“定位置”3位脱却に向け、浅尾が見つけた新たな課題=ビーチバレー

ビーチバレースタイル

新パートナー・草野歩と挑んだ今季国内初戦も3位に終わった浅尾美和。その“定位置”から抜け出せる日はいつになるのか 【坂本清】

 浅尾美和(エスワン)のスパイクがネットにかかった瞬間、“またしても決勝進出ならず…”そんな深いため息が会場全体にもれた。

 ビーチバレーのJBVツアー第1戦・東京オープン女子準決勝、浅尾美和・草野歩(エスワン)組は、浦田聖子・西堀健実(ともにフリー)組と対戦し、セットカウント1−2で惜敗した。その後行われた3位決定戦では、尾崎睦(湘南ベルマーレ)・金田洋世(上越マリンブリーズ)組に2−0で勝利したものの、心機一転、新ペアと挑んだ今大会でも、浅尾は“定位置”の3位に終わった。

新ペアで挑んだ今季初戦

 ビーチバレー界の『顔』だった浅尾と西堀が、「あとあと後悔したくないし、新しい可能性にかけてみたい」という理由でペアを解散したのは、昨年11月。浅尾は「あと一歩のところで勝てなかった」過去の自分と決別するために、昨季2勝を挙げて台頭してきた同年代の草野と新ペアを結成した。           
 各選手がフィジカルトレーニングや基礎練習に励むオフシーズン、「今季は初めてレフトポジションに挑戦して、高いところでボールをとらえることを意識して練習してきた」と浅尾は言う。さらに、ディフェンス面でも3年ぶりのブロックに挑むこととなり、持ち前の“高さ”と“スピード”を最大限に生かすことをテーマに、開幕戦に臨んだ。

悔しさを見せた浅尾「優勝したかった」

 そして迎えた準決勝。西堀との“元ペア”対決に注目が集まった。「元相方の癖は分かっている」と語っていた浅尾は、プレッシャーのかかった場面でも、序盤から鋭い打球をライン際に決めていく。西堀のスパイクを連続でシャットアウトするなど、攻守に好調ぶりを発揮。そんな浅尾に手を焼き始めた浦田・西堀組は、サーブの狙いを浅尾から草野へ変更。すると、「普段はあまりサーブで狙われることがないし、急に狙われて、コンビネーションがバタバタしてしまった」(草野)と振り返るように、草野のサーブレシーブ、浅尾のトスが思うようにつながらない。得点源である草野のパワースパイクは息を潜め、消極的になった攻撃は、すべて浦田・西堀組に拾われ、切り返された。
 第1セット、15−10とリードしていた浅尾・草野組だが、結局この場面で逆転を許し、18−21でセットを奪われた。第2セットは21−13で取り返したものの、最終セットは第1セット同様、攻撃にミスが目立ち始め、13−15で接戦を落とす結果となった。
 開幕戦で新たな課題を露呈した浅尾は、「アユ(草野)がサーブで狙われたときは、アユが気持ちよく攻撃できるように、私がしっかりトスを上げないと勝てない。ペアが変わって最初の大会だったので、どうしても優勝したかった」と試合後、悔しさをにじませた。

 浅尾は“3位”のレッテルを、いつ打ち破れるのか。定位置から脱出するために、開幕戦で浮かび上がった課題を克服することは、必要不可欠だろう。「負けは負けなので、同じことだけは、繰り返さないようにしていきたい」と浅尾。14日に開幕する国内ツアー第2戦大日本印章オープン(愛知)で、初優勝を狙う。

<了>

ビーチバレースタイル5月号 『特集チェンジ〜いま改革のとき〜』

 5月1日発売号の特集は、浅尾美和・草野歩ペア、浦田聖子・西堀健実ペア、尾崎睦・金田洋世ペア、白鳥勝浩・朝日健太郎ペア、畑信也・今井啓介ペア、井上真弥・長谷川徳海ペアら、注目ペアの対談インタビュー。第2特集は、今ブームを呼んでいる『4人制ビーチバレー』の魅力と勝つための鉄則にクローズアップしました。そのほか、好評連載中の技術指導企画、フィジカルトレーニング論なども掲載。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

2009年4月創刊。国内トップ選手の情報、大会レポート、技術指導、トレーニング論など、ビーチバレーを「見る」「やる」両方の視点から、役立つ情報が満載。雑誌のほかに、ビーチバレースタイルオンラインとして、WEBサイトでも大会速報、大会レポートなど、ビーチバレーに関する報道を行っている。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント