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カミキリムシ(テッポウムシ)の対策・防除法


バラの代表的な病害虫のひとつ、カミキリムシ・テッポウムシについてご紹介します。

長年愛でてきた株、お元気ですか?

今まで順調だった株が、何故かこの頃元気がない……
ふと株元を見てみたら、木屑?おが屑?のようなものがある……

もしかしたら木の中にテッポウムシ・カミキリムシの幼虫がいるかもしれません!
カミキリムシの幼虫を放っておくと、木が弱くなって折れてしまったり、枯死してしまったりします。



そもそもテッポウムシって何?

テッポウムシと物騒な名前で呼ばれていますが、そもそもテッポウムシとは何なのでしょうか?

テッポウムシとはカミキリムシの幼虫の俗称です。
主に害虫とされるカミキリの幼虫を指しています。

バラのテッポウムシというと『ゴマダラカミキリ』という種類のカミキリの幼虫ということになります。
バラを食害するカミキリムシはゴマダラカミキリ以外にも数種いますが、どれも成虫で2㎝以下の小型で、食べるのは成虫幼虫ともに枝だけで幹に影響はなく、枯れるほどの被害は出しません。

テッポウムシの由来は、樹の幹に開ける穴が鉄砲を撃って開けたような丸い穴であることから来ています。

ゴマダラカミキリの幼虫


カミキリムシによる被害と確認方法

○確認方法

まずは株元や根際をきれいに片づけましょう。
そして幼虫が侵入した穴を探します。
もし木屑のようなものがでているのであればその近くを、無ければ根際から株元の幹に穴を探します。
穴の位置は親が産卵した位置なのですが、腰の高さより上に産卵することは滅多にありません。
しかし、時には浅い根に穴がある場合もあるので、下はじゅうぶんに確認しましょう。上よりも下を重点的に探しましょう。
穴の大きさは2㎜前後、大きくても数㎜程度の小さな穴です。


○被害

幼虫は株元から侵入して木の中を食べ進めます。この時、木くずのようなものが株元に出てきますが、これは「フラス」と呼ばれるもので、木屑と幼虫の糞が混ざったものです。


木の中身を食べてしまうので、バラにとっては致命的な害になります。
若い株よりも数年栽培している古株で被害が出やすく、気づかずにいると枯れてしまいます。

カミキリムシ幼虫

また、成虫も枯死する程ではないにしても、バラを食害しています。成虫の主な食べ物は樹皮です。乾いて硬い古い樹皮よりも、水分が多く柔らかい新しい枝の皮が大好きです。
もしバラの枝に齧ったような跡がついていたらゴマダラカミキリが来ているかもしれません。
ゴマダラカミキリの成虫


対処・防除

○対処方法

かつて明治の頃、果樹農家では「注射でころしましょう鉄砲虫」と唄っていたそうですが、今もそれは変わりません。

大前提として、幼虫が侵入した穴を見つける必要があります。
その穴に殺虫剤を注入するというのが基本です。

どうしても穴が見つからなかった場合、細いドリルで木屑のようなものの近くに穴を開ける方法もありますが、自ら木を傷つけることになりますので、行う際は自己責任でお願いします。

殺虫剤は一般的なもので構いません
希釈用の殺虫剤でしたら、少し濃いめに希釈して、スポイト等で穴に注入してください。
薬剤は使いたくないという場合では、針金を穴に差し込み、中にいる幼虫を刺し殺すという方法もありますが、不確実なのであまりオススメはしません。

カミキリ駆除に特化している製品もあります :園芸用キンチョールE


園芸用キンチョールEには細長い専用ノズルが付属していて、カミキリの幼虫が侵入した小さな穴に差し込んで薬剤を注入することができます。
もちろん通常の噴射ノズルで通常の殺虫剤としても使えます。即効性があるのでとても便利です。
園主も愛用していまして、こちらの動画で古株のノイバラに使用しているとお話しています。


また、テッポウムシ専用の木の穴を塞ぐ密封剤もあります。
テッポーダン

多くのテッポウムシ対処方法では殺虫剤を注入した後に穴を塞げと書いていますが、なぜ穴を塞ぐ必要があるのでしょうか。
穴を塞いでおかないと、薬剤から逃れようとする幼虫が穴から這い出てくる場合があります。
また、薬が効いて中で幼虫が死んだとしても、その開いている穴からアリや菌が侵入し腐朽を進めてしまうという二次被害を起こす可能性もあります。

ですが、園主曰く穴は塞がなくても構わないとのことです。
幼虫のやわらかい体に殺虫剤が少しでも付着すれば、遅かれ早かれ薬が効いて死にます。
また穴からの腐朽に関しても、株がちゃんと元気であれば本来の抵抗・免疫で跳ねのけることができます。
好みの問題でもあるので、気になる方は塞いでも構いませんが塞がなくても結構です。


卵を産みにやってくる成虫に対しては、基本的に捕殺するしかありません。
通常の噴霧する殺虫剤やオルトランのようなものでも多少の効果はありますが、効果絶大とまではいかないのです。
さいわいにも成虫のいる時期は夏の間だけですので、春先や秋には成虫の来訪を気にする必要はありません。
成虫をどうにかするよりも、産み付けられた卵や木の中に侵入した幼虫にいち早く気付き対処することが大切です。

カミキリの体は固いので指で摘んでも潰れません
ただし大顎で噛まれると痛いので気を付けましょう


○対策
日頃から株の根本はきれいに片づけておき、異変があったら気付けるようにしておきましょう。



ゴマダラカミキリについて

カミキリムシの仲間は日本国内だけで約800種が知られています。
その多くは枯れ木や倒木、伐採木などを食べる種類で、生木を食べるカミキリは少数派です。

ですが、バラをよく加害するゴマダラカミキリはその少数派である生木を利用するカミキリです。
また、多くのカミキリは特定の樹種しか食べないものが多いなか、ゴマダラカミキリの幼虫は非常に幅広い種類の生木を食べています。
バラといった花卉だけでなく、ミカン等の柑橘類やリンゴ、ナシ、クワ、イチジクといった果樹、ヤナギやシラカバ、プラタナスといった街路樹に利用される樹木もゴマダラカミキリの食樹となります。
また、樹木だけでなく草本であるイタドリでも発生することがあります。
ゴマダラカミキリはとても多くの種類の植物を利用しています。
ですので、山でも里でも、市街地や都会でも、もっともよく見かけるカミキリと言えるでしょう。

手で掴むとキィキィと鳴きます。発声しているわけではなく、胸と翅の根元をこすり合わせて音を出しています。

夏になると、成虫が木から出てきます。成虫の出現は6~9月です。
交尾したメスは目当ての木の根際や株元に産卵しにやってきます。
この時、ただ樹皮の上に産卵するのではなく、少し傷をつけて内側に卵を産みます。こうすることで孵化したばかりの幼虫が硬い樹皮に阻まれることなく、柔らかい材部分へ潜ることができるのです。
幼虫は孵化すると親のつけてくれた傷から樹に入っていきます。
生まれたての小さいうちは外側の辺材部を食べ、大きくなってくると内側の心材部を食べるようになります。

※木材の辺材部分・心材部分について
丸太や切り株で木の断面を見ると、中心のほうは色が濃く、外側は色が薄くなっていて、色の差はグラデーションにはならずにハッキリとした境界があります。
色が薄い外側の部分が辺材部分です。辺材部は生きた細胞でできていて、根から吸い上げた水や養分を上に運ぶのはこの部分です。
色が濃い内側の部分は心材部分です。心材部は死んだ細胞でできています。この死んだ細胞はかつて辺材部だったものです。死んだ細胞といえど、木を支える柱・骨としての役割があります。
辺材部より外側には樹皮があります。

幼虫は辺材部分から食べ進めるので、樹が栄養や水分を吸い上げる力や量が減ってしまいます。
さらに幼虫が大きくなり心材部分まで食べてしまうと、木の中身が空っぽになってしまい枯れたり折れたりする原因になってしまいます。

幼虫は基本的に孵化から2年近くかけて生木の中を食べて大きく育ちます。
そして春までに蛹になり、羽化し、夏になるのを木の中で待ち、時期が来ると成虫として外に出ていきます。

木の中を食べ進めるカミキリの幼虫にも天敵はいます。
カミキリの幼虫が木の中を食べ始めると、木が物質を放出してカミキリの天敵である寄生蜂を呼び寄せます。
寄生蜂は長い産卵管を持っているので木の中にいる幼虫まで管の先を届かせることができて、産卵します。カミキリ幼虫の体に産み付けられた寄生蜂の卵が孵ると、カミキリの幼虫は食べられてしまいます。


*その他病害虫についてはこちら

バラの病害虫と対策

この記事を書いた人

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篠宮バラ園で働く生産スタッフです。
皆様のもとへ元気で丈夫な苗がお届けできるよう今日も頑張ります♪

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