>>座談会(上)はこちら。元キングス#6金城の推し選手は? 「徒歩1分でリング」沖縄バスケ文化の強みとは
◆日本、勝利へのポイントは
(司会) 日本が所属しているグループは日本より世界ランクが上の国が多い。日本代表が勝ち抜くために必要なことは
(金城) 日本の課題はサイズ。先日の韓国との強化試合ではリバウンドで負けた。アジア同士ではほぼ同じサイズだが、ヨーロッパなどの選手は大きいのでリバウンドが課題になる。ドライブを見てもペイントアタックは体で押し込んでくる。体の張り合いとリバウンド、できるならいつも通りやって、そこから早い展開に持って行って、日本はシューターも多いので、日本のリズム、形を見せられたらいい。外国籍選手は軽く小突いたつもりでも、日本人からすると大事故になりかねないほど力が強い。(キングスに所属し、仙台でもプレーした)小寺ハミルトンゲイリー選手と一緒に練習するけど、笑いながら冗談で軽くぶつかるだけでも、僕らは吹き飛ばされる。
(榎森) もう、それは孫悟空じゃないですか(笑)
(金城) 試合では、そういう選手がスピードに乗って突っ込んでくる。(オフェンスファウルの)チャージングを取るだけでも命がけ。
(榎森) (外国籍選手から)チャージングを取るのって、やっていることは武田鉄也さんがドラマ「101回目のプロポーズ」で見せた「僕は死にません」と一緒。トラックの前に立ちはだかるようなものだ。
(西田) 外のシュートは日本の生命線。それは女子も男子も一緒。女子は東京五輪で銀メダルを取ることができた。それ(外のシュート)が日本の戦い方なんだとみんな再確認できた。それを男子がどれだけできるか。システムは変わると思うけど、同じような戦いで世界を驚かせることができれば、大事な初戦のドイツ戦にも勝てるんじゃないか。最初の入りが良ければ、外のシュートが入れば。ぜひドイツ戦に勝ってほしい。
(司会) 女子を銀メダルに引き上げた同じ指揮官が男子を見る
(西田) それが楽しみ
(長嶺) 一番応援していたのが(キングスの)渡邉飛勇だったが、練習試合でけがをしてしまった。本人のSNSで日本代表から離脱と書いてあった。期待していただけにショックだった。ほかに注目しているのは元キングスの須田侑太郎選手。守備がすごい。練習試合でもディフェンスがすごい。チームにエナジーを与える守備がゲームの流れを変える力になる。須田選手は3ポイントシュートもうまい。雄たけびを上げてエネルギッシュなプレーで会場を沸かせてほしい。
(司会) ファンの力もある。ホームの日本でできることも大きい。
(長嶺) すごく大きいと思う。バスケット熱の高い沖縄なので、ウチナーンチュの応援は日本代表の力に絶対になる、応援も慣れていてみんなうまい。県民みんなで応援したい。
◆応援アイデアで白熱
(榎森) パーランクー持ち込みできないですかね。
(長嶺) 本当に、それがあったら!
(西田) ヨーロッパは鳴り物を持ち込むので、雰囲気が違ってくるらしい。ファンは持ち込むんじゃないですか?
(長嶺) いいかも!大太鼓もいいかも!
(榎森) 会場をチョンダラーが練り歩いたりしてね!
(長嶺) 大太鼓いいですね!高校生や中学生の大会でもやっているみたいに。
(榎森) 相手のフリースローの時うるさいでしょうねー。
(一同) (笑)
◆「出だし3分」「泥臭さ」
(榎森) 強化試合を見ていて大事だと思ったのが、第1クオーターの出だし3分で、日本はそこでやられることが多い気がする。(強化試合の)韓国との第1戦も相手がフィジカルで押してきたのに引いてしまって、勝てなかった。2戦目はねじを巻き直して勝った。次のニュージーランド戦も、第1戦の出だしでフィジカルで押されて、そこから河村勇輝選手がリズムを変えて勝てたけど、それは格上のチームが相手になると再現性はないと思う。ニュージーランドとの第2戦も最初リードを許して、そのままずるずるいってしまった。
やっぱり格上を相手に最初リードされて、覆すのは相当難しい。だから最初の3分を最後の3分くらいのテンションで戦ってほしい。フィジカルの差を補うのはメンタル、気持ちの部分。日本代表はエリートだけど、世界で見たら雑草魂、泥臭くぶつかることが大事になる。最初の3分をエナジー全開で行くことを期待している。
(司会) 泥臭さは大事になる。
(榎森) 絶対に大事になる。そこで今、急上昇中の川真田紘也選手がすごい。日本代表に足りない部分を補うような活躍をしている。あのメンタルが波及して出だしから行けたら格上相手でもジャイアントキリングを起こすきっかけになる。
(長嶺) 全チームが格上だから、逆に応援のしがいがあるかも。
(金城) 格上を(試合で)追いかけるのはものすごく大変。やっぱりタイムアウトを取ってしまう。(試合開始から)2分とかでタイムアウトを取りたくない。タイムアウトを相手に先に取らせたらいいかもしれない。逆をされるとしんどい。エネルギーを使う。
(榎森) 一瞬でいいから相手に、最初の段階で「日本は何か違うな」と思わせることでだいぶ変わってくる。そこで日本の選手も「行ける」と思って、会場が全力で後押しして、相手が「あれ?」と感じながら、うまくいかないまま試合を進めることができれば。(初戦の)ドイツ戦に勝ったら沖縄中の泡盛がなくなってしまう。
(一同) (笑)。楽しみ
(榎森) ドイツ戦に勝ってほしいなー。
(榎森)一瞬でいいから相手に、「あれ、日本思ったより」って最初に思わせることでだいぶ変わってくるんじゃないかな。そこで日本も「あれ、いけるのか?」となって、会場もぶわーって盛り上がって後押しすれば、ジャイアントキリングにつながるんかなと思う。ドイツ戦に勝ったらもう沖縄の泡盛がなくなりますよ(笑)。
(司会)胃袋に消えていきますね(笑)
(榎森)あー、ドイツに勝ってほしいなー。
(司会)次最後の質問になります。
(榎森)もう最後ですか。(笑)
(一同)(笑)
◆照準はドイツ戦
(司会)バスケ好き芸人としてどうW杯をアピールしていきたい。
(榎森)情報番組で話させてもらっていたり、事前の強化試合の取材に行かせてもらったりしている。日本代表が「ここまず勝ちに行くぞ!」ってドイツに照準を合わせていることがそんなに伝わっていない気がする。
ドイツに勝つことがどれだけすごいことなのか、ドイツに勝った時に開けてくる期待感がもっと伝われば、「そんな大事な試合なのか。じゃあちょっと見てようか」となると思う。
ドイツ戦がどれだけ大事で、勝ったらどれだけ俺たちが楽しい気持ちになるか!っていうことをメディアに出る機会にお話できたらなと思う。
(司会)ドイツ戦に向けて盛り上げていこうぜという感じ。
(榎森)すみません、奈良出身の僕がいうのもあれですけど、「やったーわかってるかー」(笑)。
(西田)うちなーぐちで(笑)。
(榎森)「まきてぃーならんぞ」と。こういうのを沖縄の人が一番嫌うのはわかってるんですけどね。
(一同)(笑)
◆「楽しまなきゃもったいない」
(司会)キングスの選手が世界で戦う機会が今後あるかもしれない。キングス女子として期待するところは。
(長嶺)キングスの選手が日の丸を背負って世界の舞台で戦うのを本当に見たいと思っています。キングスの選手って皆沖縄が大好きで、沖縄県民が誇りに思うようなプレーをしたいと常に話し合っている。すごいうれしいことでもある。いつか代表になる日まで、キングスファンとして追いかけますし、応援し続けたい。
W杯が沖縄市で行われるのは、もしかしたら人生に一度かもしれない。楽しまなきゃもったいない。私も国際通りに行ってカウントダウンクロックの前や、公式マスコットのJIPの前で写真を撮ってスポット巡りをしている。そういう風に開催まで楽しんでほしい。
SNSでも「楽しまなきゃもったいないよー」ということを発信している。今まで一番熱いW杯にしたい。そのためには沖縄県民の皆が楽しむことだと思う。皆で盛り上がりましょう。
(司会)スポット巡りは新しいですね。
(長嶺)いろいろなW杯仕様ののぼりを見つけたりね。
(榎森)北谷町のアハラビーチのリングボードもW杯仕様に変わってますしね。
(長嶺)沖縄市の八重島公園も変わっている。
(司会)キングスは渡邉飛勇選手がチャンスだった。
(榎森)(けががなければ)入ってたんじゃないかなー。シーズンにも影響あるのかなー。
(長嶺)回復を願うばかり。あとAKATSUKI JAPANのグッズをオンラインで買っています。形から入るタイプなので(笑)。
(榎森) ファンの仕事は金を落とすことです。
(一同)(笑)
(榎森)日本バスケットボール界の養分になる(笑)。
◆子どもたちにワクワクを
(司会)世界のトップ選手が訪れる。沖縄の育成にどう影響をもたらすのか、指導者の立場としてどう思う。
(西田)やっぱり世界のトップ選手を直で見られるというだけで、自分もこういう舞台に立ちたい、ああいうプレイヤーになりたいという大きな夢を持つきっかけになる。世界大会が自分たちの街で開かれるというだけで、子どもたちもうれしいだろうし、そのわくわく感が子どもたちの成長につながる。
私の子どもも沖縄市の小学生だが、W杯仕様のクリアファイルをもらったり、給食が出場国の料理だったりW杯を盛り上げようという取り組みがある。バスケをしていない子どもにも、「外国から人が来て試合するんだ」とわかっている。それだけでも誇らしい、楽しいという気持ちになる。沖縄で開催されるのは沖縄の子どもにとってさまざまなところで良い影響がある。
(司会)世界を知るきかっけになる。
(西田)国内を飛び越えてヨーロッパ、アフリカから来るので世界を知り、視野が広がるきっかけになる。
◆自分の容量超える刺激
(司会)金城さんは。
(金城)日本代表選手たちが世界と戦うことは一つの物差しになる。結果にこだわってほしい。女子バスケや(サッカーの)なでしこジャパンみたいに一時でも話題をかっさらって、ニュース番組のスポーツの時間は一番最初にバスケが流れる状況を作ってほしい。
Bリーグができて日本のバスケ界は盛り上がってるが、もっと後押しするには世界で結果を残すことが大事。今はバスケ好きなコアなファンは多いが、もっともっと知らない子たちも見に行く、目に写るようにメディアに取り上げてもらうようになってほしい。やっぱり一生懸命やる姿を届けてほしい。
(司会)日本代表が活躍することで、代表を目指すんだというバスケ界の底上げにつながる。
(金城)日本代表もそうですし、中にはドンチッチがかっこいいからスロベニア行きたいとつながる可能性もある。(自分の)容量の幅を超える刺激を与えて、物事を広く見てほしい。興味持てば、やるやらないはそこの子たちの選択になる。
まずは「知る・聞く・見る」というのがめちゃくちゃ大事だから、そのためには日本代表をたくさん取り上げてもらって、一番は代表を応援してほしい。いつか自分もこの場所にという具体的なイメージが沸いてくれば、もっと日本のバスケも良くなると思う。
サッカーでも以前はW杯に出ることが目標だったが、今は出て当たり前のようになっている。指導している時も思うが、バスケットに一生懸命なのはいいが、バスケットに必要な要素って実はめちゃくちゃ多い。走るとか跳ぶとか。ボールがなくてもできるけど、今ボールがないからできないと考える子が多い。そうではなくて、柔軟に物事を考えるためにいろいろな刺激を受けてほしい。
自分がどうしたいのかわかるには、いろいろな刺激をもらうことが一番最初にあると思う。でっかい相手を見てどうるするかとなっても、早くでればいいじゃんと考えればかもしれない。
(榎森)めっちゃ大事なのありますね。これ一番大事かもしれへん。まじで期間中台風来ないように祈る。
(一同)笑
(榎森)めっちゃ怖い顔のてるてる坊主をみんなで作りましょう。
(西田)先週大変でしたねー。
(司会)県民の御願をね。
(榎森)先祖引くぐらい。
(西田)ちょうど旧盆。
(長嶺)煙たいて。
(榎森)消防署動かすくらい。
(一同)(笑)
(司会)今日はなかなか聞けない話をありがとうございました。
◆◆座談会の出席者◆◆
金城茂之(きんじょう・しげゆき)浦添市出身。大学卒業後にbjリーグとBリーグの琉球ゴールデンキングスに所属し、仙台89ersでも活躍した。キングス在籍時につけていた背番号「6」は永久欠番となっている。
西田陽子(にしだ・ようこ)。沖縄市出身。女子バスケットボールWリーグの三菱電機コアラーズで長年プレー。選手引退後は同チームでアシスタントコーチを務めた。現在は県内で体育教師をしながら後身育成に励む。旧姓は安谷屋。
長嶺花菜(ながみね・かな)沖縄市出身。「かーなー」の愛称でタレントやフリーアナウンサーとして県内のテレビやラジオなどで活躍する。趣味はスポーツ観戦。「キングス女子」として琉球ゴールデンキングスの応援番組に出演する。
榎森耕助(えもり・こうすけ)奈良県出身。お笑いコンビ「リップサービス」のツッコミ担当。学生時代からバスケを始め、社会人となった今も現役でプレーする。ユーチューブなどで社会問題を提起する「せやろがいおじさん」としても活躍する。