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 東日本大震災から7年を迎えた3月11日。日本各地で追悼行事が催され、多くの人が犠牲者の冥福を祈った。政府主催の追悼式に出席した安倍総理は「7年の歳月が流れ、被災地では復興が一歩ずつ着実に進展している」と復旧や住宅再建が進んでいることを強調した。

 しかし今も復興が進展しない地域がある。双葉町、大熊町、浪江町、富岡町などがある福島の東部は、福島第1原発にほど近い地域。7年前の原発事故を受けて「避難指示区域」に指定され、住民は全国各地にやむなく避難、街は無人化し再起不能とさえ言われた。

 そんななか、AbemaTV『AbemaPrime』では「#From福島 プロジェクト」と題し、全国47の都道府県で暮らす福島出身の方々を対象に「伝えたい今の思い」「生活の変化や課題」「幸せを感じる出来事」などの声を募集。避難者の今の思いを聞いた。

(1)「いつまでも避難者でいられない」

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 浪江町から岐阜県に自主避難した女性(30代)からは「避難指示が解除されたので移住を決意した。いつまでも避難者でいられない」との声が寄せられた。「戻らない」と決めた背景には「賠償金額も詳しく報じられていて、家族の人数でいくらもらったか分かってしまう。福島に戻っても“浪江の出身”とは言えない」ということがあるという。

(2)「新しい子どもが生きていく励みになった」

 福島市から山梨県に自主避難した女性(40代)からは「新しい子どもを授かったことは、ここで生きていく励みになった」との声。ただ、自主避難の報告を受けた両親は絶句、「親戚には内緒にしておく」と言われ、ショックを受けたそうだ。マイホームがあるために避難ができない友人からは羨望の声もあったという。

(3)「長女が『私はここがいいんだよ』と言ってくれて前向きになれた」

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 福島県から長崎県に避難した木村雄一さん、夏実さん夫妻。「原発のことも放射能のことも全く知らなかったが、生まれたばかりの子供を少しでも守ろうと思った。被爆のことも学びたくて」と長崎に移住した。長崎には親戚も友人もいないという。

 そんな中、7歳の長女が登校拒否に。経緯について夏実さんは「急に学校に行きたくないと言うようになった。友達からのイジメではなくて、私が箱入り娘に育ててきた結果というか、私も娘と離れるのが怖いというか。どこにいても心配な気持ちが震災以降つきまとっていた」と説明。福島にいる母親からは「あなたが大事に育て過ぎた。福島には甥っ子・姪っ子、友達もたくさんいるから、もまれて育ったんだろうにね」と言われたといい、納得する部分もあるという。しかし、「長女が『私はここがいいんだよ』と言って、この子にとってここは故郷になっているんだなと前向きになれた」と明かした。

 今後について雄一さんは「色々な方がすごく大事にしてくれる。この地域の方も、小学校の先生も娘に気をかけてくれる。大事にされ過ぎて、それに応えないとと本人が我慢していた部分があったようだ。本人も時々、時間をみて学校に行ったりしている。地域の方々の協力も頂いていて、小学校2年生になったら学校に行けそう」と明るい兆しを語った。

(4)「福島と原発を切り離して報道してほしい」

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 震災があった年に上京した会津出身のぼんさんは「福島と原発がセットで報道されていたが、原発の影響があまりなかったところにも風評被害があった。それが今もずっと続いている。切り離して報道してほしい」と意見を述べる。上京した際、周りは心配してくれたというが、「周りで誰かが亡くなったということはなかったので、心配してくれて嬉しい思いと『そこまで心配されても』という気持ちのギャップで気疲れした」という気持ちも明かした。

 これから報道で伝えて欲しいことについては「復興してきて、おいしいものとか観光地とか色々あると思うので、そういうところをもっとピックアップしてくれたら」と語った。

(5)夫婦の意見合わず“震災離婚”

 伊達市から愛知県に自主避難した女性(30代)は、2年前から夫と別居。子どもを引き取って離婚に向けて進んだという。夫の「避難したから安心」という考えと自身の「原発問題や子どもの健康被害は未解決」という考えで、すれ違いがあったそうだ。

(6)新天地で夢を実現

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 郡山市から三重県に自主避難した女性(30代)は、新天地で夢を実現。避難当初は人と関わることが嫌になり鬱になったというが、現在は「地元のプロモーターからスカウトされ、事務の仕事をしつつイベントなどで歌手として活動している」そうだ。

(7)避難先で有機農業をスタート、民宿もオープン

 二本松市から福井県に自主避難したという男性(40代)は、避難先で有機農業をスタート。畑の近くにあった古民家を購入・改装し、農家民宿をオープンした。「ビジネスとしてというほどではないが、海外からの利用者もいて、今年は6カ国の人が利用してくださった」という。

 様々な声から見えてきた福島出身者のいま。今後、福島にはどのようなことが必要になっていくのか。除染ボランティアなどのNPO活動に携わってきた福島大学教授の奥本英樹氏は「今、福島にはそこに住む意味が大事だと思っている。『そこに何で住むのか』、それが頑張る基盤になる」と述べた。

(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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