シナプス可塑性・大規模ネットワークとは

シナプス可塑性とは

脳は約140億個もの神経細胞の集合体です。
脳の機能は、電気信号を発して情報をやりとりする神経細胞のネットワークによって成り立っています。

そのネットワークをつくるニューロン(神経細胞)と神経細胞の接続部をシナプスとよびます。

シナプスでは、信号伝達が長期間にわたって起こりやすくなる長期増強(LTP)と、逆に信号伝達が起きにくくなる長期抑圧(LTD)が起こり、その結果、学習や忘却が起こります。つまり、記憶はシナプスの機能変化として脳に蓄えられます。これをシナプス可塑性と言います。

※可塑性(synaptic plasticity)
 →その性質の変化のしやすさ

すなわちシナプス伝達がどれだけ変化できるかを示します。

規模ネットワークとは

脳には3つのネットワークがあります。
CEN(Central Executive Network)別名WMN(Working Memory Network)が意識的に集中する時に働くネットワークです。
これをずっと使用していると脳の調整役であるSN(Salience Network)がDMN(Default Mode Network)に切り替えます。

SNは顔の動き、胃や腸等の消化管、自律神経系、免疫・運動等の身体情報を脳へ伝え、脳ネットワークの切り替えを行います。
DMNはCENとシーソーのような関係にあり、DMNぼーっと考え事をしたり、記憶を整理したり、ひらめく時に働くネットワークです。
脳疲労の状態はDMNが異常活動している状態を示します。
仕事や勉強をしていると頭がぼーっとしてくるのはCENからDMNに切り替わった状態であり、それが続くとうつ状態になります。

参照
神経回路の形成に必須なタンパク質発見 | Science Portal – 科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」 (jst.go.jp)
忘却の脳内メカニズムの鍵を発見―記憶・学習障害の治療法開発への新たな期待― | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (amed.go.jp)
・内野勝行・櫻澤博文・田中奏多・田中伸明・ 來村昌紀,究極の疲れない脳-5人の名医が脳神経を徹底的に研究してわかった-,アチーブメント出版,2022,207
・田中奏多,眠る投資-ハーバードが教える世界最高の睡眠法-,アチーブメント出版,2020,193