大船渡高がベストラーニング賞 全国高校生マイプロジェクトアワード

▲ 学校部門でベストラーニング賞を受賞した(右から)鈴木君、小野寺さん、村上さんと、個人・グループ部門に参加した生徒ら

 全国高校生マイプロジェクトアワード2018(マイプロジェクト実行委)の全国サミットは23、24の両日、東京都内で開かれた。大船渡高校(高橋正紀校長)の2チームが本県代表として参加し、学校部門でプロジェクト「新しい〝あたりまえ〟を」を発表したチームが最高賞に次ぐ「ベストラーニング賞」を受賞した。障害者が〝障害の壁〟を乗り越え、生きがいをもって生活を送ることができる社会環境を実現するための取り組みや生徒らの探求性が評価された。

 

最高賞に次ぐ評価

〝障害の壁〟のない社会探る

 

 マイプロジェクトアワードは、自ら気づいた課題を探求し、身の回りの誰かのために行動した高校生が集う「学びの祭典」。各地で行われる地域大会で選ばれたチームや個人が招待され、それぞれの取り組みを発表し合う。
 本年度も、全国で地域大会が開かれ、全国サミットに参加する32プロジェクトを決定。
 このうち、本県の大会は2月に盛岡市内で開かれ、学校部門と個人・グループ部門に計17チームが参加。結果、両部門で大船渡高のチームが最優秀チームに選ばれ、全国サミットに参加した。
 サミットでは、参加生徒らが自分たちのプロジェクト内容をプレゼンテーション形式で発表。各地の大学、企業、芸術の関係者らが審査員となり、各部門で最高賞の文部科学大臣賞をはじめ、オーナーシップ(主体性)、コ・クリエーション(協働性)、ラーニング(探求性)の各ベスト賞などを決めた。
 学校部門でベストラーニング賞を受賞した大船渡高校のチームは、鈴木蒼君(2年)、小野寺海衣さん(同)、村上詩菜さん(同)で構成。
 3人がテーマにしたのは、さまざまなテクノロジーを使い、障害のある人が健常者と同じように自己実現を果たせるような生活を送れる社会の実現。視覚障害などのある人が利用している地元施設に協力を依頼し、利用者が音楽や写真を楽しむための道具作りや、自力で自分の好きな場所に歩くためのアプリ開発など、さまざまな試みに挑戦した。
 一方、個人・グループ部門で発表を行ったのは、吉田雪希さん(3年)、千葉彩乃さん(2年)、金野希実さん(同)、戸羽俊介君(同)の4人でつくるチーム。
 4人全員が陸前高田市小友町出身という同チームのプロジェクト名は「限界会議」で、少子高齢化が進む地域でのコミュニティー形成や強化をテーマとした。東日本大震災後、各地の仮設住宅などで住民同士の交流が重要視されたことが活動のきっかけといい、「人が集まりたい場とは」「交流のなかった人同士が心を通わす方法とは」という難問と向き合った。
 大船渡高では、生徒が自ら課題を見つけ、アクションを起こしながら解決策を考える総合的な学習「大船渡学」を展開しており、同アワードへの参加も同学習に関連したもの。
 昨年は、同校の生徒が学校部門で同サミットに出場し、文部科学大臣賞を受賞。今回、2年連続の同サミット参加となり、教職員らが生徒らの成果をたたえている。
 鈴木君は「チームでは、3人それぞれが得意とする分野で課題と向き合い、深く学ぶことができた。最終目標は〝障害という言葉のいらない社会〟。今後もこの活動を続けていきたい」と先を見据えていた。