パックの刺身を豪華な皿盛りにするコツ| 鮮魚店店主が手順を解説

お祝い事やホームパーティ用に、刺身の盛り合わせを買うことはありませんか。パックのまま食卓に出すのは味気がないし、とはいえ、店で出てくる盛り合わせのような華やかさを出すのは難しいものです。今回は鮮魚店を営む「魚屋三代目」が刺身の盛り付け方法を伝授します!

目次

刺身の盛り付けにルールはある?

毎日のごはんはもちろん、お祝い事などでも食べる刺身。どうせならおいしそうに盛り付けたいですが、盛り付けにルールはあるの?という疑問もわいてきます。

刺身の盛り付けには、特にタブーとされることはありませんが、添えるツマは食べられるものを。花などは「綺麗だから」といって何でも盛り付けては、毒性のあるものを間違えて添えてしまう危険もあります。食用かどうかを確認して使用するようにしてください。

盛り付けに使用するお皿はどう選ぶ?

お皿の選び方でまず大切なのは大きさ。盛り付ける刺身の量よりも大きいものを使います。これは、お皿にぎゅうぎゅうに盛り込むよりも、余白があった方が綺麗に見えるためです。

そして形。慣れるまでは丸、楕円、四角などのお皿を使い、盛り付けに慣れてきたら変わった形のお皿や器を使ってみると、趣をより出せます。

また柄も刺身の種類によって変えてみましょう。白身が多ければ濃い色。例えば黒や濃い茶色、慣れてくれば青や緑などの選択肢もありです。白いお皿や透明な器などはぼんやりした印象にならないよう少し濃い色の刺身を使うなど、刺身の種類と配色、ツマの種類などを工夫していきましょう。

盛り付けのコツ

盛り付ける際、以下のポイントを押さえておけば簡単に美しい見た目を演出できます。

色鮮やかなものから盛り付ける

盛り付けのポイントは、皿の左上奥を大根のツマを使って高くし、マグロから配置すること。マグロがないパックならば、そぎ切りではない切り身で色鮮やかなものから盛り付けるとよいでしょう。一段下げて左下と右下に彩りをみて刺身を配置、さらに一段下げて刺身を盛り付けます。


左奥は高く、手前は低くの「山水盛り」に

左上の奥から手前に低く、山から川が流れるようなイメージ。このような盛りつけ方法を「山水盛り」と呼びます。隙間には色合いを調整してツマを置くようにしましょう。なお、マグロなどは切り口、角を立たせると立体的かつ綺麗に見せることができますよ。


ツマ、大葉をアクセントに使う

ツマを添える一番の目的は、殺菌作用や生魚のニオイの緩和、そして傷み防止などですが、アクセントに使うことでお皿を華やかに見せる効果も。

刺身を盛り付けるにあたり、大根を細切りにしたツマは刺身の高低差をつけられます。

また白いお皿に大根のツマと白身の刺身やイカ、白っぽい貝類などを盛り付けると同色になってしまいますが、大葉を添えればメリハリをつけられます。

そのほかに紅たでや防風、紅藻(海藻)、花、野菜などには彩を沿える役目があり、一皿を華やかに彩ることができます。さらには刺身の隙間を埋めることもできる心強いアイテムといえます。

基本の盛り付け方

今回は、スーパーで販売されている6点盛りパックを使って実際に盛り付けてみました。刺身はマグロの中トロ、赤身、ハマチ(養殖ブリ)、サーモンと甘エビ、イカの6種類。また、今回パックに入っていたツマは大根とニンジンの千切り、パセリと大葉、プラスティックの菊でした。

「ツマ」といえば、大根の千切りのことを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実は刺身に添えられているパセリやにんじんなどもツマといえます。これらパックに入っているツマも有効活用し、盛り付けていきましょう。

それでは詳しい手順を紹介します。

盛り付け手順

1. 刺身パックから刺身とツマを分けて取り出しておく。

2. 大根のツマにマグロのドリップ(赤い汁)がついていたらその部分を取り除き、さっと洗って水を切っておく。

3. パックよりもひと回り大きめな皿を用意する。色は黒や白などのほか、薄緑や薄青系も刺身と相性の良い色なのでおすすめ。形はお好みでOK。

4. 大根のツマを、器の中心から左上に丸めて置く。

5. 4のツマの上にマグロの中トロを置く。

6. 中トロの少し左下に、4のツマよりも少なめにツマを丸めて置き、赤身をのせる。中トロが一番高く、ついで赤身がその次の高さになるようにする。

7. 次は中トロの右下に6の赤身の下に盛ったツマと同じ量のツマを置き、さらに大葉を敷いてハマチを丸めて置く。そぎ切りにされた刺身は丸めたり重ねることで立体的に見え、彩りも良くなる。

8. 次にパックに入っていたニンジンをハマチの下に盛り付けて彩りをアップさせる。続いて、皿の手前に大葉を置いてイカと甘エビの半量を盛り付け、低い位置の盛り付けが完了。

甘エビは半分に折って尾が立つように置くと見栄えアップ

9. 次にハマチの右上に大根のツマを少し置き、大葉を敷いて残りのイカと甘エビを盛り付ける。

10. 大きめなサーモンを半分にカットし、器の左右の空いているスペースに盛り付ける。彩りのバランスを見て残りのパセリと菊を飾り付けたら完成。

今回は別途食用菊を用意して盛り付けたが、もちろん付属のプラスチック菊を利用してもOK

さらにおしゃれ&豪華に!応用編

刺身盛りをさらに豪華にしたい時には、華やかな食用菊(下)などの食用花や、花穂(左上)、紅たで(右上)をプラスしてみましょう。食用菊の代わりにほかの食用花を合わせても豪華でおしゃれな印象の一皿になりますよ。

左サーモンの下に紅たで、右サーモンの横と赤身とハマチの間に花穂を添え、余ったスペースを埋めるために千切り大葉を一番奥に置きます。パックにわさびがついていたら、手前に盛り付けてもよいでしょう。

Before: スーパーで買った刺身パック

After: まるで専門店で出てくるような美しい仕上がりに

1種類だけ盛り付けたい場合はどうする?

ここまで何種類かがセットになった刺身パックの例を取り上げてきましたが、1種類だけの刺身を盛り付ける場合もコツを押さえれば難しくはありません。

基本は「高さ」「切り方」「並べ方」で変化を出すことを意識して盛り付けましょう。

高低をつけることで同一の刺身でも綺麗に見えますし、切り方についてはそぎ切りや角切りなどを組み合わせるのも一手。また刺身を右に傾けた流し盛りにし、切り口の面積を見せることによって美しい見た目になります。

この時もツマを使い、土台や彩りを添えましょう。シンプルに平盛りにする場合は器の余白を大きく取り、やはりツマなどで華やかさを出してください。

華やかに見せるコツは左上を高くし、その位置から徐々に低くしながら盛り付けていくこと。ツマを使って高さを変えましょう。最後に応用編も紹介しましたが、刺身パックに入っているツマだけでももちろん十分です。家族も驚く様な刺し盛りにチャレンジしてみてくださいね。

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