魚の餌 水耕栽培活用で成果 越来中生徒研究 グリーンリーフ成長


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アクアポニックスを研究する生徒たち=沖縄市の越来中学校

 【沖縄】沖縄市立越来中学校(長嶺加恵美校長)の生徒が取り組む「アクアポニックス」研究が2年目に入り、進展を見せている。本年度の成果をまとめた「ミステリークレイフィッシュでアクアポニックス~生体に与える餌で野菜の栽培水を作り、グリーンリーフを大きく育てる研究~」が、第43回沖縄青少年科学作品展(沖縄電力主催)で県知事賞に選ばれた。

 科学作品展で県知事賞 「食料不足解消に」

 アクアポニックスは水産養殖(アクアカルチャー)と水耕栽培(ハイドロポニックス)を合わせた造語。魚の排せつ物を肥料に野菜を育て、浄化した水を水槽に戻す生産システムで「地球に優しい農業」として注目を集めている。

 本年度はグリーンリーフをより大きく育てるため、水生生物の飼育水を水耕栽培の水質に近づけることをテーマに設定。硝酸イオンの濃度が高くても生きられるミステリークレイフィッシュ(ザリガニの一種)を育てることにした。

 水生生物の餌も野菜の栽培に必要な栄養素を含む複数を試した。するとグリーンリーフの育ち方が昨年度を大きく上回り、市販の肥料を使って育てた場合と同程度に育った。グリーンリーフはサラダにして、ミステリークレイフィッシュは加熱調理して校内で試食会を開いた。

 新型コロナウイルス感染症の影響で休校もあり、時間との闘いでもあった。大里柚さん=3年=は「研究の成果が評価されてうれしい。食べ物が不足している地域で食材を確保する方法になると思う。葉野菜を県外からの移入に頼っている沖縄のためにもなるのではないか」と語った。