探求の成果を堂々と発信 個人授業や教育討論会で 大船渡学「冬の陣」 大船渡高で他校生徒も交えて開催

▲ edcampには県内の高校生も参加し、教育をテーマに討論した
授業チャレンジで探求の成果を発表する生徒たち

 県立大船渡高校(吉田祥校長、生徒474人)で21日から5日間の日程で、学校独自に行う総合的な探究の時間「大船渡学」の冬季集中型学習期間「大船渡学冬の陣」が開催されている。一般公開された2日間を含め、生徒たちがこれまで興味、関心を持って探究してきたテーマについてまとめ、今後の活動に生かしていくことを誓った。

 

 大船渡学は、生徒が自ら探究テーマを設定し、探究そのものの楽しさを学ぶことや、自分らしい学びのスタイルを形づくることなどを目的に実施。集中型学習期間は、生徒一人一人が学びに対する「自走心」を高めることや、物事をより深く多彩な視点で学ぶ価値を実感することなどを目的に、夏と冬に開催している。
 期間中は、1、2年生318人が主体となり、教育について討論する「edcamp」や、それぞれが学びを深めてきた成果を発表する「個人授業チャレンジ」の二つをメーンにそれぞれ活動を展開した。
 22日に行われたedcampには、同校1、2年生をはじめ、宮古、金ケ崎、釜石の3高校の生徒、職員など約400人が参加。学校教育を多角的に捉え、「学習や授業で使うのは、ノートか電子機器か」「授業は、学校側が決めた時間割か、大学のように自分で選択できる時間割のどちらがよいか」などといったテーマで話し合いを進めた。
 生徒たちは、対立する意見をさまざまな視点から考察し、メリット、デメリットを列挙したうえで、よりよい答えを導き出そうと活発に議論。学校や学年の垣根を越え、それぞれの意見をぶつけ合っていた。
 edcampは2回目の参加だという中谷杏朱(あんじゅ)さん(宮古高校2年)は「前回よりも、自分の意見を相手に伝える力が身についたと思う。いろんな高校の人たちと話をする中で、新たな発見が多くあった。また機会があれば参加したい」と話していた。
 24日には、探求成果のまとめとなる個人授業チャレンジを実施。1、2年生だけでなく、これまで校内で模擬授業を開いてきた3年生も加わり、各教室でユニークな授業を展開した。
 1、2年生は、与えられた授業テーマ「自分の探究テーマで『すごい』と思うことの『すごさ』を科学的、学術的に伝える」(1年)、「自分の探究テーマを深掘りした、大学で行われていそうな学術的な授業」(2年)に沿って授業構成を考え、同日は1、2年生のうち156人が1人約20分の授業を実施。各教室には、「空き家問題について」「保育士不足はなぜ起こる」といった興味をひく授業タイトルが掲示され、生徒たちは関心のある授業に参加し、授業を受けていた。
 昨年度の冬の陣から大船渡学に携わり、生徒たちの指導にあたる聖ドミニコ学園カリキュラムマネジャーの石川一郎さん(58)は、「昨年の冬の陣で初めて大船渡学に臨む生徒たちの姿を見たが、1年でかなりの成長を遂げていて驚いた。生徒たちには大船渡学での探究を続け、未来を切り開くクリエイティブな人材になってほしい」と願いを込めていた。
 個人授業チャレンジは、冬の陣最終日の25日にも行われる。