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上地流師範のフォルターさん、米ワシントンDC近くに「空手文化センター」設立 「沖縄文化、人生に深い感動」


上地流師範のフォルターさん、米ワシントンDC近くに「空手文化センター」設立 「沖縄文化、人生に深い感動」 フォルターさんの一家。右から長女のナオミさん、妻のまゆみさん(那覇出身)、ネスターさん、息子のネスターJr.さん
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ワシントンDC近郊の町、チャンティリー市に沖縄空手文化センターがオープンした。設立者は、世界チャンピオン黒帯8段の上地流師範ネスター・フォルターさん。今回誕生した沖縄空手文化センターは、米国では他に類を見ない施設で、空手道場をはじめ沖縄の伝統工芸品の数々を展示する多目的室がある。壁には大きな守礼門の写真が飾られ、空手道や展示物を通じて沖縄の歴史や文化に触れることができる。事務所や会議室、キッチンも備えられた開放的な施設になっている。

 11月5日にはセンターのオープニング祝賀会が開かれた。最初のイベントは屋外で、沖縄伝統文化の那覇大綱挽にちなんで参加者による綱引きが行われた。その後、テープカットから室内での式典へと進んだ。国歌斉唱、琉球舞踊と続き、主催者のフォルターさんが「この沖縄空手文化センター設立は長年の夢だった。今、夢がかない第二の人生が始まった」とあいさつした。市長や県のワシントン事務所所長が祝辞を述べた。会場では空手演武やエイサー、バンド演奏があり、その後はジャズとロックの生演奏が行われた。

フォルターさんが完成させた沖縄空手文化センター
フォルターさんが完成させた沖縄空手文化センター

 「沖縄で過ごした5年間は私の人生を大きく変えた。私は上地流創始者一族から薫陶を受け、修武館で全ての昇級、昇段を経験し現在の黒帯8段に至った、唯一の外国人であることを大変光栄に思う」とフォルターさん。センターの目的は武術指導と文化活動の二つで、沖縄のアピールに一役買うことも目指しているという。「ワシントンDC沖縄会のメンバーとの交流で2015年から空手、エイサー、伝統舞踊、唄三線などをドッキングさせ全米桜祭りなどで公演するなど沖縄芸能の保存と普及に力を注いできた。その時から沖縄空手と文化芸能を融合させたセンターを持つ夢が生まれた」と説明する。

 センターの場所探しに6年かかり、1年かけて施設を完成させた。連邦政府のエネルギー省で土木技師として35年間勤務した経験がセンターの内装設計、最終検査、許認可などに役に立ったようだ。空手指導では技だけではなく「ユイマール」「イチャリバチョーデー」など沖縄の精神を伝授し、地域社会に貢献する生徒の育成に力を注ぐ決意だ。

 フォルターさんは「私の人生に深い感動を与えてくれた沖縄文化を分かち合えることは、私の喜びであり名誉である」と話した。妻のまゆみさん(那覇出身)、長男ネスターJr.さん、そして長女ナオミさんは黒帯有段者で、沖縄空手文化センターの実現は家族の一致団結と協力のたまものである。ネスター・フォルターさんのウェブサイトはtraditionalkarate.com

(鈴木多美子バージニア通信員)