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投稿日: 代表弁護士 中川 浩秀

書類送検後の起訴率・不起訴率は?前科をつけないために弁護士に相談を

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「書類送検後は必ず起訴されるのだろうか」
「起訴率や不起訴率はどのくらいなのか」
「前科をつけないための対策を知りたい」

このように考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

罪を犯せば必ず検察官に起訴され、有罪になるというイメージがあるかもしれません。

しかし、早期に対応することで不起訴処分を獲得し、有罪判決を回避できる確率も高いです。不起訴になれば、前科がつくことは避けられます。

今回は、書類送検後の起訴率と不起訴率、前科をつけないための方法について詳しく解説します。

書類送検とは

警察官が犯罪を捜査する場合、原則として書類や証拠品とともに検察官に事件を送致(報告)しなければなりません。

事件を報告することを、送検または検察官送致と呼びます。

警察官は、罪を犯した疑いのある被疑者を逮捕して捜査を行った場合、逮捕後一定期間内に、捜査関係書類とともに検察官に送致する必要があります。

被疑者を逮捕せずに捜査を行うこともあります。被疑者の身柄を確保していないときは、検察官に送致する必要はありません。

この場合に、捜査関係書類だけを検察官に送ることを書類送検と呼びます

書類送検そのもので前科はつかない

書類送検とは、単に事件記録が検察庁に送られたということです。

手続きの流れから見ると、起訴・不起訴の前段階といえます。

そのため、書類送検そのものが刑事記録となるわけではなく、送検を受けた検察官が起訴し、有罪判決が確定して初めて前科がつくのです。

検察に書類送検されたとしても、被疑者は逮捕されていない状態であり、前科はつきません。

日本の起訴率・不起訴率

刑事事件の66%が不起訴となっており、うち87%が起訴猶予による不起訴です。

参考URL:令和4年版犯罪白書|法務省

不起訴の理由で最も多いものが、起訴猶予です。

起訴されると有罪になる可能性も高いため、起訴された場合には、前科がつくことを覚悟しなければなりません。

なお、罰金刑や執行猶予付きの判決も前科がつきます。

不起訴処分とは、検察官が起訴しないことを決定する処分です。

不起訴処分となれば、刑事裁判は行われず、事件は終了します。

有罪判決ではないため、刑事記録は残りません。

不起訴は、嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予の3つに分類されます。

嫌疑なし、嫌疑不十分とは、証拠がない場合や証拠が不十分で、起訴しても有罪が見込めない場合です。

嫌疑なしや嫌疑不十分の場合、裁判も開かれません。 犯罪行為があったかどうかも明確にわからない状況です。

起訴猶予とは、起訴すれば有罪が見込まれるにもかかわらず、検察官が起訴しないことを決定した場合を指します。

検察官は、犯罪の重大性、被疑者の状況、損害賠償や示談の成立の有無など、犯罪後の状況などを考慮して起訴猶予を決定します。

刑事事件で起訴されないことは、将来の不利益を避けるために非常に重要です。

書類送検後の手続きの流れ

書類送検後、どのような流れで手続きが進められるのかを知っておくことが大切です。

手続きの流れを把握すると、起訴されず前科をつけないための対処法も検討しやすいでしょう。

犯罪の嫌疑をかけられて検察官に書類送検された場合、刑事手続きは以下の流れで進みます。

1.在宅捜査・取調べ

書類送検された被疑者は、逮捕・勾留されることはありません。そのため、捜査は被疑者の自宅で進められます。

警察官や検察官は、被疑者に自宅での取り調べを求めますが、取り調べは任意であり、被疑者は応じる必要はありません。

しかし、取り調べに協力する姿勢を見せると、被疑者にとって有利な状況になることもあります。

2.検察官による起訴・不起訴決定

捜査が進められ、検察官が被疑者を起訴するかどうかを決定します。

起訴には正式起訴と略式起訴の2種類があり、正式起訴の場合、通常の裁判手続きが行われます。

一方、略式起訴の場合は、公判手続を経ることなく、裁判所の略式命令によって刑が科されます(刑事訴訟法第461条1項)。

略式起訴は、100万円以下の罰金・科料を求める場合に限り、検察官の裁量で選択できます。

また、被疑者は略式起訴を拒否し、通常の公判手続の請求が可能です。不起訴になれば、刑事手続きは終了します。

嫌疑が確実であっても、検察官は犯罪の性質や被疑者の事情などを考慮して、不起訴処分、起訴猶予処分を選択できます。

3.正式に起訴された場合の裁判手続き

被疑者が正式に起訴された場合、正式起訴から約1~2ヶ月後に裁判手続きを開始します。

身柄を拘束されていない被疑者には、裁判所から公判手続の呼出状が送達されます(刑事訴訟法第62条、第65条)。

被告人は、呼出状で指定された日時に、呼出状で指定された裁判所に出頭しなければなりません。

裁判では、検察官が冒頭陳述を行い、罪状が確定した犯罪のすべての要件を立証します。

被告人は無罪を主張するか、有罪を認めて情状酌量を求めることになります。

4.判決・控訴

裁判プロセスの最終段階であり、裁判所が判決を下します。

有罪の場合は量刑が示され、無罪の場合は主文に無罪の声明が示されます。

判決に不服がある場合、検察官と被告人はそれぞれ高等裁判所に控訴することが可能です(刑事訴訟法第372条)。

なお、控訴期間は、判決言い渡し日の翌日から14日間と定められています(同法第373条)。

高等裁判所の判決に不服がある場合は、さらに最高裁判所に上告することも可能です(同法第405条、406条、411条)。

上告期間は、上告期間と同様、判決が言い渡された翌日から14日間とされています(同第414条、373条)。

5.判決の確定と刑の執行

期間内に適法な控訴や上告がなされなかった場合、または上告審判決が言い渡されてから10日を経過した場合、判決は確定します(刑事訴訟法第418条)。

その後、判決に従って刑が執行されます。

前科がつくことのデメリット

書類送検後に起訴され、最終的に前科がついても、「言わなければわからない」と考える方もいらっしゃるでしょう。

一方、前科がつくことに大きな不安を持つ方も多いのではないでしょうか。

前科がつくとどのようなデメリットがあるのか説明します。

1.記録として残る

前科がつくと、事実が前科調書に記載され、どのような嫌疑をかけられ、どのような処分を受けたかが記録として残ります。

なお、戸籍や住民票に犯罪歴が記載されることはありません。

前科に関する情報が勝手に公開されると、就職や社会生活に大きな支障をきたす可能性があります。

そのため、最高裁昭和56年4月14日第三小法廷判決で、「前科及び犯罪歴のある者は、その情報がみだりに開示されないという法的保護に値する利益を有している」とされました。

しかし、インターネットが普及した現代社会では、前科に関する公文書が公開されなくても、インターネット上のニュース記事などに前科に関する情報が残っている場合があります。

現在、過去の犯罪行為を忘れられる権利についても議論の対象となっていますが、前科はつかないに越したことはないといえるでしょう。

2.前科による職業制限

前科があると、職業によっては欠格事由となり、採用や就職が制限され、資格も取得できません。

すでに資格を持っている方に前科がついた場合、資格が取り消されることがあります。

欠格要件や期間は処分内容や資格によって異なりますが、特に制限される可能性のある資格は以下のとおりです。

  • 国家公務員
  • 地方公務員
  • 自衛隊員
  • 保育士
  • 旅客自動車運送事業
  • 社会福祉士
  • 介護福祉士
  • 公認会計士
  • 行政書士
  • 司法書士
  • 不動産鑑定士
  • 宅地建物取引士
  • 警備員
  • 学校教員

上記の職業については、将来的な資格取得に制限があります。

加えて、すでに資格を持っている方は、一定期間該当資格に基づいて働けません。

そのため、前科がつくと、就業・収入面で損をする可能性があるといえるでしょう。

3.社会的信用を失う

前科がついたことが職場や友人に発覚した場合、社会的信用を失う可能性があります。

また、職場で前科があることが発覚した場合、「会社に迷惑をかけ、トラブルを起こす可能性のある人物」と評価される可能性も否定できません。

また、会社設立や起業に際しては、資金の借入や取引先との関係に支障をきたす可能性があります。

「刑事記録はむやみに開示されるべきではない」というのが裁判所の認識です。

しかし、インターネットでの検索履歴や信用情報機関による信用調査の結果などから、刑事記録が明らかになるケースはあります。

また、本人への不利益だけではなく、親族に前科者がいることで家族が社会生活に支障をきたすこともあるでしょう。

4.前科の有無は判決に関わる

刑事裁判に巻き込まれた場合、前科の有無によって状況は大きく異なります。

憲法上の推定無罪の原則に基づき、裁判手続においては、犯罪事実の認定に前科の有無を用いてはならないことが原則です。

しかし、あくまで犯罪事実の認定、つまり「犯罪となる行為が行われたか否か」を認定する問題です。

罪を犯した者をどのように処罰するかという、量刑の問題とは別といえます。

検察官や裁判官が処分や量刑を決める際には、状況に応じて前科の有無が考慮されます。

状況によるものの、前科が多いと「反省していない」という印象を与えかねません。

その結果、執行猶予の付かない実刑判決が下されることもあります。

書類送検後に前科をつけないためにすべきこと

書類送検後に前科をつけないためには、被害者と示談交渉を進めることが大切です。

しかし、本人や家族が示談交渉をすることは難しいといえるでしょう。

最後に、前科をつけないための対処法について紹介します。

1.被害者との示談を進める

書類送検後は、不起訴処分になるために行動を開始しましょう。

検察官に不起訴処分にしてもらうためには、被害者がいる場合には裁判外で示談を成立させ、反省の態度を示すことが重要です。

不起訴処分で釈放される可能性を高めるためには、被害者がいる犯罪の場合、被害者への早期の対応が不可欠です。

真摯に反省し、謝罪し、示談を成立させることで、再犯の可能性や加害者家族への影響など様々な事情を考慮し、不起訴処分の可能性が高くなります。

2.弁護士であれば示談のサポートができる

被害者と示談を成立させるためには、弁護士のサポートが不可欠です。

起訴決定後に示談が成立しても、後から告訴を取り消せないため、示談交渉をする必要があります。

しかし、加害者が被害者と直接示談交渉をすることは、被害感情の面でも、連絡先の入手の面でも難しいでしょう。

加えて、弁護士は宥恕条項付きの示談書の重要性を熟知しています。

宥恕とは、加害者を許すということです。

例えば、示談書に「刑事罰を望まない」「厳罰を望まない」などの文言を入れてもらえるよう、被害者と誠意を持って示談交渉を行います。

前科をつけないためのポイントは、不起訴につながりやすい示談成立に向けて、早い段階から弁護士に示談交渉を任せることです。

まとめ

今回は、書類送検後の起訴率・不起訴率、前科をつけないための対策などを解説しました。

日本における書類送検後の起訴率は低く、不起訴になる確率は高いといえます。

被疑者・被告人は、刑事事件で有罪判決を受け、刑期を終えた時点で、被疑者・被告人ではなくなります。

ただし、有罪判決を受けると前科がつきます。

前科がつくと、刑事記録として検察庁に記録され、削除できません。

職業制限や、のちに罪を犯した際の量刑、本人だけではなく親族に社会的な影響を及ぼすリスクなど、さまざまなデメリットがあります。

そのため、書類送検後、刑罰の重さ以前の問題として、前科がつかないようにすることが大切です。

前科をつけないためには、早期に弁護士に相談して示談書を進め、不起訴処分の獲得を目指しましょう。

私達、東京スタートアップ法律事務所は、刑事事件で逮捕されたなどの問題を抱えているご本人やご家族の気持ちに寄り添い、ご本人の大切な未来を守るために全力でサポートさせていただきたいと考えております。

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執筆者 代表弁護士中川 浩秀 東京弁護士会 登録番号45484
東京スタートアップ法律事務所の代表弁護士。
「ForClient」を理念として自らも多くの顧客の信頼を得ると共に、2018年の事務所開設以降、2023年までに全国12支店へと展開中。
得意分野
ベンチャー・スタートアップ法務、一般民事・刑事事件
プロフィール
京都府出身
同志社大学法学部法律学科 卒業
同大学大学院 修了
北河内総合法律事務所 入所
弁護士法人アディーレ法律事務所 入所
東京スタートアップ法律事務所 開設
書籍・論文
『スタートアップの法務ガイド』中央経済社
『スタートアップの人事労務ガイド』中央経済社

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