長時間労働が疑われる事業場への監督指導 66.0%で法令違反ありという結果に

指導事例 2017年1月20日に「労働時間の適正把握のためのガイドライン」が策定・公開され、現在、労働基準監督署はこのガイドラインに基づいて企業への監督指導を行っています。今回、厚生労働省から長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果について公表されましたことから、その内容を確認しておきましょう。

 この調査結果は、平成28年4月から平成29年3月までに、長時間労働が疑われる事業所に対し、労働基準監督署が行った監督指導の実施結果が取りまとめられたものです。調査に際しては、対象が月100時間を超える残業が疑われる事業場から、月80時を超える残業が疑われる事業場に監督指導対象が拡大されています。

 今回、監督指導の実施事業場は23,915事業場であり、そのうち、15,790事業場(全体の66.0%)で労働基準法などの法令違反が見られたという結果になりました。その具体的な内容は以下のとおりです。
主な違反内容
 監督指導の実施事業場のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場(主なもの)は、以下のとおりでした。
1)違法な時間外・休日労働があったもの:10,272事業場(43.0%)
2)賃金不払残業があったもの:1,478事業場(6.2%)
3)過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:2,355事業場(9.8%)
労働時間の適正な把握に係る指導状況
 監督指導の実施事業場のうち、2,963事業場に対して、労働時間の把握が不適正であるため、労働時間の適正把握のためのガイドラインに適合するように指導が行われています。なお、平成29年1月20日までは、以前の基準(労働時間適正把握基準)に基づいて指導が行われています。指導詳細は、以下のとおりです。
1)始業・終業時刻の確認・記録 1,661事業場
2)自己申告制による場合 自己申告制の説明 467事業場
3)自己申告制による場合 実態調査の実施 1,277事業場
4)自己申告制による場合 適正な申告の阻害要因の排除 213事業場
5)管理者の責務 85事業場
6)労使協議組織の活用 16事業場

 今回、監督指導を実施した23,915事業場のうち、自己申告制を採用しているところが8,880事業場あり、4割弱の割合となっています。上記の指導状況からも、自己申告制については、自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査と労働時間の補正を行うことが求められています。再度、ガイドラインの内容を確認し、適正に労働時間を把握できるようにし長時間労働対策を進めましょう。


関連blog記事
2017年2月24日「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
http://blog.livedoor.jp/leafletbank/archives/51460473.html

参考リンク
厚生労働省「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000172536.html

(福間みゆき)

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