デパスの代わりになる漢方薬は?デパスの依存性や漢方薬のメリットについても解説

「デパスの代わりになる漢方薬には何があるの?」

「デパスの長期服用は依存性が心配なので漢方に切り替えたい」とお悩みではないでしょうか?

デパスを飲んでいれば不安や緊張はおさまるものの、メンタル症状に対する薬を長期間服用し続けていいものかと気になりますよね。

今回は、デパスの代わりになる漢方薬の種類や特徴デパスの依存性について解説します。

デパスの代わりに漢方薬を用いるメリット・デメリットも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

デパスの効果や副作用

デパス(一般名:エチゾラム)はベンゾジアゼピン系に分類される抗不安薬で、催眠作用があるため睡眠薬としても効果を発揮します。

デパスの代わりになる漢方薬を紹介する前に、まずはデパスの効果や副作用について簡単に解説します。

効果

デパスは不安や緊張をやわらげるため、主に不安障害や睡眠障害の治療に用いられる薬です。

全般性不安障害や心身症、自律神経失調症などに対して処方されることもあります。

また、デパスには筋肉の緊張を和らげる作用もあるため、肩こりや筋肉のこわばりなどお悩みの方にも効果を発揮するでしょう。

デパスは短時間型に分類されるので即効性があり、頓服としても用いられることが多い薬です。

副作用

デパスの副作用には、眠気やふらつき、めまい、だるさなどが挙げられます。

デパスを服用中の運転や高所での作業も危険なので、控えるようにしましょう。

デパス(精神安定剤)の代わりになる漢方薬

前提として、デパスとまったく同じ効果を発揮する漢方薬はありません

西洋薬と漢方薬とでは、そもそもからだへのアプローチの方法が異なりますし、効果が出るまでの時間や効果の強さも変わってくるためです。

ただ、漢方薬のなかにも不安や緊張を抑えたり、不眠を改善したりする作用をもつものがあります。

東洋医学では、人間のからだは「気・血・水」という3つの成分で構成され、これらのバランスを保つことで生命活動を維持していると考えられています。

それぞれ、気(き)はエネルギー、血(けつ)は栄養、水(すい)は潤して冷やすものという役割です。

これらの東洋医学の考えも踏まえながら、デパスの代わりになる漢方薬の種類や特徴についてみていきましょう。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

気分がふさぎこみ、のどに物がつまったような感じや、空咳があるような場合に用いられる漢方薬です。

からだのエネルギーである「気」の巡りをよくし、ふさいだ気分やのどの異物感を和らげます。

半夏厚朴湯は、不眠症やパニック障害の治療に使われることもあります。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

精神不安や神経症、不眠などの治療に用いられる漢方薬です。

ストレスによって滞った「気」を巡らせ、からだにこもった余分な熱を冷まして心を鎮めてくれます。

比較的体力があり、動悸やイライラ、ヒステリーがある方に向いているでしょう。

酸棗仁湯(さんそにんとう)

精神不安や神経過敏、不眠症などに対して用いられます。

構成生薬には催眠や鎮静作用があるものが多く、体力が低下し、心身が疲れて眠れない方に適した漢方薬です。

加味逍遙散(かみしょうようさん)

加味逍遙散は、女性の不調に対してよく使われる漢方薬です。

からだの栄養である「血」を補うことで、更年期障害や月経周期による精神症状を和らげます。

体力がなくて疲れやすく、のぼせやほてり、動悸などが気になる方に向いているでしょう。

自律神経を整えるはたらきもあるので、自律神経失調症の治療にも用いられます。

加味帰脾湯(かみきひとう)

弱った胃腸の力を高めることでからだのエネルギーや栄養を補い、精神不安や不眠症、神経症に対して効果を発揮します。

体力があまりなく、貧血傾向があり、疲れているのに眠れない方に向いています。

抑肝散(よくかんさん)

神経の高ぶりを抑える作用があり、神経症や不眠症、小児夜泣きの治療などに用いられる漢方薬です。

からだが弱く、イライラや怒りやすさでお悩みの方に向いてるでしょう。

抑肝散には、精神を落ち着かせる「セロトニン」と呼ばれるホルモンを増やすはたらきもあります。

抑肝散とセロトニンの関係について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

デパスの長期服用によって起こりうるリスク

デパスは数ある抗不安薬のなかでも使用される機会が多い薬であり、即効性が期待できることから手放せない患者さんも多いでしょう。

ここでは、デパスの依存性や耐性、離脱症状について解説します。

依存してしまう

デパスはその作用時間の短さと効果の強さのために、抗不安薬のなかでも依存性が高い薬だとされています。

デパスを飲むと不安症状をすばやく抑えられるため「デパスが無いと落ち着かない」という状態になりやすいといえます。

耐性ができる

デパスを長期使用すると、量を増やさないと効果を感じにくくなる場合があります。

効果が感じられないと自己判断で薬を増量してしまいがちですが、依存につながりやすく危険なため、必ず医師に確認しましょう。

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離脱症状が起こる

デパスの服用を突然中止すると、イライラや頭痛、不安、不眠などの離脱症状が起こる場合があります。

離脱症状を和らげるには、薬を少しずつ減らしたり、毎日ではなく隔日で服用したりする必要があります。

離脱症状を防ぐためにも医師の指示通りに服用し、症状がよくなってきても自己判断で中止しないようにしましょう。

デパスの代わりに漢方薬を用いるメリット・デメリット

デパスの代わりに漢方薬を用いるメリット・デメリットには、次のようなものがあります。

デパスの代わりになる漢方

それぞれ詳しくみていきましょう。

メリット

漢方薬は、西洋薬に比べて副作用のリスクが少ないという特徴があります。

たとえば漢方薬には、デパスの服用時に多い副作用である「眠気」がありません

また、依存性がないため長期的に服用しやすく、症状が改善したときの薬の減量や中止がしやすい点もメリットといえます。

デメリット

漢方薬のデメリットとしては、西洋薬に比べて即効性や強力な効果がない点が挙げられます。

デパスは短時間型の抗不安薬なので即効性を期待できますが、漢方薬は効果が出はじめるまでに時間がかかり、強力な効果も期待しにくいでしょう。

不安症状が非常に強い方や、うつや適応障害にすでになっている方には西洋薬(デパス)のほうが適しているかもしれません。

また、漢方薬は味やにおいが独特なので飲みにくいと感じる方もいるでしょう。

気分の落ち込みや不安は漢方薬で対処できる場合もある|まとめ

抗不安薬であるデパスとまったく同じ効果をもつ漢方薬はありませんが、不安や緊張、不眠などの症状を緩和できる漢方薬は存在します

漢方薬には、デパスのような即効性や強い作用は期待できませんが、穏やかに作用し、依存性もないため長く服用できるでしょう。

どの漢方薬が適しているかは、お悩みの症状に加えて、個人の体質を考慮して判断する必要があります。

不安や不眠などの同じ症状で悩んでいる方でも、個人の体質によって処方される漢方薬の内容がそれぞれ異なるということです。

「自分にはどの漢方薬が適しているのか」「そもそも漢方薬に切り替えてもいい状態なのか」など、気になることがあれば、おおかみこころのクリニックにお気軽にご相談ください。

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参考文献

・半夏厚朴湯|添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200122D1074_1_08

・柴胡加竜骨牡蛎湯|添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200050D1094_1_15

・酸棗仁湯|添付文書https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200056D1032_1_09

・加味逍遙散|添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200017D1083_1_12

・加味帰脾湯|添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200016D1054_1_12

・抑肝散|添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/460026_5200139D1037_1_17

この記事の編集者
稲嶺 千春
薬剤師。心療内科の門前薬局での勤務経験あり。フリーライターとして医療・健康分野を専門に執筆活動中。
執筆者:浅田 愼太郎

監修者:浅田 愼太郎

新宿にあるおおかみこころのクリニックの診療部長です。心の悩みを気軽に相談できる環境を提供し、早期対応を重視しています。また、夜間診療にも力を入れており、患者の日常生活が快適になるようサポートしています。

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