マウスコンピューター小松社長に聞く「MousePro」の展望。発売3年目の法人向けパソコン、顧客1万社から支持を集めた理由-マウスコンピューターが法人向けパソコンブランド「MousePro」の販売を始め、今年で3 年目に突入した。顧客は1万社を超え、中小企業を中心に導入が相次ぐ。パソコンの販売が頭打ちになっている中で、MouseProの好調の要因はどこにあるのか。

出荷台数は2年間で1.5倍 中小企業の導入が相次ぐ

 「当社は、同じ価格で1つ上の性能のパソコンを主に個人のお客様に提供してきましたが、この方針は法人のお客様にも浸透しつつあると思います」。マウスコンピューターの小松永門社長はこう話を切り出した。
 マウスコンピューターは顧客の注文に応じてCPU、メモリー、ハードディスク、グラフィックスカードなどを選べるBTO(Build To Order=受注生産)パソコンを製造し、最先端技術をいち早く反映した高性能パソコンを販売する日本メーカー。高い処理能力が求められるゲーム用に、あるいは音楽・映像の編集などにパソコンを使うユーザーの支持を得てきた。
 そのマウスコンピューターが法人向けパソコンブランド「MousePro」の販売を始めたのは2011年2月のこと。今年で3年目を迎えた。得意の高性能パソコンに加え、文房具のように手軽に使えるパソコンのラインアップを強化した結果、中小企業を中心に導入が相次いでいる。法人向けパソコンの出荷台数は2年間で1.5倍に増え、顧客は1万社を超える。
豊富なカスタマイズメニューが注目のMousePro製品  MouseProの人気の秘密はコストパフォーマンスの良さにある。例えば、省スペースタイプのMousePro iSシリーズは、インテルの第2世代デュアルコアCPUを搭載し、メモリー4GB、ハードディスクドライブ500GBという仕様で価格は4万円を切る安さ。しかも品質確保に留意している。
 国内生産にこだわる姿勢はその表れ。日本では海外生産のパソコンが主流だが、マウスコンピューターはiiyamaブランドのパソコン用モニターや産業用モニターを生産していた飯山工場(長野県)での生産を貫く。MousePro専用のラインを設け、熟練したスタッフが組み立て、厳しい検査に合格した製品のみを出荷し、品質最優先で取り組んできた日本のものづくりの伝統を受け継ぐ。

製品、機能、営業、応対、修理 5つの品質を重視「日本品質」

 サポートと修理にも力を注ぐ。故障しない製品の出荷に努めているが、万が一のときでも可能な限り顧客の業務に影響を及ぼさないようにするため、沖縄県に24時間365日対応する自社運営のコールセンターを設置し、埼玉県春日部市に修理の拠点として埼玉サービスセンターを置く。コールセンターではできるだけ電話口で問題を解決できる体制を敷き、埼玉サービスセンターでは24時間以内に終えることを目標に速やかに顧客の手元に戻す。
「日本品質」の5つの柱  「当社には『日本品質』という社内用語があります。それを実現するには製品品質、機能品質、営業品質、応対品質、修理品質という5つの品質を高める必要があると思います」(小松社長)。製品品質は飯山工場で取り組んでいる。機能品質はキーボードのタッチや冷却ファンの音などの機能に関するもので、顧客から寄せられた声を製品開発に反映させる。営業品質は営業部門が顧客の使用環境を聞き取り、最適な仕様のパソコンを納入することで実現する。応対品質は沖縄コールセンターで、修理品質は埼玉サービスセンターで対応している。
 コストパフォーマンスの向上を図るため、マウスコンピューターは経営面で様々な工夫をしている。
 在庫管理の徹底はその1つだ。パソコンの部品は月平均で6~10%、時には30%も価格が下がるので、在庫管理を誤ると原価の上昇に跳ね返ってしまう。マウスコンピューターはBTOによって不要な在庫をできるだけ排除するとともに、パソコン部品メーカーからの定期的な仕入れなどによって、仕入れコストの削減と在庫リスクの低減を図る。
 また、国内生産もコスト削減につながる。組み立て作業そのものはコスト面で海外にかなわないが、国内生産だと開発から生産まで一貫して対応でき、1人のスタッフが複数の業務を柔軟にこなせるため生産効率は高くなる。「海外生産を検討したこともありますが、『小回りの利く製品づくり』と『信頼性の向上』の両立を図れるのは国内生産です」。(小松社長)
 運営コストの削減にも熱心だ。その対象は、賃貸オフィスのスペース、出張費、外注費など広範囲に及ぶ。例えば社内の掃除。外部の清掃業者に委託せず、社員が交代で取り組む。小松社長は「運営コストの削減には、これといった決め手はありません。小さな節約の積み重ねを疎かにしてはいけません」と話す。

目線は中小企業経営者と同じ 創業以来のコスト削減のDNA

 マウスコンピューターの前身は、2004年に東証マザーズに上場したエムシージェイの高島勇二会長が1993年に始めたパソコン事業だ。実家の衣料店が負債を抱え、当時19歳だった高島会長はそれを解消するためにパソコン事業に乗り出した。創業間もないころは、思うように銀行融資を受けられなかったという経験を持つ。「1円の重さが分かる経営者でなければならない」と話す高島会長の目線は、コスト削減に日夜励む中小企業経営者のそれと変わらない。創業以来のコスト削減のDNAが根付いている。
 「会議はあまり開きません。社員数は業務に応じた適切なものにしているので、オフィスですぐに話し合えばいいし、グループウエアやビデオ会議で意思疎通は図れます。社員が増えると、会議だけでなく、人件費も増え、最終的にパソコンの価格が跳ね上がります。これからもコスト削減により、お客様へ最適な価格提供のできる会社経営を心掛けたいと思います」。小松社長はこう気を引き締める。
マウスコンピューターサポートセンターにある「顧客志向」を追求する姿勢。
お問い合わせ先
株式会社マウスコンピューター
法人のお客様:
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