種市篤暉

 復活した右腕は、力強く成長曲線を描いている。種市篤暉が手術を乗り越え、先発ローテーションに帰ってきた。佐々木朗希に次ぐリーグ2位の101奪三振をマークするなど6勝4敗、防御率2.68。(7月21日現在)開幕から首位を争うチームの核を担う。

 高卒3年目の2019年に8勝。将来のエースとして周囲の期待は膨らんだが、20年9月に右肘内側側副靱帯再建術(トミー・ジョン手術)を受けた。自ら下した決断だったものの、「前に進んでいない感覚があった」とつらい日々を振り返る。

 過酷なリハビリを乗り越え、昨季実戦復帰。今季は開幕前から順調な仕上がりを見せ、4月9日の楽天戦(ZOZOマリン)では6回1安打無失点で988日ぶりの白星をつかんだ。

 威力十分の直球に加え、鋭いフォークとスライダーを中心に、要所をしっかり締める投球は魅力。「全体的に成長していることが一番。まだまだなので、進化していけるように」と慢心はない。吉井監督は「見ていて安心感がある投手。これからもっとすごくなると思う」。将来を背負う投手と評し、期待は大きい。

 開幕前の目標は、謙虚な人柄らしい。

「2年間投げていないので、変に高い目標ではなく、1試合1試合投げていければいいかなと思います」

 その目標も初勝利を挙げると、「完封したい」とステップアップ。そして、胸には常に熱い思いを秘める。「一番は千葉ロッテが優勝すること。シーズンを通して、僕が結果を出すことが一番重要」。快投を続ければ、チームの栄冠が見えてくる。

写真=松田杏子