滅紫

初芝居は中村屋の「鰯賣」「壽初春大歌舞伎」-歌舞伎座

2020年の初芝居は先に国立劇場をみたもののやはり歌舞伎座です。お目当ては中村屋兄弟による「鰯賣戀曳網」(いわしうりこいのひきあみ)。

客席は初芝居を観るうきうきした気分にお正月ならではの華やかなお召し物があふれ、これから始まるお芝居への期待がいやが上にも盛り上がります。やはり格別ですね。

「鰯賣」は今年没後50年になる(パンフをみて初めて気づきました。早いものです)三島由紀夫のお伽噺のような作品で、兄弟の父、十八代目の勘三郎さんと玉三郎さんの舞台が眼に残っています。大名しか相手にしないという高位の遊女「蛍火」に一目惚れしてしまった「鰯賣の猿源氏」、父親のあみだぶつが大名に仕立てて郭に送り出しますがその顛末やいかに。二人を兄弟の勘九郎さんと七之助さんが演じます。勘九郎さんの台詞を聞いていると声が「勘三郎さんにそっくり」です。めでためでたの大団円。

この「鰯賣」の前にもうひとつ話題の猿之助さんと團子さんの「連獅子」。「連獅子」は親と子(1人・2-3人)・孫と組み合わせにバリエーションがありますが、今回は猿之助さんの甥にあたる團子さんとの組み合わせ。

8月恒例の「弥次喜多」で観ているのですが、「また背が伸びた!」ほとんど猿之助さんと変わりません。おまけに動きの軽さ、ほとんど重力を感じさせないほどです。歌舞伎界でも踊りの巧さで定評のある猿之助さんに伍しての熱演に客席から惜しみない拍手がやみません。「澤瀉屋」型での上演なので見慣れた連獅子とは少し違ったところもあり、それも楽しい。

昼の部は「醍醐の花見」「袖萩祭文」「素襖落」「河内山」です。

千穐楽は26日、お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489(10-18)

 初芝居は中村屋の「鰯賣」「壽初春大歌舞伎」-歌舞伎座