ギネス記録をつくった日本テニス界の女王・杉山愛

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2006年のウィンブルドンで当時世界ランキング1位のヒンギスを破ってガッツポーズを見せる杉山 【Photo:アフロ】

 2009年に活躍した選手や引退した選手らの記憶に残る出来事や名場面を振り返る「伝説コラム」。第2回は、今年9月に17年間の現役生活に別れを告げたプロテニスプレーヤー杉山愛をピックアップ。世界の強豪と戦い続けた軌跡を振り返ります。

シングルスの最高位は8位

 世界の強豪と戦い続け、日本テニス界をけん引してきたプロテニスプレーヤー・杉山愛。17歳でプロに転向し、34歳となった今年9月に行われた東レパンパシフィックオープン(PPO)を最後に、その現役人生に別れを告げた。
 パワーテニスの全盛、次々と現れる10代の新星など毎年変わるテニス界の中で、杉山が残したグランドスラム(全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン、全米オープン)シングルス62大会連続出場というギネス記録は、世界のトッププレーヤーであり続けた証明としてさん然と輝く。

 4歳からテニスラケットを握り始めた杉山は、ジュニア時代からその頭角を現す。15歳の時、日本人としては男女通じて初となる世界ジュニアランキング1位に上り詰めると、92年10月に17歳でプロ転向を宣言。そしてWTAツアー本格参戦を始めた1994年6月のウィンブルドンで2度目のグランドスラムシングルス本戦出場を果たすと、ここから62大会連続出場の記録が始まった。
 得意の両手打ちバックハンドと、どんな球にも食らいつくフットワークで、世界のトップと戦い続け、シングルスではツアー6勝を挙げた。2003年には日本人として伊達公子以来となる世界ランクトップ10入り(最高位は8位)を果たし、名実ともに世界のトッププレーヤーとして君臨した。

 杉山本人がシングルスで印象に残っている試合と話すのは、06年ウィンブルドンの3回戦、センターコートで行われた元世界女王のマルチナ・ヒンギス(スイス)を破った一戦。フルセットまでもつれたこの戦いは、「自分の夢の舞台で、元世界女王を破った試合は印象に強い」と話す。また対戦相手となったヒンギスは、この試合の後「アイとは、もう二度と戦いたくない」とまで言わしめたほどだった。

ダブルスでは世界ランク1位に

 シングルスでの活躍以上に、好成績を残したのがダブルスだ。00年には全仏オープンでベスト4入りを果たすと、同年のウィンブルドンで準優勝、全米オープンではグランドスラム初制覇を達成。ダブルスの世界ランク1位に上り詰めた。その後、ペアを組む選手を変更し、上位にいけない時期もあったが、03年に組んだキム・クライシュテルス(ベルギー)とは絶妙なコンビネーションをみせ、全仏、ウィンブルドンとグランドスラム2連勝を飾った。
 惜しくも全豪オープン制覇はかなわず、4大大会全制覇とはならなかったが、09年には最後のパートナーとなったダニエラ・ハンチュコバ(スロバキア)とのペアで、準優勝に輝いている。

 現役最後の大会となった東レPPOでもダブルス準優勝となり、最後までその力を出し尽くした杉山。引退後は、「ジュニアなど後進の指導をしていけたらいいなと思います」と“第2、第3の杉山愛”を育てたいと話すが、これからも日本テニス界の第一人者として活躍し続けるだろう。

<了>
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