原告側「なぜ検閲みたいなことを」 那覇地裁、陳述書の事前変更を要求 辺野古住民抗告訴訟


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那覇地裁

 名護市辺野古の新基地建設で沖縄防衛局の設計変更申請を県が不承認とした処分を巡り、辺野古周辺の住民らが国を相手に起こした抗告訴訟で、那覇地裁が原告側の意見陳述書を事前に確認し一部の表現の変更を求めていたことが23日、分かった。那覇地裁であった同日の第3回口頭弁論で原告は「大変不本意」としつつ、修正した内容を陳述した。

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 陳述したのは名護市三原に住む浦島悦子さん(75)。浦島さんや原告側代理人によると、本来の陳述書は新基地建設を「国家犯罪」「犯罪行為」と表し、裁判所が「原告適格なし」と判断する場合は司法も「断罪される」と記していた。裁判所はこれらの表現が「不穏当」として、表現を変えなければ陳述を許可しないとした。浦島さんは「国が主導する違法行為」などと表現を変えた。

 原告側から理由を問われた福渡裕貴裁判長は、陳述について「当然の権利ではなく、裁判所の訴訟指揮がある中で決めるもの」とし、「できる限り尊重したいが、(表現は)さすがにどうかなと思った」「この場をスムーズに進めたい」などと述べた。

 閉廷後、原告側の川津知大弁護士は同事例に「聞いたことがない。(陳述は)訴訟指揮の範囲に入る可能性もあるが、本来は自由のはず」と指摘した。浦島さんは「なぜ検閲みたいなことをやるのか。理解できない」と批判した。


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