那覇簡裁が判決主文を誤って言い渡し 執行猶予「4年」が「3年」に 控訴審で破棄


那覇簡裁が判決主文を誤って言い渡し 執行猶予「4年」が「3年」に 控訴審で破棄 那覇簡裁(資料写真)
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 窃盗と建造物侵入の罪に問われた男性被告に対する、那覇簡裁の判決主文の内容に誤りがあったことが11日までに分かった。簡裁は昨年9月5日の判決公判で懲役2年、執行猶予4年を言い渡したが、同7日作成の判決書には執行猶予が「3年」と記載されていた。関係者によると裁判所による主文の誤りは異例。

 簡裁は昨年9月8日、判決の宣告通り「執行猶予4年」に判決書を修正する「更正」の決定をした。那覇区検は過去の判例から更正決定は違法で、一審判決に欠点があるとして控訴した。控訴審判決が今月11日に福岡高裁那覇支部であり、三浦隆志裁判長は検察側の主張通り一審判決を破棄し、改めて懲役2年、執行猶予4年を言い渡した。

 三浦裁判長は判決理由で、簡裁が宣告と異なる判決書を作成した点で「判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続きの法令違反がある」と指摘。更正は「一切許されないとは解されない」としつつ、重要事項の誤りで、書き損じなどとは読み取れないことから「決定は無効と解さざるを得ない」と判示した。

 那覇地裁は取材に「個別事件の判断に関することで、コメントは差し控えたい」と答えた。

 沖縄国際大学の中野正剛教授(刑事訴訟法)は「初歩的なミスで到底許されない」と断じた。更正は一見明白な誤字脱字の場合に認められるとし、今回は「判決の命とも言うべき主文に明示された刑の内容に及んでいる」と強調。「簡裁自らが更正決定できる内容でないことも明らかで、二重にミスを犯している。裁判実務に関する研究会などを鋭意開催し緊張感を持ってほしい」と求めた。