メゾン・マルジェラ デコンストラクトで艶やか

2017/07/07 04:30 更新


 【パリ=小笠原拓郎】17~18年秋冬オートクチュールは、それぞれのメゾンの持つ物作りの背景を生かしたコレクションが相次いだ。ハンドクラフトの技術を生かしたメゾン、ロジカルでコンセプチュアル、サステイナブルの発想を背景にしたメゾンなど、それぞれの特色が新作に表れている。(写真=catwalking.com)

 前回のオートクチュールのレビューで、メゾン・マルジェラは「ジョン・ガリアーノによって第2章を迎えることになった」と書いた記憶がある。マルタン・マルジェラのもっていた〝ひんやり〟とした空気感とはまた違う、新しいメゾン・マルジェラのありようをガリアーノは作るようになったからだ。その路線は今シーズンも同じ。

 艶やかなリップのモデルが着るのは、トレンチコートを解体したドレスが中心となる。デコンストラクトというこのメゾンのアイコンともいえるテクニックを使いながら、かつてのラインとはまた違うグラマラスで迫力に満ちたラインを作る。

 ヘリンボーントレンチはバックにカットオフのディテールを入れ、ハウンドツースのコートはベアトップで袖も外れている。オーガンディのトレンチコートは、下に着た球心編みのニットが見え隠れ。プリーツ状に折り畳んだ布で作ったボリュームトレンチは大きなフォルムがゆらゆらと揺れる。

 折り畳まれスラッシュされたディテール、伝統的なウールと透ける素材のコントラスト、そんなさまざまな要素を足し引きしながら作る艶やかなスタイルに驚かされる。

メゾン・マルジェラ


メゾン・マルジェラ




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