植物由来のDHA、健康食品に 金秀バイオが開発 ベジタリアン向け視野


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微細藻類のナンノクロロプシスとラビリンチュラの培養・製造技術を確立し、新規素材の開発を報告した、(左から)金秀バイオの宮城幹夫社長、宮崎大学農学部の林雅弘教授、県栽培漁業センターの玉城栄信所長=9日、那覇市小禄の沖縄産業支援センター

 金秀バイオ(糸満市、宮城幹夫社長)は9日、目に見えない小さな藻「微細藻類」であるナンノクロロプシスとラビリンチュラを使った、健康食品素材の開発を発表した。素材には、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)といった「オメガ3脂肪酸」が含まれる。脂質値の適正化、動脈硬化や肥満を予防するなどの働きがあるといわれるオメガ3脂肪酸は、魚などに含まれることで知られるが、今回の開発により植物由来のDHA、EPAが摂取できるようになった。

 ナンノクロロプシスとラビリンチュラは海底や海岸に生息しており、同社は培養から製品化まで、一貫製造できる技術を確立した。

 金秀バイオは2014年ごろから県栽培漁業センター(本部町)と宮崎大学との産学連携で研究を進めた。県栽培漁業センターはナンノクロロプシスの培養技術指導を、宮崎大農学部の林雅弘教授はラビリンチュラの優良株の選抜を行った。

DHAを含有するラビリンチュラ(左)と、EPAを含有するナンノクロロプシスの粉末

 ナンノクロロプシスは、血中中性脂肪低下作用などの機能性があるとされるEPAを含む。屋内培養の技術を確立することで、天候に左右されず、安定して培養できる環境にした。

 ラビリンチュラは、血中脂質上昇抑制作用や抗血栓作用の機能があるとされるDHAを含む。金秀バイオは高密度培養液から藻体を粉末化する技術を確立した。特許申請をする予定。

 従来の魚由来に替わって、植物性のDHAとEPAが摂取できることから、ビーガン(完全菜食主義者)やベジタリアンといった多様な食生活に向けた商品開発も視野に入れる。水産資源の保護など、環境負荷が少ない持続可能な増産体制にもなる。メーカーへの原料供給も目指す。

 宮城社長は「県民の長寿、健康に貢献できる一歩。継続的に沖縄の素材を開発していきたい」と意気込んだ。