繊細な感覚でこだわる 松山英樹のクラブ変遷をマーク金井が解説

【ゴルフダイジェスト・オンライン】

10月24日(木)に千葉県のアコーディア・ゴルフ習志野CCで開幕する米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」。松山英樹は昨年の「ダンロップフェニックス」以来の日本での試合となる。今シーズンはすでに米ツアーで3戦を戦い、前週の「ザ・CJカップ@ナインブリッジ」で3位に入った。今回はクラブアナリストのマーク金井氏が松山のセッティングを振り返り、解説する。

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ひとつのクラブを長く使い続けるとイメージが残ってしまう

「スリクソン ZR-30」を長く愛用し続けた 【ゴルフダイジェスト・オンライン】

松山選手の特徴として、クラブセッティングはとても保守的です。ドライバーは「ダンロップ スリクソン ZR-30 ドライバー」を非常に長く使っていました。すごく特殊なクラブでヘッドは小ぶり、とにかく低重心。重心位置が浅く、操作性が良いゲンコツ型で、例えるならマッスルバックアイアン的なドライバーでした。

しかし、2014年の「ザ・メモリアルトーナメント」で優勝した際、シャフトが折れました。「ZR-30」は2008年発売のクラブのため、さすがに在庫も少なくなっており、松山選手が使っていたものとまったく同じクラブが見つからず、試行錯誤が続いた時期もありました。あまりに慣れた道具を使い続けると、何に変えても、前のイメージが強く残ってしまうものです。

完全合致がなければ試行錯誤は続く?

2016年にはキャロウェイの「グレート ビッグバーサ ドライバー」を使い始めました。このクラブはヘッド形状が丸く、重心距離もそれほど長くないクラブでした。「ZR-30」に近い特性もあったので、エースドライバーとして使っていた時期もありましたが、やはり「ZR-30」とは完全に一緒ではないので、どこかフラストレーションはあったかと思います。18年にはテーラーメイド「M3 440 ドライバー」に変えて、そのほかのメーカーのドライバーも試しています。現在は「M5 ツアー ドライバー」を使っていますが、まだ試行錯誤の状態ではないでしょうか。

「M5 ツアー」は重心特性的にも松山に合っていそうだ 【ゴルフダイジェスト・オンライン】

ただ「ZR-30」のような小ぶりヘッドが好きな松山選手にとって、ヘッド体積435ccの「M5 ツアー」は重心特性的にも結構お気に入りになっているのではないかと思います。トッププロでもクラブに対して「ミーハー」な部分はありますので、ほかの選手で結果が出ているクラブは使いたくなるものです。ですから、松山選手も評判のクラブを試しているのでしょう。

ただ、今年の「全英オープン」でシェーン・ローリー選手(アイルランド)が「スリクソン Z585 ドライバー」で優勝していますが、このクラブを松山選手が選ぶことはないでしょう。同じメーカーだと「似ている」ではダメで、「合致する」でないと許容できないものです。他メーカーであれば、少しの違和感が「メーカーが違うからしょうがない」と割り切れるのですが、同じメーカーだとその小さな違和感が大きく感じられてしまいます。

それぐらい繊細な感覚の違いを感じ取れるのでしょう。もしかしたらメンタル的な部分が大きいのかもしれませんが、そこが完全に合致しないと、本人も納得のドライバーはなかなか見つけられないのかもしれません。

FWを作るのがうまいテーラーメイド

真っ白なクラウンが特徴的だった「ロケットボールズ ステージ2 FW」 【ゴルフダイジェスト・オンライン】

フェアウェイウッド(FW)はテーラーメイドの「ロケットボールズ ステージ2 フェアウェイウッド」を長く使っていました。これは白いクラウン部分が目立っていました。現在も「M4 フェアウェイウッド」を使っており、テーラーメイドのFWを好んでいます。同社は昔からFWを作るのがうまいメーカーです。初代の「ロケットボールズ フェアウェイウッド」もそうですが、全般的に「飛ぶFW」です。フェースの反発性能しかり、スピン量しかり、ドライバーとは違いますが、非常にキャリーを稼げるクラブです。

「飛ぶFW」を作るのは簡単で、重心を浅く作ればいいわけです。ただし、アマチュアが使うとなると、球が上がらないので難しいクラブになってしまいます。プロにとっては、球が上がるクラブである必要はなく、自身のスイングで上げられるので、飛距離を重視して使っているのでしょう。

慣れたら手放せなくなるスリクソンのアイアン

アイアンはスリクソンに慣れると、それを手放せないかも 【ゴルフダイジェスト・オンライン】

一方でアイアンは現在の「スリクソン Z-フォージド アイアン」を含め、長くスリクソンのアイアンを使用しています。出始めの頃から、スリクソンはプロや上級者のアマに人気のあるブランドです。アイアンの打感は好みが分かれるところですが、球をとらえた時の手応え、手に伝わる感触がスリクソンのクラブで慣れているゴルファーにとっては、そこから外れられないのでしょう。

スリクソンのアイアンは山型ソールが特徴的なのですが、山型ということでソール幅が実際は半分になり、抜けが良い形状です。ただその割にバウンスがしっかりついているので、バウンスの効き方、ソール幅との相性など、一度スリクソンのクラブに慣れると、ほかが打ちづらいかもしれません。

ヘッドに悩んでもシャフトは統一

松山選手のセッティングでアマチュアの人にマネしてほしいところは、ドライバーのヘッドはいろいろ試行錯誤していますが、シャフトはグラファイトデザイン「ツアーAD DI」をずっと変えていません。ヘッドを変えている時は、シャフトを変えず、シャフトを変える時はヘッドを変えない。両方同時に変えてしまうと大きく狂ってしまうことがあるので、どちらかは変えずに、新しいものを試した方が良いでしょう。
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