる駆動軸を突き刺したDJ JINと、“Getaway”を耳に心地良く馴染むオーガニックなバンド・サウンドに仕立て直した山下洋の両氏に、興味深い楽屋裏でのエピソードの数々を語ってもらうとしよう。まず、最初は彼らとEW&Fの関係について。

山下洋「俺はEW&Fというよりも、モーリス・ホワイトが好きなのかもしれないな。キャデットやチェスでラムゼイ・ルイスといっしょにやっていた頃の、ドラマーとしてのモーリス・ホワイト。もちろんリアルタイムじゃないですよ。EW&Fがディスコでもてはやされていた頃でさえ、まだ小学生でしたから。リアルタイムで聴いたEW&Fは、俺にとってはほとんど〈空気音楽〉みたいなものだったんで」

DJ JIN「俺もそれに近い。ソウルとかファンクとか聴き始めた頃に、有名な人とか定番とか言われているものを聴いていくじゃないですか。そうすると、山下さん言うところの〈空気音楽〉が誰の曲だったのかとかわかってくるなかで出会った感じ。あ、“September”ってコイツらの曲だったんだ、とか」

 つまり、彼らは追体験でEW&Fに触れた世代であって、感覚的にEW&Fに対して余計な足枷がない、ということなのだ。そんな彼らはリミックスの設計をどういう手順で進めていったのだろう。2人が2人とも、リミックスする際の素材となるマルチ・テープを聴いて、そこで何を発見したのか。そこからのプロセスが非常に面白い。

山下「なんか、こう生々しいんだよね、マルチを聴いてると。コーラスとかハァハァ息遣いまで聴こえて(笑)。僕もバンドをやってるんで、当然そうなるのはわかるんですけど、マルチに全部残っているというのが爆笑なんスよね(笑)」

JIN「ハンド・クラップとか、みんなノリノリで叩いてるから、〈フッフー!〉とか騒いだり足をドコドコ鳴らしたりしてて、これみんな漏れてるじゃん(笑)みたいな」

山下「“Getaway”なんか、あの有名なイントロの〈パララ~〉の前に2小節ぐらいの前奏が入ってたんですよ。それに、オリジナルは3番までなんですけど、マルチには4番まであって。聴き比べてみると、オリジナルでは2番が使われていないんですね。で、その2番の符割りがちょっと謎で、可笑しくって、だからリミックスでは使っちゃいました(笑)」

JIN「“Shining Star”も、マルチを聴くと、オルガンとかピアノとかオリジナルに入ってないウワモノが凄く多くて。ちゃんとトラックを捜索してみたら、とてもメンバーが弾いたとは思えない変なオルガンの音が入ってたりして。もうミスタッチだらけで、とても信じられないプレイなんですよ。これは採用されなくて当然とは思いつつ、タイミングを修正してサンプリングして使おうと思っちゃいましたね。その上、歌詞が詰まっちゃってる4小節ぐらいがオリジナルからは丸々抜け落ちてるんですよ。だから、そこは採用してあげようかなと」