オシロスコープの基礎

目次

 

オシロスコープの基本操作(使い方)

  1.   フロントパネルと画面の見方
  2.   垂直軸(電圧)設定
  3.   水平軸(時間)設定
  4.   トリガ機能
  5.   解析機能
  6.   データ保存とプリントアウト

オシロスコープにおけるプローブの役割『プローブの基礎』

 

オシロスコープ基本性能

1.  オシロスコープとは

オシロスコープは、目に見えない電気信号(電圧変動)を画面に表示し、観測可能にする装置です。
画面には時間の経過に伴う電圧の変化が表示されます。

オシロスコープ

 

【オシロスコープの主な使用目的】

これら各目的において便利な機能が搭載されています。

①電圧(電流、他)の大きさを測定したい
②信号の立ち上がりの様子を観測したい
③信号の周期・周波数を観測したい
④複数の信号とのタイミング(時間差など)を測定したい
⑤たまにしか出ない異常な信号(ノイズなど)を観測したい
⑥複数の信号を測定し演算したい(電圧、電流から電力を演算する等)
⑦シリアル信号からパターン解析をしたい(I2C、SPI、UART、CAN、LIN等)

【オシロスコープと他の電圧測定器】

オシロスコープと他の電圧測定器

 

2.  周波数帯域

【ディジタルオシロスコープの基本性能】

入力チャネル数

  • いくつの信号を同時に観測することができるか

周波数帯域

  • どこまで高速な信号を測定できるか
    ⇒信号に含まれる「周波数成分」をどこまで測定できるか
    ⇒パルス測定の性能にも影響

最高サンプルレート(周波数)

  • 時間軸上で、どれくらいの頻度(もしくは時間間隔)で信号をディジタル変換することができるか

最大レコード(メモリ)長

  • デジタル変換データをいかに多く記憶することができるか
    ⇒上記サンプルレートの性能を活かす上で重要
DLM3000

入力チャネル数

4ch(3ch+8bit)

周波数帯域

500MHz

最高サンプルレート

2.5GS/s

最大レコード長

500MHz

A/D(垂直)分解能

8bit

 

【周波数帯域(時間軸上で見た場合)】

「周波数帯域:500MHz」のオシロスコープで、正弦波(サイン波)を測定したとき、信号の周波数がちょうど500MHzである場合はどうなるか?

周波数帯域

入力信号 矢印_横_o 測定結果(表示)

実際には、信号の振幅が0.7Vp-pで30%程度減少して表示されます。
これは、基本的には正しい測定ではありません。
オシロスコープのメーカーは、一般的に周波数帯域とうたっていますが、-3dB落ちるポイントを性能機能としてうたっているので、帯域に余裕をもって選定することが大切です。

 

オシロスコープに一定電圧の振幅の正弦波を入力した状態で、周波数を上げていくと、ある周波数を超えたところから振幅が徐々に減衰します。

減衰量

減衰量は、「出力/入力」を対数で表現する。
 表示電圧:X, 入力電圧:X0, 減衰量:Y
 Y[dB] = 20 LogX/X0

※ オシロスコープの周波数帯域は3dB減衰する周波数で定義されています。

 

【立ち上がり時間】

オシロスコープの『立ち上がり時間』

観測される波形にはオシロスコープ自身の『立ち上がり時間』の影響が含まれています。
この立ち上がり時間は以下の式で求めることができます。

立ち上がり時間 Tº=350/ƒ(ns)
350:ガウシアンとく線のロウロウフリツからきている係数
ƒ:周波数帯域(ƒMHz)

右図では、Max/Minに対して、10%-90%の値の時間が立ち上がり時間となります。

立ち上がり時間
 

オシロスコープで観測したパルス信号の立ち上がり時間は、

表示される立上り時間

信号の立上り時間に対して測定の立上り時間が十分に速い場合は真値を表示していると考えて問題ないですが、測定系の立上り時間(帯域)に余裕が無い場合は注意が必要です。

信号の真の立上り時間

 

【基本波と高調波】

周期波形の「正弦波」への分解

ある周期Tの繰り返し信号は、周期Tと周期T/n(n=2,3,…∞)の正弦波に分解できます(フーリエ級数)。
このとき、周期Tの正弦波のことを信号の「基本波」、周期T/nの正弦波を「高調波(n次高調波)」と呼びます。

周期波形の「正弦波」への分解

  直流分
X0 %
基本波
X1 %
2次高調波
X2 %
3次高調波
X3 %
4次高調波
X4 %
 
[実際には位相情報も含まれる。]

方形波、三角波などの様々な波形も、実際には正弦波(基本波+高調波)の組み合わせで構成されています。
その一方でオシロスコープに限らず、測定器のアナログ周波数帯域は基本波だけから成る、ひずみのない波形=「正弦波」で規定されています。
高調波成分がない波形を測定する場合は、オシロスコープの帯域を信じてください。

※ オシロスコープで正弦波以外の波形を測定する場合、基本波だけでなく、高調波成分を含めて考えることが必要です。

 

【パルス波形に含まれる周波数成分】

パルス波の周波数成分
パルス波も、基本波と高調波とに分解できます。
繰返し周期1MHzのパルス波は、1MHz, 3MHz, 5MHz, … ,∞Hzの正弦波の組み合わせで表現できます。

パルス波形に含まれる周波数成分

 

3次、5次、7次には、立ち上がり時間や立ち下がり時間のオーバーシュート、アンダーシュート、リンギングの高調波が含まれます。
オシロスコープの周波数帯域が基本波成分をカバーするだけでは、高調波成分が減衰してしまい、パルス波形などを正しく測定できません。
※ 理想的には無限に高い周波数帯域が必要ですが、現実的にはパルス波の基本波周波数の5倍程度の帯域が必要とされています。

 

【周波数帯域の違いによる波形への影響】

実際に繰り返し周波数1MHzのパルスを異なる周波数帯域で測定した場合

周波数帯域の違いによる波形への影響

測定信号に対し、オシロスコープの周波数帯域が十分に高い必要があります。

 

3.  垂直分解能

【ディジタルオシロスコープの基本構成と信号の流れ】

ブロック図

ブロック図

 

【A/Dコンバータの動作】

A/Dコンバータの動作

量子化とは、特定のブロックでサンプリングして得られた信号をbit数のデータに置き換える作業のことを表します。
量子化をする縦軸はADコンバータの分解能、横軸はサンプリングスピードで決まるため、デジタル出力は連続的な値ではなく離散的な値となります。
サンプリングスピードは変換するアナログ信号に対して十分に高速でないと正しい波形を再現できません。

 

【垂直分解能】

垂直分解能

アナログ入力

A/D 変換器

ディジタル出力

分解能

8bit : 28=256 レベル
10bit : 210=1024 レベル
12bit : 212=4096 レベル

オシロスコープの縦軸は8divフルスケールとなります。
1V/divで測定していた場合、8bitのオシロスコープでは、分解能を電圧に換算すると1V/div×8div÷256で、1bit当たりの分解能は約31mVとなります。
つまり、縦軸分解能が多ければ多いほど細かい分解能で信号観測が可能となります。

 

DLM3000の垂直分解能】

垂直分解能と有効データ範囲
DLM3000の垂直分解能は8bitですが、有効データ範囲は250LSB(25LSB×±5div)となります。
このうち画面表示が可能なのは±4divです。

画面上下に1div

波形が画面外

矢印_オレンジ_縦

測定を停止し、波形ポジションを移動

画面外の1div

オシロスコープを使うときは、できる限り電圧をフルスケール近くで使用することがお勧めです。

 

オーバーレンジについて
画面外に1div分の測定可能範囲がありますが、範囲を超えた場合には正しい測定ができません。
測定の際には、画面表示範囲内に波形が納まるようにしてください。

オーバーレンジ

 

オーバードライブの影響
波形が測定可能範囲を超えた状態のことをオーバードライブと呼びます。
オーバードライブが発生すると測定範囲内の波形にも影響が出るため、正しい測定ができません。
弊社のオシロスコープは、オーバードライブリカバリーという機能である程度ひずみを抑制してくれる回路が備わっています。
DLM2000は、数十nsで、正しい波形の1%以内はカバーできる回路が備わっていて、DLM3000は、オーバードライブしない領域がDLM2000の1.5倍広いです。
500mVで±15Vまではオーバードライブしない回路ですが、オーバードライブを避けて波形をはかっていただくことをお勧めします。

オーバードライブの影響

 

4.  サンプリングレート

サンプリングレートとは
A/D変換する際に時間軸上でどれくらい細かく信号を観測することができるかを1秒間当たりのA/D変換(サンプリング)する速度を S/s(Sample/Second)で示します。

1秒間に
10,000,000回サンプリング
 ⇒ 10MS/s

100,000,000回サンプリング
 ⇒ 100MS/s

1,000,000,000回サンプリング
 ⇒ 1GS/s

Sampling_rate_1

1秒間に10回サンプリング
 ⇒ 10S/s

1秒間に20回サンプリング
 ⇒ 20S/s

 

サンプリングレートが重要な理由

この様な信号を測定した場合

この様な信号を測定した場合

サンプリングレートは被測定波形に対して十分に高速である必要がある

高速である必要がある

矢印_上下

10S/sで測定した場合

10S/sで測定した場合

サンプルレートが遅いと
被測定波形を正確に再現できない

 

50S/sで測定した場合

50S/sで測定した場合

サンプルレートが十分高速だと
被測定波形を正確に再現できる

サンプリングレートが高速になればなるほど同じ測定時間でのデータ数が増える

※ データ数がアクイジションメモリ(レコード長)です。

 

【サンプリングレートとレコード長】

レコード長が重要な理由

この様な信号を測定した場合

この様な信号を測定した場合

矢印_下

サンプリングレートで測定するとデータ数が多くなる

波形を正確に再現するのに十分高速なサンプリングレートで測定するとデータ数が多くなる

矢印_上下

50S/s、10ポイントで測定した場合

50S/s、10ポイントで測定した場合

メモリが足りず、全体を測定できない
10ポイントで全体(1秒)を測定した場合

 

十分なサンプリングで測定できない

メモリの制限により、十分なサンプリングで測定できない

※ 測定時間に対し十分に大きなレコード長がなければ高速サンプリングで測定できません。

 

【エリアシング現象】

サンプリングレートが不足している場合にオシロ画面上に元波形とは異なった波形が再現されることがあります。
この現象をエリアシング(Aliasing)といいます。

入力信号に対して
サンプリングレートが十分速い場合

ディジタルデータの補間により、
オシロ画面上に元波形が再現できる

サンプリングレートが十分速い場合

入力信号に対して
サンプリングレートが足りない場合

ディジタルデータを補間すると、
オシロ画面上に元波形とは異なった波形が再現される

サンプリングレートが足りない場合

入力信号を再現させるには、少なくとも被測定波形の2倍以上の速さでサンプリングする必要があります(サンプリング定理)。

 

5.  ディジタルオシロスコープの基本性能のまとめ

一般的に信号測定に必要とされるオシロスコープの仕様

  • 周波数帯域:測定信号の基本周波数の5倍以上
    (5次高調波は程度まではパルス再生に必要)
  • サンプルレート:サンプリング定理により、観測周波数の2倍以上のサンプリングレートが必要です。
    5次高調波を再生するには、基本周波数の10倍以上のサンプリングレートが必要です。
  • レコード長:サンプリングレート × 測定時間 = レコード長

※ 観測時間が長めの場合、エリアシングや補間によるオーバーシュートなど好ましくない現象が起きやすくなるため、信号に対して十分なサンプルレートを確保することが重要です。
時間軸変更時はサンプリングレートの変化にも注意し、レコード長を調整してください。

 

6.  トリガ機能について

トリガ機能とは

  • 波形を捕捉する条件、波形を表示する地点を決める機能です。
  • トリガ条件を設定することを「トリガをかける」、その条件が成立し波形を表示する状態になることを「トリガがかかる」と呼びます。
  • トリガの対象にする信号をトリガソース、トリガ条件が成立した時点をトリガ点(トリガポジション)と呼びます。

トリガ機能について

 

【拡張トリガ】

エッジトリガでだけは狙った波形をうまく捉えられない場合があります。

パターントリガの例

パターントリガの例

エンハントリガ

 

7.  波形観測に便利な機能

カーソル機能

  • 表示されている波形にカーソルを当てて、カーソル位置の測定値を表示します。

カーソル機能

ΔT&ΔVカーソルでの電圧値、時間差測定画面例
 

波形パラメータ自動測定機能

  • 計測した波形の最大値/最小値/周波数などのパラメータを自動測定します。

波形パラメータ自動測定機能

 

波形演算機能

  • チャネルの波形の四則演算やフィルタ演算、FFTなどの演算を行います。

波形演算機能

FFT 解析画面例
 

各種解析機能

  • 計測したシリアルバスの信号からデータのデコード表示を行ったり、計測した電圧・電流値から電力の測定をするなどのオプション解析機能も搭載可能です。

各種解析機能

4バス同時解析とリスト表示
 

オシロスコープの基本操作(使い方)

1.  フロントパネルと画面の見方

【フロントパネル】

フロントパネル

タッチパネルとノブで同じ操作が可能です。

 

【画面から情報を読み取る】

画面の見方

  • 垂直軸:
    垂直軸は8分割されています。
    その単位はグリッド1つ(1div)に対する電圧値(V/div)で大きさが表示されます。

    画面左端中央にグランドマーク(①)が表示されています。この地点が0Vを示しています。
     
  • 水平軸:
    水平軸は10分割されています。
    その単位はグリッド1つ(1div)に対する時間(s/div)で大きさが表示されます。

このグリッドを使って波形の様子を読み取ります。

チャネル1垂直軸情報
CH1 INPUT
垂直軸感度:500mV/div
入力インピーダンス:1MΩ

水平軸(時間軸):
500μs/div

チャネル1垂直軸情報 水平軸(時間軸)

画面の見方

 

2.  垂直軸(電圧)設定

垂直軸(電圧)設定

電圧軸感度(V/div)は「SCALE」ノブで、垂直ポジション(表示位置)は「POSITION」ノブで設定します。

  • SCALEノブを押すと通常より細かな電圧軸感度(FINE)での設定が出来ます。
  • POSITIONノブを押すと、設定値が0DIVに戻ります。
  • 画面左上のチャネル設定表示エリアに各チャネルの電圧軸設定内容が表示されます。
  • ストップ中もV/divやPOSITIONの設定変更は有効ですので、次のスタート後の波形イメージが容易です。
 

【入力チャネル設定】

入力チャネルメニューには、入力カップリングやフィルタ、プローブ減衰比などの設定機能が用意されています。

入力チャネル設定

入力チャネル設定_2

●表 示

波形表示のON/OFFを行います、CHキーのダブルクリックでON⇒OFFすることも可能です。

●カップリング

入力カップリングの種別を設定します。

入力チャネル設定_3

●帯域制限

帯域を制限し、高周波成分(ノイズなど)を除去した波形にしたい場合などで使用します。
FULL/200MHz/100MHz/20MHz・・・/16kHz/8kHz

●プローブ

接続したプローブの減衰比(10:1など)やプローブ間のスキュー補正を設定します。

 

【入力カップリング:AC】

  • 入力信号の直流(DC)を含む低域成分がカットされ、交流(AC)成分だけが観測されます。
  • DC電源のリップルノイズなど、AC成分を詳細に観測したい場合に使用します。

入力カップリング:AC

 

【入力抵抗(インピーダンス):1MΩ/50Ω】

  • 標準のパッシブプローブを使用する場合には、1MΩ入力を使用します。
  • 50Ω伝送の高速信号やアクティブプローブ
    (電源供給の必要なプローブ:高速、差動)を使用する場合には50Ω入力を使用します。

電源供給を必要としないプローブ

パッシブプローブ 701937

10:1 パッシブプローブ
(701937)

該当するプローブが1MΩ、50Ωどちらに適応するかは、プローブのカタログやマニュアルに記載されています。
プローブに合った入力インピーダンスを設定してください。

 

電源供給の必要なプローブ

FETプローブ 700939

FETプローブ
(700939)

差動プローブ 701922

差動プローブ
(701922)

 

3.  水平軸(時間)設定

時間軸は「TIME/DIV」ノブと「POSITION」ノブで設定します。

  • 時間軸の変更でサンプリング速度も自動的に変更します。
  • サンプリング速度は画面右上に表示されます。
  • トリガポジションは専用ノブで変更します。ノブを押すとポジションが中央(50%)に戻ります。
  • ストップ後もキーは有効です。次のスタート後の波形イメージが容易です。

水平軸(時間)設定

 

4.  トリガ機能

トリガ機能により波形をどのタイミングで止めて表示するか設定します。

  • トリガソースの設定:トリガの信号源を選択します。
  • エッジトリガレベルの設定:トリガ検出レベルを設定します。
  • トリガスロープの選択:トリガ検出の極性(立上り/立下り)を選択します。

トリガポジション

 

トリガポジションの変更

 

トリガレベルの変更

 

トリガレベルの変更

 

トリガポジション

トリガレベル

トリガレベル
 

エッジORトリガ

立上りでトリガ

CH1~4いずれかの
立上りでトリガ

 

CH1~4いずれかの 立上りでトリガ

CH1~4それぞれのトリガレベルを設定可能

CH1~4それぞれのトリガレベルを設定可能

 

CH1~4それぞれのトリガレベルを設定可能

 

パターントリガ

パターントリガ

 

パルス幅トリガ

パルス幅トリガ(Highパルス)

パルス幅トリガ(Highパルス)

パルス幅トリガ(Lowパルス)

パルス幅トリガ(Lowパルス)

パルス幅トリガ

 

立ち上り/立ち下り時間トリガ

立ち上り/立ち下り時間トリガ

 

ラントトリガ

ラントトリガ

 

タイムアウトトリガ

タイムアウトトリガ

 

ウィンドウトリガ(ウィンドウORトリガ)

ウィンドウトリガ(ウィンドウORトリガ)

 

インターバルトリガ

インターバルトリガ

 

【トリガモード】

表示波形を更新する条件を設定します。トリガモードには、次の5種類があります。

トリガモード

●シングルモード

[SINGLE]キーを押した後、トリガを検出すると1回だけ表示更新してストップします。

●自動(オート)モード

トリガの検出で表示更新します。
一定時間(約100ms)を過ぎてもトリガが検出できなかった時でも表示波形を更新します。

●オートレベルモード

トリガの検出で表示更新します。
一定時間を過ぎてもトリガがかからなかった時には、トリガ信号の振幅の中央値を自動的にトリガレベルに変更して表示波形を更新します。

●ノーマルモード

トリガを検出できない場合はトリガ待ちの状態で、トリガを検出した時だけ表示更新します。

●Nシングルモード

予め指定した回数のトリガ波形を高速に捕捉してストップします。
DLM3000では最大100,000トリガを最速400,000回/秒の速度で取り込むことができます。

 

5.  解析機能

【アクイジションモード】

サンプリングした波形データを画面表示する時に、所定のデータ処理を施して表示することができます。
この処理をアクイジションモードと呼び、次の3種類があります。

アクイジションモード

アクイジションモード_2

●ノーマルモード

サンプリングデータをそのまま表示します。

●エンベロープモード

最高のサンプリング速度でA/D変換し、取り込み間隔毎に最大値と最小値を求め波形データとします。
長時間観測のためサンプリングレートを下げた状態で、サージノイズなどの高周波成分の有無を確認する場合に有効です。

アクイジションモード_3

●アベレージングモード

繰返しトリガで、各トリガデータを平均化します。
ノイズの埋もれた定在波形を観測する場合に有効です。
平均処理は指数化平均ですが、Nシングルの場合は単純平均します。

 

【カーソル機能】

カーソルを表示させ、波形の各種測定値を読み取ります。

 

カーソル機能

●垂直カーソル

垂直カーソル

 

移動カーソル
の切換え

移動カーソルの切換え
 

カーソル移動

●水平カーソル

垂直カーソル

 

【波形パラメータ自動測定機能(メジャー機能)】

波形パラメータ自動測定機能

波形パラメータ自動測定機能

カーソル移動(上下左右)
項目の選択(キーを押す)

カーソル移動
 

カーソル移動

 
電圧軸に関する測定項目
V1 :各トレースとT Range1 の交点の電圧値
V2 :各トレースとT Range2 の交点の電圧値
Max :最大電圧値[V]
Min :最小電圧値[V]
P-P :P-P 値(Max−Min)[V]
High :High の電圧値[V]
   Low :Low の電圧値[V]
Amplitude:振幅[High-Low]
Rms :実効値電圧[V](1/ ( √ n))( Σ (xN2))1/2
Mean :平均電圧[V](1/n) Σ xN
Sdev :標準偏差[V](( Σ xN2−( Σ xN)2/n)/n)1/2
IntegTY + :振幅の正方向の面積和[Vs]
IntegTY :振幅の正負両方の面積和[Vs]
+ Over :オーバーシュート量[%]
 (Max−High)/(High−Low) × 100
−Over :アンダーシュート量[%]
 (Low−Min)/(High−Low) × 100
電圧軸に関する測定項目
時間軸に関する測定項目
ΔT:T Range1 とT Range2 の時間差
Freq:周波数[Hz]
Period:周期[s]
+ Width:基準線(Mesial)より上の時間幅[s]
−Width:基準線(Mesial)より下の時間幅[s]
Duty:デューティ比(+Width/Period × 100)[%]
時間軸に関する測定項目 * Freq、 Period、 + Width、 −Width、 Rise、 Fall、 Duty は、先頭の1周期を測定対象にしています。
Rise:立ち上がり時間[s]
Fall:立ち下がり時間[s]
立ち上がり時間
Delay:波形間ディレイ[s]
Pulse Count:パルスカウント[無単位]
Edge Count:エッジカウント[無単位]
Avg Freq:測定範囲での平均周波数[Hz]
Avg Period:測定範囲での平均周期[s]

 

6.  データ保存とプリントアウト

【データ保存】

オシロスコープでは取得したデータを保存できます。(DLM3000)

  • 波形データ
  • 設定データ
  • 画面イメージ
  • 波形ゾーン
  • スナップショット波形データ
  • 波形パラメータの自動測定結果
  • シリアルバスの解析結果
  • FFTの演算結果
  • ヒストグラム
  • ヒストリリスト(タイムスタンプ一覧)
データ保存
 

データの保存/ 読み込み先は次の3種類です。(DLM3000)

  • 内部メモリ(Flash_Mem)
    本機器に内蔵されている内部メモリです。
    標準の容量は300MB、/C8 オプション(SSD)付きモデルでは60GBです。
  • USB ストレージ(USB/USB1)
    本機器のUSB ポートに接続したUSB ストレージです。
    USB2.0 に対応したUSB Mass Storage Class Ver. 1.1 準拠のマスストレージデバイスを接続できます。
  • ネットドライブ(Network)
    ネットワーク上のストレージです。
    イーサネットオプションを装着している場合に、本機器をイーサネット経由でネットワークに接続して使用します。
 

【画面データの保存・プリントアウト】

データの保存

画面イメージを電子データ保存或いはプリントアウトできます。
このボタンを押した際の動作設定は、「MENU」キーで行います。

データのプリントアウト

電子データ保存

モード:

Hardcopy、Normal、Wide

保存形式:

PNG、BMP、JPEG

カラー:

OFF、ON、ON(Rev.)、ON(Gray)

サムネイル表示:

画面イメージ及びBinary形式波形データファイル

保存先:

内蔵ストレージ、内蔵フラッシュメモリ、ネットワークドライブ(イーサネットインタフェースオプション搭載時)、USBストレージ

プリントアウト

プリントアウト先:

内蔵プリンタ
USB外付プリンタ
ネットワークプリンタ

 

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脱炭素

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オシロスコープ

タッチパネル搭載により使いやすさに磨きをかけた縦型コンパクトのアナログ4ch入力「ミックスドシグナルオシロスコープDLM3000シリーズ」と大画面アナログ 8ch 入力 「ミックスドシグナルオシロスコープDLM5000 シリーズ」の特長あるオシロスコープ製品ラインアップでお客様のニーズにお応えします。いずれのモデルも、測定業務を効率アップする数々の機能と使いやすさを薄型、軽量ボディーに搭載しています。

オシロスコープ用アクセサリ

信号の周波数やレベルに対応した電圧プローブや電流プローブ、広い温度環境で使用可能なプローブなど、多様化する今日の測定対象を幅広くカバーする豊富なオシロスコープ用アクセサリ群をご用意しており、正確な波形測定をサポートします。

オシロスコープ用ソフトウェア

測定したデータをPC上で波形表示する波形ビューワや、波形解析、データ転送、データ変換、PCと測定器を接続しリモートで自由にコントロールする計測器ドライバなど、オシロスコープ/スコープコーダをさらに活用いただける、各種ソフトウェアをご用意しています。

オシロスコープ|波形測定器

オシロスコープは、高速な電気信号を波形として表示するエレクトロニクス技術者必須の測定器です。
ユニークな縦型コンパクトモデルや多チャネルモデルのオシロスコープに加え、オシロスコープとデータロガーの機能を兼ね備えたスコープコーダなど、特長ある製品ラインアップをご用意しています。
また、様々な測定に対応する電圧プローブ、電流プローブ、ロジックプローブを取りそろえ、数々の先進機能を搭載し、日々の測定業務を強力に支援します。

スコープコーダ用アクセサリ

電圧、絶縁電圧、電流、ディジタル信号、エンコーダ出力、車載ネットワーク通信、ひずみや温度など、幅広い測定対象をカバーするスコープコーダ用アクセサリを豊富にご用意しております。

プローブ

高速信号の観測に最適なアクティブプローブ、各種パッシブプローブ、パワーエレクトロニ クスでのフローティング信号に適した高電圧差動プローブ、高速から大電流まで対応する 電流プローブなど、幅広い測定用途をカバーする豊富な製品ラインナップをご用意しています。

 

ロジックプローブ

ミックスドシグナルオシロスコープとスコープコーダ用に、絶縁、非絶縁、高速の各タイプのロジックプローブをご用意しています。

電圧プローブ

電圧プローブを使用して、オシロスコープと被測定回路を接続し、電圧を正確に表示、測定します。様々な測定対象に対応するため、高圧プローブ、絶縁型BNC用プローブ、高電圧差動プローブ、高速差動プローブや広温度環境用、高速信号用などのプローブをご用意しております。

電流プローブ

オシロスコープで電流を測定するためには、電流を電圧に変換する電流プローブが必要になります。大電流用、微小電流用に加え、高速電流用と幅広いラインアップで取り揃え、様々な電流波形測定に対応しています。

高速データロガー|スコープコーダ

スコープコーダは、オシロスコープの使い易さと多チャネルデータ収集するデータロガーを融合した統合型計測器です。
スコープコーダ一台で、信号を同時にデータ収録し、オシロスコープと同様のトリガ機能を揃え、データ表示、分析ができ、様々な用途にお使いいただけます。

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