Ⅰ. 海の日って何?
海の日ってどんな日?いつからあってどんな意味がある?
海の日の由来は? 昔と日付が変わった?
Ⅱ. 海の小ばなし:切っても切れない海と日本の関係
Column① 海の恵みのはなし:和食の肝「うま味」は昆布から発見された
Column② 漁業とSDGsのはなし:炭素を吸って漁業も助けるすごいやつ「アマモ」とは?
Ⅲ. 海の日に合わせて開催! 海にまつわる祭り・イベント
【青森県大間町】大漁祈願祭・天妃様行列
【宮城県塩竈市】塩竈みなと祭
【神奈川県茅ヶ崎市・寒川町】浜降祭
【兵庫県神戸市】Kobe Love Port・みなとまつり
【大分県津久見市】つくみ港まつり
Ⅳ. 世界の〝海の日〟について
6月8日は国連の「世界海洋デー」
海の課題には何がある?
まとめ

7月第3月曜日は海の日。でも、海の日にいったいどんな意味があるのか、考えたことはあまりありませんよね。この記事では、海の日の由来や意味、海と日本の関係、海の日に開催されるお祭りやイベント、世界の〝海の日〟などについて解説します。

この機会に、日本や世界の海に思いを馳せてみませんか?

※掲載の情報は2023年7月時点のものです。諸事情により変更となる場合があります

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Ⅰ. 海の日って何?

2023年7月17日は海の日。知っているようで意外と知らない、海の日のことをまとめました。

明け方の海に灯る漁火

明け方の海に灯る漁火(いさりび)

海の日ってどんな日?いつからあってどんな意味がある?

MarineDayと書かれた積み木とカレンダー

海の日は海の恩恵に感謝する日

海の日は、毎年7月第3月曜日に設けられた国民の休日です。誕生したのは1995年のこと(施行は1996年)。国土交通省の公式サイトによると、海の日は「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う日(※)」と記載されています。国土全体を海に囲まれた、日本らしい休日です。

物資の輸送や魚介類の採取など、豊かな海を活かして近代化を進めてきた日本。海の恩恵がなければ、ここまでの大国に成長することは難しかったかもしれません。海の日は、そんな海に興味関心を持ち、未来へとつなげていく大切な日です。

※引用:国土交通省/海事:海に親しむ

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由来は? 昔と日付が変わった?

東京海洋大学で保存されている明治丸

東京海洋大学で保存されている明治丸は、海の日と繋がりのある船

現在の海の日は「7月第3月曜日」ですが、制定当時は「7月20日」でした。俗にいう「ハッピーマンデー法」で三連休化を進めたことが、日付変更の理由です。

どうして、7月20日が海の日だったのでしょうか?

時は、1876年7月20日にまでさかのぼります。明治天皇が、東北から横浜まで無事に灯台巡視船「明治丸」でご帰郷されました。これを記念して、海の日の前身である「海の記念日」が制定されたのです。

そして、1995年。それまで「海の記念日」として親しまれてきた7月20日を「海の日」として、国民の休日に制定することになりました。時代の変化に合わせて形を変えながら、海の日は日本人の心に息づいてきたことがわかります。

Ⅱ. 海の小ばなし:切っても切れない海と日本の関係

海の日の存在からわかるように、日本の生活は海と大きく関わっています。ここでは、2つのトピックをご紹介します。

Column① 海の恵みのはなし:和食の肝「うま味」は昆布から発見された

海の中を揺れる昆布

水中で揺れる昆布。日本では北海道や青森県、岩手県、宮城県に昆布が多く生息しています

まずは、和食に欠かせない「うま味」が昆布から発見されたというお話です。1908年、池田菊苗(いけだ きくなえ)博士が昆布からグルタミン酸(うま味の成分)を発見しました。そして、この味を「うま味」と命名。この発見は世界で大きく取り上げられ、世界共通用語として「UMAMI」が使われることになりました。

池田博士の発見よりも前から、日本人は昆布を使ってだしを取っていました。研究などを行わなくても、過去の経験則で「おいしさのもと」を見つけていたのでしょう。逆にいえば、日本に海がなければ、昆布だしを使った和食は生まれていなかったかもしれません。

日本国土を取り囲む海は、和食のおいしさも支えているのです。

Column② 漁業とSDGsのはなし:炭素を吸って漁業も助けるすごいやつ「アマモ」とは?

アマモの群生地

アマモの群生地

次にご紹介するのは、地球の未来を救う植物「アマモ」のお話です。アマモとは、海の浅瀬に生息する海草の一種。「赤潮の原因となる物質を吸収する」「光合成を行い、二酸化炭素などから有機物を作り出す」といった、さまざまな役割を果たしています。

多くの役割のなかでも、「魚介類が成長するまでの生息場となる」という役割は、生態系に大きな価値をもたらします。アマモは一般的に、波の穏やかなところに生息するため、稚魚や小魚のエサとなる小動物が集まりやすいのです。また、葉を使って生き物が天敵から身を隠すことも可能。

こうして海の生息生物を増やし、食物連鎖を活性化させていきます。このような役割から、アマモは「海のゆりかご」と呼ばれることも。アマモは、その存在によって日本の漁業を救い、二酸化炭素削減にも大きく貢献しています。

しかし、高度経済成長の影響によって、アマモの生息地は減少してしまいました。そのため、現在は全国各地でアマモ場の再生が実施されています。その甲斐もあって、少しずつアマモの生息状況も回復しているようです。アマモをはじめとした海草の力によって、豊かな海が守られていることを忘れずにいたいですね。

Ⅲ. 海の日に合わせて開催! 海にまつわる祭り・イベント

ここからは、海の日に開催される、海にまつわる日本の祭りとイベントを、5つご紹介します。

【青森県大間町】大漁祈願祭・天妃様行列

天妃様のお供をする神様たち

天妃様のお供をする神様たち(写真提供:[一社]東北観光推進機構)

「大漁祈願祭・天妃様行列(てんぴさまぎょうれつ)」は、日本と台湾の文化が融合した珍しいお祭りです。

台湾や中国沿海部で親しまれている道教の女神・天妃様にちなみ、漁業の安全などを祈願します。きらびやかな衣装を身にまとった神たちが練り歩く異国の行列を、日本の神事である神楽やみこしが彩るさまは、世界でここでしか見られません。なんと、天妃様行列が開始された年から、長年続いていたマグロの不漁が回復したとのこと。天妃様の力は凄まじいですね。

●開催日:2023年7月17日(例年海の日に開催)
●関連サイト
大間わいどアップ/天妃様行列
【2023年7月17日(月・祝)】大漁祈願祭&天妃様行列
※大漁祈願祭は一般見学不可

【宮城県塩竈市】塩竈みなと祭

松島湾をゆく供奉船

松島湾をゆく供奉船

「日本三大船祭」のひとつである「塩竈(しおがま)みなと祭」。戦後まもない1948年、塩竈市民に元気を与えるために始められました。

祭りの目玉である「神輿海上渡御(みこしかいじょうとぎょ)」では、みこしを乗せた2つの御座船が、約100隻もの供奉船とともに日本三景・松島湾を巡航します。豪華絢爛な御座船が雄大に海を進んでいく姿は、まるで美しい絵巻を眺めているかのようです。ちなみに、かつては「海の記念日」における行事のひとつである鹽竈(しおがま)神社例祭とともに行われていました。

●開催日:本祭は2023年7月17日(例年本祭は海の日に開催)
●関連サイト
塩竈市観光物産協会/塩竈みなと祭
塩竈市観光物産協会/第76回塩竈みなと祭

【神奈川県茅ヶ崎市・寒川町】浜降祭

海に入るみこし

みこしが海に入るのは、5時〜7時の間と、8時頃です

「浜降祭(はまおりさい)」は、湘南地方の中でも大きな存在感のある夏祭り。海の日の早朝、寒川神社を含む茅ヶ崎市と寒川町の各神社から約40基のみこしが茅ヶ崎・南湖の浜(西浜海岸)に集まり、海の中へと進んでいきます。浜降祭ではみこしが海に入ることを「みそぎ」と呼びます。

「どっこい、どっこい」という掛け声とともに、砂浜でみこしが乱舞する姿は非常に美しく活気があります。何十個ものみこしが集まる祭りそのものが珍しいこともあり、神奈川県無形民俗文化にも選定されています。

祭りの様子はYoutuneの寒川神社公式チャンネルから見ることができます。

●開催日:2023年7月17日(例年海の日に開催)
●関連サイト
茅ヶ崎市/茅ヶ崎海岸浜降祭について
茅ヶ崎市/令和5年度の浜降祭について

【兵庫県神戸市】Kobe Love Port・みなとまつり

「Kobe Love Port・みなとまつり」は、2002年にはじまった比較的新しいお祭りです。日本における重要な国際貿易港である神戸港を有する神戸は、海のおかげで大きく発展した街。海や港に感謝を伝え、今後も街が発展し続けることを願って開催されています。

内容は、ライブやダンスなどの催し物、キャンプサイトの設置、キッチンカーの出店など。神戸市民の夏を盛り上げる、大規模なイベントです。

●開催日:2023年7月16日・17日
●場所:メリケンパーク(兵庫県神戸市中央区波止場町2-2)
●公式サイト
Kobe Love Port・みなとまつり

【大分県津久見市】つくみ港まつり

つくみ港まつりの納涼花火大会

2023年も花火大会を開催。海の日の前日・7月16日に津久見港で打ち上がります

津久見市を代表する夏祭り「つくみ港まつり」。海上安全などを願って昭和20年代に始められた、歴史あるお祭りです。

2日間にわたって開催され、1日目は市民が踊りを楽しむ「ソイヤつくみ」、2日目は市内外からも多くの観光客が集まる「納涼花火大会」が行われます。とくに納涼花火大会は、九州最大規模の大型単発花火などが打ち上げられるだけあって大人気です。祭り期間中は、津久見湾クルージングなども開催されています。

●開催日:2023年7月15日・16日
●場所:駅前通り/津久見港 ほか
●関連サイト
津久見市/「第72回 つくみ港まつり」について

Ⅳ. 世界の〝海の日〟について

「海の日」は海洋国家・日本ならではの国民の休日ですが、世界にも〝海の日〟に相当する海にまつわる記念日があります。詳しく見ていきましょう。

6月8日は国連の「世界海洋デー」

海の中を泳ぐ青ウミガメ

絶滅危惧種に指定されているアオウミガメ

国連が制定した「世界海洋デー」は、海の日に近い存在です。日付は、6月8日。もともと非公式な記念日でしたが、2009年から正式な国際デーとなりました。

海の恩恵に感謝し、今後取り組むべき課題などについて考える日として、海をテーマにしたイベントが、世界各国で多数企画されています。

この「世界海洋デー」にならって、6月8日を日本でいう「海の日」に制定している国は少なくありません。

海の課題には何がある?

石垣島の白化したサンゴ

温暖化等によるサンゴの白化も課題のひとつ。写真は石垣島の白化したサンゴ

海の日や世界海洋デーのイベントなどによって、現在の海が抱える課題点を知る人も多いでしょう。

具体的には、「海へのプラスチックごみの流出」「海洋温暖化」「魚介類をはじめとした海洋資源の減少」「サンゴ礁の死滅」「海の酸性化」などがおもな例です。これらの課題を解決するために、世界各国の人々が対策に取り組んでいます。

まとめ

「海の日」は、海に対して感謝し、海洋国である日本の繁栄を願う日です。

海からさまざまな恩恵を得ている日本だからこそ、この機会に、海について考える日にしてみるのはいかがでしょう。海水浴に出かけるのはもちろん、水族館へ遊びに行ったり、潮干狩りや釣り、磯遊びを楽しむのも、海を学ぶきっかけになります。

一人ひとりが海に思いを馳せることで、課題が解決する日が近づくかもしれません。

Text:岩井パン Edit:Erika Nagumo
Photo(特記ないもの):PIXTA

参考:
内閣府/「国民の祝日」についておいしい和食のはなし日本うま味調味料協会umito/海をはぐくむ海のゆりかご、アマモとは?JAPAN 47 GO/アマモ場を再生する瀬戸内・日生の海からSDGsを考えるUnited Nations/World Oceans Day 8 Juneunesco/World Oceans Da日本自然保護協会 ほか


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