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政務活動費、黒塗りの範囲は中部の県、市議に聞く

2015年3月24日

議員が政務活動費から人件費を支払った事務職員の個人名は非公開となっている

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 議員報酬とは別に、議員に支給される政務活動費(旧政務調査費)。議員が政策立案のための調査や議会活動の報告などをするための経費となるが、「号泣県議」による不適正使用問題などで、あらためて目的や使途が問い直されている。中部地方の各県議会や名古屋市議会では、ほぼすべての支出について公開が進んでいるが、支出先の個人名など一部は第三者の閲覧時に黒塗りになる。有識者からは「個人情報に配慮しながら、より透明性を高める努力が必要だ」と指摘する声が上がっている。

 中部各県では個人情報保護条例などで、政活費から事務所の人件費などを支出した先の個人名などが黒塗りで公開されている。

 岐阜県議会の最大会派、県政自民クラブの駒田誠議員会長は「透明性を高めていくことは必要だが、個人名まで公開されると支出しづらくなる。政治活動が制約される流れが強まるのではないか」と、全面的な公開には懸念を示す。

 一方、民主党系会派のある県議は「政治への不信感などから、一定額以上の支出に関しては個人名も公開を検討した方がいい」と提案する。

 三重県議会最大会派で民主系の「新政みえ」代表の三谷哲央議員も「(政活費で)誰を雇用しているかなどの契約関係は税務署にも報告しており、プライバシーに配慮しつつ公開範囲を広げてもいいのでは」と指摘。第二会派「自民みらい」団長の貝増吉郎議員も「事務所の所有者などは地元では知られている。公開は問題ない」と話す。ただ、議員側は支出先を領収書に明記しているため、「どの記載が黒塗りで公開されたか、あまり意識していないのが実情」とも話す。

 愛知県議会では、人件費支出先の個人名のほかに、政策調査などの委託先の個人名も黒塗り。民主県議団の黒川節男団長は「人件費は個人にとっては収入というプライバシーだが、委託された調査は公的な仕事。公開対象になっていい」と積極姿勢を見せる。

 名古屋市議会も個人名などは黒塗りだ。最大会派の自民党市議団幹部は「会派内で厳しくチェックしており、すべてオープンにすることに問題はない。ただ、相手の個人情報に関わり、公開してほしくない人がいるかも」と話す。

 政活費に詳しい光成卓明弁護士は「議員が政活費で家賃を払っている事務所の大家や、政活費で給料を払っている秘書の個人名が黒塗りにされる自治体は多いが、透明性を高めるため公開すべきだ。個人情報保護条例に基づき、本人の了解があれば氏名も公開できる」と指摘している。

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 <政務活動費> 地方議会の議員が調査研究にあてるお金で、議員報酬とは別に税金から支出される。視察旅費のほか、秘書の人件費や事務所費の一部などに使われる。2000年の地方自治法改正で政務調査費として導入された。12年の法改正で名前が政務活動費に変わり、国への要請・陳情などにも使えるようになった。