◆散歩コース◆

体力度:★☆☆
難易度:★☆☆

  • 登山シーズン 1月~6月、9月~12月
  • 最高地点 870m(矢倉岳)
  • 登山開始地点 740m(足柄万葉公園バス停)
  • 歩行時間 3時間20分
  • 歩行距離 約7.5km
スタート
足柄万葉公園バス停
バス停から峠方面へ。左手に足柄明神跡の鳥居。足柄の関跡から南曲輪の橋を渡り足柄城址に。

足柄城址(足柄峠)
足柄城の本丸跡から北へ進み、足柄街道に出たら峠に戻る。聖天堂から歩きやすい道を矢倉岳方面へ。

地蔵堂分岐(清水越え)
帰りはここから地蔵堂へ向かう。矢倉岳までは少しずつ勾配が増してくるが、急坂ではない楽な道。

矢倉岳
山頂から来た道を戻って、地蔵堂分岐からひたすら下る。やや急坂の箇所もあるが、危険ではない。

矢倉沢分岐
分岐から沢を渡って、最後の坂を上って尾根を越える。茶畑が見えてきたら、もうバス停は近い。

ゴール
地蔵堂バス停


アクセス:
[行き]新宿駅から小田急小田原線で小田原駅へ。小田原駅から伊豆箱根鉄道大雄山線で大雄山駅/関本へ。関本から箱根登山バスで地蔵堂へ。地蔵堂から箱根登山バスで足柄伴陽公園バス停へ。約2時間30分。
[帰り]地蔵堂バス停から箱根登山バスで新松田駅へ。新松田駅から小田急小田原線で新宿駅へ。約2時間20分。

地蔵堂バス停から足柄万葉公園に行くバスは、季節運行で4・5・10・11月の土休日だけ。それ以外は地蔵堂バス停から足柄古道を歩く。約1時間。

足柄峠にはその後、899年に関所が築かれ、室町時代の初期、1400年頃には足柄城も築かれた。この場所が、よほど重要な地だったということだろう。

丹沢と箱根の間に横たわる足柄山地に属する矢倉岳は、足柄路近くにある。街道を通る旅人を見張る櫓のような形をしていたので、その名がついたといわれる。

大雄山駅からバスで地蔵堂まで入る。普通はそこから足柄古道を登るが、春と秋のシーズンの週末には地蔵堂から上の足柄万葉公園までバスが出るというので、利用することにした。これで約1時間のアドバンテージだ。

バスを降りると、いきなり目の前に富士山の雄姿。贅沢極まりない風景だ。少しも歩いていないのにこの姿とは。ま、ちょっとありがたみがそがれるような気もしないでもない。

バス停から公園内の森を抜けて足柄明神へ寄ることにする。

足柄万葉公園内の森。車道の近くに並行して道があり、散策を楽しめる。
足柄万葉公園内の森。車道の近くに並行して道があり、散策を楽しめる。

もとは村の鎮守だったようだが、一時は足柄城の出丸として使われた。ここからは松田町方面と金時山、矢倉岳の眺めがいい。

足柄万葉公園の先、矢倉岳へ向かう途中から見えた矢倉岳山頂。高く遠くに見えるが、それほど大変な登山ではない。
足柄万葉公園の先、矢倉岳へ向かう途中から見えた矢倉岳山頂。高く遠くに見えるが、それほど大変な登山ではない。

足柄の関跡を見てから聖天堂、足柄峠へ出て足柄城址に上がる。広場のようなところは城の本丸があったところで、今では絶好の富士山の展望台になっている。

足柄の関跡にある「おじぎ石」。ここを通る旅人は、この石に手をつき、お辞儀をして手形を差し出したという。
足柄の関跡にある「おじぎ石」。ここを通る旅人は、この石に手をつき、お辞儀をして手形を差し出したという。
足柄峠近くに建つ聖天堂。日本三大聖天尊のひとつ足柄聖天。弘法大師自筆とされる額が奉納されている。
足柄峠近くに建つ聖天堂。日本三大聖天尊のひとつ足柄聖天。弘法大師自筆とされる額が奉納されている。

本丸以外にも足柄城址にはかなりの規模の遺構が残っている。本丸の先の北側には、二の曲輪(くるわ) 、三の曲輪、五の曲輪までの4つの曲輪が残っている。時間が許せばぜひ五の曲輪まで足を延ばしてみたい。城跡散策のあとは、車道へ出て万葉公園のほうに引き返し、矢倉岳方面へ向かう。

足柄城の二の曲輪付近からの眺望。城は本丸から北側の五の曲輪まで、なんと300mにわたって遺構が残っている。まさに巨大山城といえる。
足柄城の二の曲輪付近からの眺望。城は本丸から北側の五の曲輪まで、なんと300mにわたって遺構が残っている。まさに巨大山城といえる。

地蔵堂分岐までは小1時間。平坦でよく整備された道なのでとても歩きやすい。これなら子どもでも平気だろうと思っていたら、本当に子ども連れの家族が前を歩いていた。

矢倉岳山頂から相模湾や富士山まで大パノラマを望む

この清水越を過ぎると勾配は徐々にきつくなり、分岐から20分も登ると矢倉岳の山頂に飛び出す。展望は申し分なく、360度の大パノラマ。相模湾や金時山、富士山と、まるごと目に入る。広い山頂では、子どもたちが元気に跳び回っていた。

標高870mの矢倉岳山頂南側からの展望。足柄平野と相模湾がくっきり。独立峰に近いために眺望がいい。富士山をはじめ、箱根、丹沢の山々が一望だ。
標高870mの矢倉岳山頂南側からの展望。足柄平野と相模湾がくっきり。独立峰に近いために眺望がいい。富士山をはじめ、箱根、丹沢の山々が一望だ。
矢倉岳山頂から南西方面の眺望。右の小高い山頂は金時山、左端のどっしりした山は明神ヶ岳。
矢倉岳山頂から南西方面の眺望。右の小高い山頂は金時山、左端のどっしりした山は明神ヶ岳。

下山コースは矢倉沢のバス停に下りるのが一般的だが、今回は来た道を戻って地蔵堂へ向かうことにした。地蔵堂分岐からひたすら下って行くと矢倉沢林道。直進して相ノ川を渡渉し、最後の急坂を上がって地蔵堂バス停へ。

地蔵堂バス停のそばにある地蔵堂。地蔵堂のお地蔵さまとして地元に親しまれている。
地蔵堂バス停のそばにある地蔵堂。地蔵堂のお地蔵さまとして地元に親しまれている。

山歩きメモ

一般的には矢倉岳から地蔵堂分岐に戻らずに、矢倉沢バス停に下りる方が楽である。山頂からおよそ1時間半の下り。地蔵堂近くの夕日の滝へは往復1時間程度で行ける。

アドバイス

子どもも歩いているコースなので安全だ。ただし地蔵堂分岐から下る道は急坂なので注意。矢倉沢分岐から沢を越えたあとの直登は、最後の頑張りが必要だ。

足柄城址

足柄古道の通る要衝の場所に築かれた巨大な山城

足柄城址。本丸があったところ。ここから二、三、四、五と主要な曲輪があり、そのほか堀切や小曲輪などの遺構も残る。
足柄城址。本丸があったところ。ここから二、三、四、五と主要な曲輪があり、そのほか堀切や小曲輪などの遺構も残る。

足柄峠にあった山城で、霞城ともいう。築年は室町時代初期、1400年頃といわれ。天文5年(1536)頃に北条氏綱が隣国の武田氏の侵攻に備えて本格的に整備したようだ。天正18年(1590)、豊臣秀吉による小田原征伐の際に足柄城を守っていた北条氏忠は山中城落城を知って小田原城に退却。城はほどなく落城した。

城の最北部の五の曲輪。
城の最北部の五の曲輪。
足柄明神跡。一時、足柄城の出丸として使われた。
足柄明神跡。一時、足柄城の出丸として使われた。

取材・文=清野編集工房
『散歩の達人 日帰り山さんぽ』より