【詳細】映画『ミンナのウタ』撮影現場レポート&清水崇監督 インタビュー

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2023-08-04 19:00:00
大ヒットホラー映画『呪怨』シリーズを手掛け、ハリウッドで自らリメイクした『THE JUON/呪怨』が、日本人監督として初めて全米興行収入1位を獲得!近年では『犬鳴村』など話題の「恐怖の村シリーズ」を手がけた、Jホラーの巨匠・清水崇監督の最新作『ミンナのウタ』が、2023年8月11日(金・祝)より全国公開。

人気ダンス&ボーカルグループ「GENERATIONS(白濱亜嵐、片寄涼太、小森隼、佐野玲於、関口メンディー、中務裕太、数原龍友)が全員本人役で出演する本作。小森がパーソナリティを務めるラジオ番組に届いた1本のカセットテープ。番組収録中に「カセットテープ、届き…ま…した…?」 という少女らしき声を耳にした彼は、突然姿を消してしまう。マネージャーの凛(早見あかり)に依頼され、探偵の権田(マキタスポーツ)が調査を始めるが、次第にGENERATIONSのメンバーが恐怖の連鎖に巻き込まれていく、という現実とフィクションが曖昧になった世界を描いた物語。

今回、SGS編集部が撮影現場を直撃!物語のキーパーソンである高谷さな宅での撮影の様子をご紹介♪
2023年3月、東京都内のスタジオで行われた撮影に、白濱亜嵐(GENERATIONS)、マキタスポーツ、早見あかりが参加した。
黒のカーテンと板で目張りされた、日差しの差し込まないスタジオに組み立てられた、高谷さなの家の玄関と階段のセット。ドアと階段の塗料を刷毛で何度も塗り直し、床には枯葉を敷き詰め、廃屋らしさを表現。
ドアノブや鍵穴、電気スイッチ、電灯、玄関のたたきのタイル、壁にかかった曇った鏡・・・。
リアルに再現された室内から、かつてさなたち一家が暮らしていた30年前・平成初期の様子を想像することができる。実際の廃墟ではなく、こうしたセットを使用すると、撮影中の照明の明るさを調節したり、壁を取り外して別の角度から撮影したり、脚立を使用して上からマイクで録音したりできるそうだ。
劇中衣装であるコートやジャンパーを羽織った白濱、マキタ、早見が到着し、撮影がスタート。この日はクライマックスとなる3人でのシーンを集中的に撮影した。
撮影前半は白濱、マキタ、早見3名のキャストが、玄関ドアからさなの家に入っていく、緊張感あふれるシーンを撮影。階段の上に数名のスタッフが上がって、階段の何段目の位置から撮影するのか細かく調整。3名のキャストの立ち位置も微調整し、一ショット一ショット丁寧に撮影している様子が窺えた。清水崇監督は玄関ドアの外側に立って指示を出し、モニターでキャストたちの表情を確認しながら、テスト1~2回→本番の流れで撮影。清水監督の「ヨーイ、ハイ」の声と共にカチンコが鳴らされ、監督の「カット」「OKです」という指示が出るまで、緊迫した空気に包まれていた。
撮影後半は、階段を使用したシーンを撮影。監督自らセットの中に入り、キャストやスタッフに細かい段取りを説明。清水監督のたとえ話に笑いが起きる場面もあった。

撮影現場で繰り返し流れていたのが、少女の鼻歌のような「呪いのメロディー」。どこかもの悲しいメロディーが流れると、現場の雰囲気がさらにシリアスに変わり、物語の世界に引き込まれていくかのようだった・・・。

撮影の合間には、清水崇監督の囲み取材も行われ、撮影の裏側をお伺いすることができた。

清水崇監督 インタビュー

Q.GENERATIONSさんとホラー映画でご一緒するというお話があった時、どのようなお気持ちでしたか?

清水崇監督(以下、清水監督):最初はGENERATIONSさんのことをあまり知らなかったです(笑)。ありがたいお話ですし、GENERATIONSさんの映画だけど中身に関しては好きにやらせていただけそうだし、こういうタイミングでもないとLDHの方とお仕事させていただける機会もないのでやらせていただきました。僕いつも、入口そういうのが多いんですよね。「3D興味ないです」「4DX興味ないです」とか。

一同:(笑)

清水監督:と言いながら、なんだかんだやってみると楽しい。新しいものが勉強できたな、ということが多いので、今回も楽しみにやらせていただきました。

Q.GENERATIONSさんの音楽を使用して、全員が本人役で出演する、そういったアイディアはどのように生まれましたか?

清水監督:本人役とはいえ、物語の骨格の中に本人が出てくる。どこかでズレが生じるというか、嘘っぽくなりがちなので、そこは難しいところだから気を付けないといけない。お芝居経験がそれなりにある方と、そんなに経験がない方と混ざっているので、本人という形でやったほうがファンは喜んでくれるでしょうし、彼らに興味も詳しくも無いマキタさん演じる探偵の立ち位置と言動で、ファン以外の方にも入り易く、知ってもらい易くなる。もちろん全て素の本人まんまでなく、多少誇張している部分はあるのですが、本人たちと話し合いながらやったところ、とても楽しんでくれました。

まずは本人たちがなんと呼び合うか聞いて。関口さんだけはメンディーさん、片寄くんは涼太くん、そうしたことを聞き取りして。「こういう言い方は俺しないですね」「俺とは呼ばず僕ですね」と本人の意思を反映させて。「こんなに感情的になることはあまりないですね」「でもここはちょっと誇張したいのでこうさせてくれ」と、一応本人たちの理解を得ながら、無理のない程度に、お話の流れを壊さない程度に作っていく作業でした。

マキタさん演じる探偵と架空のマネージャー役の早見さんは、GENERATIONSメンバーを本人の名前で呼ぶので、役に入る時戸惑っていて。早見さんはマネージャー役なのでどこまで彼らに慣れているか、どういう関係性なのか、本読みの時に探り探りしていました。
Q.GENERATIONSさんと実際にお仕事をされて、演技を見た後で印象の変化はありましたか?

清水監督:誰が誰とは言えないのですが、こういう流れでこういう動きをとるキャラクターは、この彼ではなくこっちの彼にしておいたらもう少し膨らませられるかな、とか(笑)。正直、やり始めてから見えてきたところも多々ありました。一人一人キャラクターがそれぞれ違うので、なるほど面白い、とうまく使えているつもりなのですが、なにせ人数がいるので、全部が全部はまるように、というのはさすがに難しいし、バランスを取りながら直していきました。全然なかったはずのシーンが生まれてはまた消え、生まれては消えていきました。

Q.30年前の平成初期の世界観とのリンクについては、どのように構想を膨らませましたか?

清水監督:角田ルミさん、プロデューサー陣と脚本を練って話し合っていくうちに、劇中に出てくる邪悪な存在、いわゆる貞子みたいなものをどこに置こうか、となって。思春期の少女の純粋な思いに、既に邪悪なものが宿っているとしたらまだアイデンティティの確立していない中学生くらいが適任ではないか。小森くんがレギュラーでラジオをやっているので、そこで何か起こったら、なぜか今時カセットテープが届いたらどうだろう。それを送った主は、どういうキャラクターだろう。カセットテープに素人丸出しの歌声が入っていたら?といった発想の流れから、そういえば30年ほど前、僕が高校生の時に「かぐや姫」というバンドの解散コンサートが録音されていて、テープを逆再生すると「私にも聞かせてよ」という女の子の声が入っていると騒ぎになって、よくテレビやラジオで取りあげられていた。それをモチーフに使えないかな、今あえてカセットテープネタいいかも、といった発想でどんどん骨格が見えてきました。
Q.撮影現場で聴こえてくる歌のメロディーは、清水監督のカラーが出た曲に仕上がっていると感じました。作品の一番大きなモチーフだと思うのですが、どういうところを意識して作られましたか?

清水監督:GENERATIONSのメンバーも口ずさむ場面があるので、事前に作っておかないといけなくて。小林うてなさんが作曲してくださって。山崎ハコさんの「織江の唄」とか、森田童子さんの「ぼくたちの失敗」とか、寂しい暗い系の歌手の名前も挙がったのですが、僕がいいと思っていたのが『悪魔の棲む家』や『ローズマリーの赤ちゃん』の冒頭でかかるメロディーだったので、それをうてなさんにお話しして。歌詞の無い、ハミング曲にしました。

Q.『忌怪島/きかいじま』が6月公開、本作が8月公開で、今年は清水監督イヤーです。松竹でのホラー映画は2017年の『こどもつかい』以来ですが、どういうふうに撮りたいと考えていますか?

清水監督:「恐怖の村シリーズ」や『忌怪島/きかいじま』では、ドラマよりになりがちな場面で「もっとわかりやすい怖さ、ジャンプスケア(※観客を驚かせ恐がらせることを意図して、大きな恐ろしい音と共に映像や出来事を突然変化させるテクニック)を入れてくれ、と言われました。ですが、今回は話が入り組んでいる割に、わかりやすくストレートなホラーの方向性です。早見さん演じるマネージャーとマキタさん演じる探偵の掛け合いに、けっこうコメディモチーフを入れています。もちろんホラーに戻れなくなるほどやってはいけないので、バランスを取っていますが。マキタさん演じる探偵役には、僕の思いやGENERATIONSファン以外の方への配慮も入っています(笑)。
Q.「自分のことを認めてほしい」「自分の歌を聴いてほしい」というさなのキャラクターは、どんなふうに決めていきましたか?

清水監督:はっきり悪しき物、としたくないところがあって。社会的には生まれつきサイコパスみたいに見られてしまう。でも、彼女の中では純粋なところで生きている、みたいなところを出せたらな。彼女としてはこういう風に思ったんだよね、だけど両親も周りの友達も受け止めてくれなくて、自分の中では「傷つけたらごめんなさい」と思いながらもそっちに走ってしまう。そういう危うい衝動に突き動かされてしまう年ごろって中学生くらいかなと思って。観た人が、もちろん自分はそこまでいけないし、そうではないけど、この子の気持ちはわかる、となったらいいな、という思いで演出しています。

Q.長くホラーを撮り続けていて、何が一番モチベーションになっていますか?ほかのジャンルには行かないですよね。

清水監督:行きたいです。コメディを撮りたい。

一同:(笑)
清水監督:コメディの依頼が来た時には、ホラーの企画で既に埋まっていて。コメディをやる予定で、やりたいネタがあったのですが『犬鳴村』が思っていた以上に当たりすぎて「監督、わかるよね?今のうちに続編やったほうがいいよ」と言われて。僕も商業ベースでやっているので「ですよね」と言いながら、「恐怖の村シリーズ」三部作を終えたら「次は島だよね」と言われて。

一同:(笑)

清水監督:結局ほかのジャンルに行けずに来てしまっているので。次は松竹さんでコメディをやりたい、やらせてくれるはずです。

一同:(笑)

清水監督:ホラーで20年以上よくやってきたなと自分でも思います。一年のうちどれくらい、今度はどうやって呪いを解こうと考えているのか、このまま死ぬまでやっていくのかと、不安はあります。ホラーの神に呼ばれているんですかね。とり憑かれているんですかね?そろそろ、ホラーと言えば清水か中田秀夫監督か、という時代は去ってもいいのでは。新しい世代の監督がホラー映画を撮りつつ、僕はコメディを撮らせてもらいたいです(笑)。

一同:(笑)

キャスト、スタッフ一丸となって“ミンナ”で作り上げた映画 『ミンナのウタ』は、8月11日(金・祝)より全国公開!

<STORY>
人気ラジオ番組のパーソナリティを務める、GENERATIONSの小森隼。収録前にラジオ局の倉庫で30年前に届いたまま、放置されていた「ミンナノウタ」と書かれた一本のカセットテープを発見する。その後、収録中に不穏なノイズと共に「カセットテープ、届き…ま…した…?」 という声を耳にした彼は、数日後にライブを控える中、突然姿を消してしまう。
マネージャーの凛は、事態を早急且つ秘密裏に解決するため、元刑事の探偵・権田に捜査を依頼。メンバー全員に聞き取り調査を進めるが、失踪した小森がラジオ収録の際に聞いた「女性の鼻歌のような、妙なメロディーが頭から離れない」と言っていたことが判る。そして、リハーサル中に他のメンバーたちも “少女の霊”を見たと証言。ライブ本番までのタイムリミットが迫る中、リーダーの白濱亜嵐、凛、権田は捜索に乗り出す。やがて、少女の霊の正体は、“さな”という女子中学生だということが判明するが、彼女が奏でる“呪いのメロディー”による恐怖の連鎖が始まり・・・。

一体、彼らに何が起こっているのか? この先に待ち受ける、想像を絶する結末とはーーー!?

映画概要


【ミンナのウタ】
2023年8月11日(金)全国公開
出演:GENERATIONS 白濱亜嵐 片寄涼太 小森隼 佐野玲於 関口メンディー 中務裕太 数原龍友
早見あかり / 穂紫朋子 天野はな 山川真里果
マキタスポーツ
主題歌:「ミンナノウタ」GENERATIONS(rhythm zone / LDH JAPAN)
監督:清水崇
脚本:角田ルミ 清水崇
音楽:小林うてな 南方裕里衣
製作:「ミンナのウタ」製作委員会
製作幹事:松竹 テレビ東京
企画・配給:松竹
制作プロダクション:ブースタープロジェクト ”PEEK A BOO films”
上映時間:102分
映倫区分:G

©2023「ミンナのウタ」製作委員会

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