今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」（フランス・パリ／本戦5月28日～6月11日／クレーコート）の男子シングルス決勝で第3シードのノバク・ジョコビッチ（セルビア）が第4シードのキャスパー・ルード（ノルウェー）を7-6(1) 6-3 7-5で退け、2年ぶり3度目の優勝を飾るとともに世界ナンバーワンに返り咲いた。

　ジョコビッチが四大大会でチャンピオンに輝いたのは1月のオーストラリアン・オープンに続いて通算23回目となり、今大会をケガで欠場したラファエル・ナダル（スペイン）を追い抜き男子歴代単独トップに立った。

　立ち上がりに0-3とリードされたジョコビッチは第7ゲームでブレークバックに成功し、もつれ込んだタイブレークで相手に1ポイントしか与えず1時間23分で第1セットを先取した。そこから主導権を握ったジョコビッチは危なげなく第2セットを取ったあと、サービスキープで進んだ第3セットも5-5からブレークして3時間13分で勝利を決めた。

　勝利を決めたジョコビッチはレッドクレーに倒れ込んで歴史的瞬間を味わい、特別なタイトルを妻や子供たちと一緒に祝った。

「この大会に臨むとき、特に今日の試合に臨むとき、歴史がかかっているのだということはわかっていた。でも僕は他の試合と同じように、勝つために可能な限り最高の形でこの試合に備えることに気持ちを集中させようと心掛けた」とジョコビッチは明かした。

　試合後の記者会見で史上最高の選手になった気分に聞かれたジョコビッチは、「自分がもっとも偉大であるとは言いたくない。それは今とまったく違う形でプレーしていた別の時代の偉大なチャンピオンたちに対して敬意を欠くと感じる」と答えた。

「各世代の偉大なチャンピオンたちはそれぞれ大きな足跡や遺産を残し、僕たちがこのような素晴らしい舞台でこのスポーツをプレーできるように道を切り開いてくれたんだ。誰がもっとも偉大かという議論は君たちに任せるよ」

　昨年に14回目の栄冠に輝いたナダルを上回ってロラン・ギャロスの最年長チャンピオン（36歳と20日）となったジョコビッチは30歳を超えてからシングルスで10回以上四大大会で優勝した最初の選手になったことを指摘されると、「そのことには気付いているよ。年齢が単なる数字過ぎないとは言っても、僕はそのことについて考えるのは好きじゃない。月並みな言葉かもしれないけど、僕の場合は本当に年齢は数字に過ぎないと実感しているんだ」と笑顔で語った。

「実を言うと現実は身体の反応が変わってきており、以前よりもフィジカル的な部分に多くの時間を割かなければならなくなっている。5～10年前は今より遥かに早く回復していたし、身体の痛みをそれほど感じなかったからね」

　ロジャー・フェデラー（スイス）、ナダル、アンディ・マレー（イギリス）とともに『ビッグ4』の一員と呼ばれてきたジョコビッチは彼らと同じ時代にいたことが自分の成長に繋がったことを認めており、「このグループの一員に慣れたことに心から感謝している」と述べた。

「旅はまだ終わっていない。もし自分がグランドスラム大会で優勝できるなら、どうして20年も続いてきたキャリアを終わらせることを考える必要があるんだい？　僕はまだやる気に満ちているし、グランドスラムのような大きな大会で最高のテニスをしたい思っている。テニスの歴史上もっとも重要な大会だからね。僕は既にウインブルドンを楽しみにしているよ」