元プロ野球選手・中込伸さんの店〈炭火焼肉 伸〉

阪神の元エースが店に立つ、 甲子園球場近くの焼き肉店

阪神ファンの間でいまだに語り草となっている、終盤までヤクルトと激闘を繰り広げた1992年の優勝争い。その主力投手として君臨したのが中込伸さんである。

中込さんは阪神退団後に台湾プロ野球で活躍するも、監督を務めていた2009年、八百長騒動に巻き込まれて起訴されてしまう。

「僕は絶対やっていないし、それを証明したかった。でも長年裁判で争うと費用もかかり、収入が途絶えて家族に迷惑をかける。それで執行猶予付き判決を得て帰国するために、罪を認めたんです」

左から上ロース（1,510円）、薄切りミスジ（2,060円）、上カルビ（1,510円）。

もう球界には戻れない。運送業で働いていた中込さんは、先輩の元選手が営んでいた焼き肉店を改装して〈炭火焼肉 伸〉を開店する。

90年代の阪神のエースが甲子園の近くで毎日仕込みをし、フロアに立ち接客する。ファンからするとたまらない空間だ。

オリジナルTシャツ（左）も人気で、阪神時代の後輩、北海道日本ハム新庄剛志監督が甲子園での試合前に着用した際は大きな話題に。

「過去の経緯から僕を悪く言う人も多いけど、ここで頑張ることで身の潔白を証明できればと思っている。最初は肉の切り方もわからなかったけど、12年間やれているのはファンのおかげ。皆さんも甲子園に来たらぜひ！」

取材・文／黒田創　撮影／西岡潔

初出『Tarzan』No.865・2023年9月21日発売

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