おきなわこども未来ランチサポート 笑顔 みんなで守る


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 沖縄県内に200カ所以上ある子どもの居場所への食支援活動を展開している「おきなわこども未来ランチサポート」。誰ひとり取り残さない社会をつくるため、共感する多くの県内企業が食材の寄贈や学びの場の提供などを行っている。子どもたちの笑顔のため、多面的に取り組みを支える企業の取り組みや活動に対する思いを紹介する。

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一緒に作り 食べる幸せ
子ども料理講習会 おなかも心もいっぱいに

 フライパンや包丁を握る子どもたちの表情は真剣そのもの。「卵割りたい」「どう切ればいい?」。そんな言葉が交わされているうちに、料理ができあがっていく。

 おきなわこども未来ランチサポートは今年度から、食育イベント「子ども料理講習会」を開催している。これまでに子どもたちを中心に約100人が参加した。

 食料支援をするランチサポートの活動から見えてきたのは、子どもたちが料理をする機会が減っていることだ。共働きが多く、時間に追われる保護者たち。学校では新型コロナ対策で調理実習もなくなった。おとなワンサードの富田杏理代表は「一緒に料理をして温かな食事を食べることで生まれるコミュニケーションがある。そんな機会を提供できれば良い」と話す。

モズク丼を作る参加者

 2月に開催された教室では、約1時間で「モズク丼」「ニンジンとニラの米粉ヒラヤーチー」「ミックスジュース白玉」の3品を作った。メーン食材のモズクは県漁連、米と米粉は沖縄食糧が提供。場所は沖縄ガスが協力し、松本料理学院が調理を指導した。

 家族で参加した豊見城市の女性(41)は「普段は仕事で忙しくて一緒に料理をする時間はほとんどない。調理を通して子どもたちのいいところを知ることができた」と話す。娘(6)は「お母さんと一緒に料理ができて楽しかった」と声を弾ませた。

 モズク丼は学校給食で人気のメニュー。浦添市の女性(39)は「娘は酢の物のモズクを食べないので、モズクは嫌いだと思っていたけど、モズク丼はよく食べた」と目を細めた。

 子ども食堂「みんなおいでよ陽迎橋」(浦添市)の知花聡代表は「普段は家で一人で食べている子も多い。誰かと一緒に調理して、温かいご飯を一緒に食べることはとても貴重な機会だ」と強調した。

 「みんなで食べてどれもおいしかった」。子どもたちは声をそろえた。おなかも心もいっぱいに。食を通して幸せな時間が広がる。

(玉城江梨子)

子ども料理講習会で、できあがった料理を手にする参加者=那覇市西の沖縄ガスショールーム「ゆ~くる」

支援企業 活動への思い

関心持つきっかけに

沖縄明治乳業・村田紳社長
 

 2020年から参加し、現在毎月ジュース900本を提供している。日頃給食で牛乳をおいしく飲んでくれている。応援に対する恩返しとして「沖縄の子どもたちをはっぴぃに」の思いで取り組んでいる。

 17年から弊社が販売したLINEスタンプの売り上げを「りゅうちゃん子どもの希望募金」などに寄付している。そうした活動がランチサポートにもつながっている。

 私たちの活動だけでは根本的な解決にはつながらないかもしれないが、活動を通じて関心を持つ企業団体が増え、支援が広がるきっかけになると思う。スタンプの活動も併せて支援を文化として定着できるよう頑張りたい。

地域社会発展に貢献

オキコマーケティング部・大城修二次長
 

 前身となる2020年3月の「りゅうちゃんランチサポート」から活動に参加し、現在は週に3度、菓子パンの提供などを行っている。

 良い製品をつくり、良心的に供給し、職場を通して地域社会の発展に寄与することが企業使命。新型コロナウイルスの流行前から県内での子どもの貧困問題は深刻で、これまでも子どもの健全育成に向けた支援を行ってきた。ランチサポートは我々の考えに合った取り組みだと思う。

 コロナ禍はまだ続いていて、困っている家庭もまだまだ多いのではないかと思う。今後も何ができるのかを考え、県民に寄り添った支援の在り方を意識したい。

子の支援は当たり前

ぐしけん営業二課・嘉手苅厚治課長代理
 

 月・水・金曜の週3回、無償や格安での提供を含め1200個分の菓子パンを届けている。県内企業として少しでもお役に立ちたいとの思いで活動しており、3年目になっている。

 コロナ禍で学校が休みになれば、給食がないためご飯を食べられない子どもがいると聞いた。未来を担う子どもたちを大切にするのは当たり前で、こうした活動に自社が参加していることは私自身も誇らしい。

 今後も県民の食を支える企業としてお役に立ちたいし、支援を続けていきたい。こうした取り組みであれば、他の企業とも連携して活動をより盛り上げていけたらいいと思う。

地域にできることを

沖縄ガス総合企画課・岸本昌美主任
 

 今年1、2月、親子料理講習会の会場として、ショールーム「ゆ~くる」内にあるクッキングスタジオを提供した。期間中は多くの親子が参加していて、普段家事で忙しいであろうお母さんも、この日は子どもたちとリラックスした様子で講習を楽しんでいたのが印象的だった。

 都市ガスなどライフラインを維持する企業は、利用していただく県民の皆さまがいるからこそ成り立つ。地域に貢献できることに力を注ぎたい。社内にはクッキングスタジオに加え各種講習会が開かれているセミナールームもある。どういったことができるかを考え、沖縄の課題解決のお役に立てればうれしい。

受け皿認知度向上を

沖縄テクノクリート・仲本幸平社長
 

 土木建築用コンクリート製品の製造販売をしており、創業70周年の記念にランチサポートに寄付した。関連会社を含めると2度目の寄付になる。

 コロナ禍の影響で食事に困る子どもたちの記事を目にすることもあり、日頃なかなか社会貢献活動を行えていないものの、こうした機会を得られてうれしく思っている。

 こうした公益性の高い取り組みは必要で、支援をしたいと思う企業の受け皿としてランチサポートの認知度を高めることも、今後さらに重要になるのではないか。金銭での支援だけでなく、ボランティア活動もできないかなど、できる範囲で応援を続けていきたい。

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