海と陸で強制排除 市民「強引なやり方」 辺野古作業再開


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 【辺野古問題取材班】昨年の県知事選や衆院選への影響を懸念し、一時中断されていた名護市辺野古の新基地建設に向けた海上作業が再開した15日、現場周辺海域は抗議する市民19人が海上保安庁に一時拘束されるなど、緊迫した雰囲気に包まれた。

米軍キャンプ・シュワブゲート前では資機材搬入を阻止しようとする市民を県警が強制的に排除した。知事選や衆院選で示された移設ノーの民意を無視し、強行する政府に市民は怒りの声を上げた。
 未明の資機材搬入を受け、厳戒態勢を取っていた移設に反対する市民は冷たい風と波しぶきの中、日の出直後に作業現場前の海に結集した。カヌー25艇、抗議船4隻に乗った市民が「工事をやめて」などと声を上げる中、沖縄防衛局は海岸2カ所でオイルフェンスの設置準備を始めた。
 海上保安庁は当初、現場に接近しないよう市民に警告するだけだったが、クレーン車が作業船とオイルフェンスを海に入れたと同時にカヌーに乗った市民の拘束を始めた。海上保安官は海に飛び込んでカヌーを止めたり、棒でカヌーを引き寄せて市民をゴムボートに引き上げたりした。無人のカヌーが海上に漂い、砂浜にも打ち上げられた。
 「海保は権力に手を貸すな」「危険な拘束やめろ」。市民の叫びが響く中、作業は着々と進行する。オイルフェンスとフロートに囲まれた輪の中で浮桟橋が再び設置された。抗議船に乗船した平和市民連絡会の北上田毅さんは「強引なやり方だ。土砂や砕石の投入は何が何でも阻止しないといけない」と力を込めた。
 シュワブゲート前では資材搬入を阻止しようと市民約20人が夜を徹して座り込みを続けた。午前7時45分ごろには県警が市民を強制排除し、怒号が飛び交った。「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」バスツアーの参加者も訪れ、約300人が海上作業再開に怒りの声を上げた。
 SNSで現場の情報を知り、15日未明からゲート前の抗議に参加した当山なつみさん(29)=読谷村=は鉄板の上で声の続く限り「沖縄を返せ」を歌った。「選挙で示された民意を無視することは許されない」と憤り「現場に集まれる私たちが頑張って、何が起こっているのか発信することで少しずつ関心が高まっていくと思う。粘り強く続けることが大事だ」と抗議の継続を誓った。

米軍普天間飛行場の辺野古移設に抗議して座り込む市民らを強制排除する警察官=15日午前、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前
キャンプ・シュワブ沿岸部の15日の作業